第46話 悩み

シロと菜々が協力を始めてから数週間が経った。

お互いにモネの事を警戒しつつあるが、あれからモネが動く気配はなかった。

しかも、学校は休んでいると言う訳では無くいつも通り学校に登校して来ていた。

それどころか、モネは今まで通り私に対して友好的に接して来てくれた。

そんな日々が続いて行く中、私の中で一つの疑問が生まれた。

そうだ、私はマキちゃんの記憶を戻したい。そう考えると、わざわざモネと対立する事は必要無いんじゃないのかと。

それなら多分モネもすぐに納得し、返してくれるだろう。でも、そう簡単に行くとは限らないし・・・一体どうすれば。


「って言う訳で、相談しに来たんだけど」

「それで私の所に来る?普通」


悩みすぎて困っていたシロは一つの作戦を立てていた。どうせ決められないなら菜々に決めてもらおうと。

そうして菜々の部屋に入った後、先程思った事をそのまま菜々に言ってみたのだが・・・


「とりあえず相談なんだけど、あのデータさえあればまきちゃんの記憶は戻るの?」

「えぇ、まぁ実家の地下にある機械を使えばすぐにでも。だけど、欠点があって」

「欠点?」

「そう。記憶を戻そうとすると、その代償として記憶を失った後に出来た思い出なんかも消えちゃうのよ」

「え、それじゃあ今二人で同棲してるって事も・・・」

「忘れられる事になるわね」

「そ、そんな・・・」


仮にマキちゃんの記憶を戻せたとすると、今まで作った思い出が消えてしまう。

でも昔の記憶が戻って来る。

その反対で記憶を戻さないとすると、もう二度とマキちゃんとの過去話に花を咲かせる事が出来なくなる。

でも、その代わり出所してくら今までの思い出は消えずにずっと残る。

シロはずっと座り込みながら悩み続けた。


「そういえば、あんたはどっちを選ぶのよ」

「んー、そりゃ記憶戻さない方よ。そうじゃないと私にとって都合が悪いもの」

「・・・ずっと思ってたんだけど、あんたとマキちゃんの間に何があったのよ。そこまでして消しておきたいものがあるの?」

「それ今聞くわけ?私は別に話してもいいんだけど、聞いたらあんた後悔するわよ。それでもいいの?」

「なんで過去の話聞いただけで私が後悔するのよ。そんなはずないから普通に話してもいいわよ」

「そう、なら話すわ。あれは今から約15年前の事よ。その時は私とマキちゃん、そしてあなたと三人でいつも遊んでいたわよね。でも、あの事件が起きた時、あなたはいなかった。あれが起こらなければ私達は今でも三人で仲良く出来てたと思うわ・・・」

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