第25話 このコーヒーの味
いつもの喫茶店で俺は原稿を書いている。
いつもの席で、いつものコーヒーを飲んで。
あの日から、奏さんとは会っていない。
メールをしようと思えばできる。
でも、出来なかった。
────サイトを御覧の皆様へ。
当サイトは諸事情によりしばらく閉鎖します。誠に勝手ながら申し訳ございません。
再開の予定・見込みは現状は未定です。
────────────────────
この文章を見て、どんなメールを送れるって言うのだろうか。
なのに、再会と再開をどこかで期待して。
ここのコーヒー、こんな味だったっけ?
ここからの景色、こんなだったっけ?
これが日常だった。
奏さんと知り合って、少し日常が変化して。
奏さんが居ないならまた日常に戻るだけだ。
『障害者なんです。健常者とは違うんです』
あの言葉が離れない。
どうしたら良かったのだろうか?
どうすれば良かったのだろうか?
その答えを探すかのように、難聴についてだけでなく障害について調べるようになった。
……そして
皮肉にも原稿は今までにない速度と、今までにない熱量で進んでいた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます