第57話 別の方法

マキの身体検査を終えた3人は実験室から出て、客間に戻った。

マキは特に変わった様子はなかったが、菜々とシロの二人はずっと考え事をしていた。

今の状態でマキの精神を戻そうとすると片方が消える。その事実を二人は受け止めきれていなかった。

しばらく沈黙の時間が流れた後、客間のドアが開く。ドアの前には菜々の父親が立っていた。


「どうした、そんな浮かない顔をして」

「じ、実は・・・」


菜々は今の状況になった事情を説明した。

すると、話を聞いていた菜々の父親が急に笑い始めた。


「なんだ、そんなことで悩んでいたのか」

「そんなことって何よ!私達は真剣に・・・」

「確かに今ある道具だと分裂してしまうだろう。それならば別の方法を取ればいいだけだ」

「べ、別の方法・・・?」

「それを考えればいいだろう。お前たちならきっとできるはずだ」


そう言うと、菜々の父親は客間を出て行った。

別の方法を考えろって、そんなこと急に言われたって・・・

・・・いや、もしかしたら昔作ろうとしたアレを使えば。

そうと決まれば製作に取り掛からないと!


「シロ、今日は先に帰ってて。そして三日待ってて」

「それは構わないけれど、何か策でも思いついたのかしら?」

「えぇ、可能性は低いけれど。少しでも可能性があるならやってみたくて」

「そう。ならマキちゃんと帰るけど、あんた無理しないでよね」

「わかってるわよ!」


三人は一旦別れ、三日後に再び会うことを約束した。

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