ゾウになった僕

mosurapapa

第1話 僕が死んだ日


 僕は昔、けんかに明け暮れていた。


 学校に行っていたときは、


 現代で言う番長のように君臨し女子高生をはべらかせ、上級生をパシっていた。


 飲み屋に行っては、酒を飲みすぎて隣の客とけんかをした。


 チンピラに狙われても返り討ちにしていた。


 道を歩いては、年寄だろうが子供だろうが


 にらみつけながら歩いていた。


 家でも、父親も母親も下僕のように扱っていた。


 朝から晩まで好きなことをして暮らしていた。


 楽しいとは思わなかったが、自由だった。


 何の目標もなく、こんな日が続くのだろうと漠然と思っていた。



 ある日、僕は死んだ。


 いつものように酒を飲み、ひと暴れして、ふらふらしながら坂を下っていると


 坂の上から大きなブレーキ音が聞こえた。


 後ろを振り返ると


 巨大なトレーラーが迫っていた。


 避ける間もなく


 撥ねられ


 大きなタイヤに踏みつけられ 


 一瞬強い痛みと焼けたようなにおいを感じ


 僕は死んだ。

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