第9話 これって俗に言う…

かなでさん、こっち!」


とある本の話題から星座の話になり、今日はプラネタリウムに来ている。

ひょんなことから勘違いで知り合った彼女は、巻島まきしまかなでといった。キレイな響きだな、と思った。


実は、この間は水族館にも行った。

これも本の話題から発展してのことだ。


男女二人で水族館にプラネタリウム…。

これって俗に言うデートみたいじゃないか。

デートなんだとしたら、いつ以来だろう?

…やめよう、悲しくなる。

過去は振り返らない主義なのさっ。


今を大事にしたい。

少しだけボーっとしているところも、驚かしたら予想よりビックリするところも、彼女らしさであり、そんな彼女を大事にしたいと思う自分が嫌いじゃないのだ。


でもヘタレな自分も居て、本人に伝えるような勇気の剣も行動力の鎧もない。

……俺は勇者か。

否、ただの作家だ。

大丈夫、自分という存在をわきまえている。


なのに、とある本の映画化の話から次は映画に行くことになった。

彼女はあまり自分のことは話さないから、この時に字幕派なんだと知った。


『本を読んでるのに近いからかな?』


呟き、はにかんだ表情を見て、彼女のことをまたひとつ知る。


可愛いっす!













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