第47話 菜々の過去
今から15年前、まだ私とマキちゃんの仲が良かった頃の話よ。
その日、私達はいつものように公園で遊んでいたの。
縄跳びで何回跳べるかを競ったり、ジャングルジムの頂上にどっちが先に辿り着くかとか色々と遊んでいたのよ。
遊んでいたら、いつの間にか夕方になっててお互い家に帰ろうとしていたんだけど、その時偶然マキちゃんのお母さんが通りかかって夕飯をご馳走になる事になったのよ。
マキちゃんのお母さんってものすごい料理が上手で、ご飯がとっても美味しいの。
だけどその反面、マキちゃんにあたりが強い時もあって。
私がお風呂を借りてる間にマキちゃん達が口喧嘩し始めちゃって、その時私が仲介に入って止めておけば良かったんだろうね。
でも、それは出来なかったの。
私が急いで部屋に戻った時、マキちゃんがソファーの横に押し飛ばされてそのまま頭を打って気を失ってしまったの。
それが目の前で起きたものだから私もショックを受けちゃって、マキちゃんを揺すっても全然起きてくれなかったわ。
その時私はこう思った、全部目の前にいるこいつが悪いって。
それで気がついたら、私の足元にはマキちゃんのお母さんが血まみれで倒れていたの。
手には血のついたナイフを持っていて、足元には何箇所も刺された跡のある死体。
私は自分が何をしたのか全く分からなくて、その場で吐いてしまったの。
その時、運悪くマキちゃんが起きて血まみれの母親と、血のついたナイフを持った私を見たの。
マキちゃんは大きな叫び声をあげた後、再び床に倒れこんで気絶したわ。
その後、私は警察に連行されたのだけれど年齢がまだ幼かった事と、その時の記憶がない事で家に帰されていたわ。
その日からよ、マキちゃんが口を聞いてくれなくなったのは。
でも、仕方ないのよ。いくら嫌いだったとは言え目の前で母親を殺されて、その犯人はのうのうと自分の目の前に現れてるんですもの。
「まぁ、大体こんな感じね」
「・・・まさかあなた達にそんな過去があったなんて」
「だからマキちゃんはあなたを好きになった時異常なまでに執着していた。これ以上大切な人を失いたくなかったから」
「・・・」
「これでスッキリしたでしょう?さ、私は答えたんだからあなたの答えも教えて貰うわよ。マキちゃんの記憶は戻す?それとも、戻さない?」
「わ、私は・・・」
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