第41話 散歩の合間に

春休みに入り、特にやる事のないシロは散歩に出かけていた。

ゆっくりと辺りを見回しながら歩いていると、少しずつ咲き始めている桜を見つけ、立ち止まった。

もう少し時間が経てば満開になるだろう。・・・今年はマキちゃんと花見に行きたいなぁ。

去年出会った頃にはもう見頃が終わってて行けなかったんだよね。よし、帰ったら誘ってみよっと!

シロは鼻歌を歌いながら散歩を再開した。

今は何も考えずに自分の好きなように歩き、好きなものを見ていく自由な時間だったのだが


「あら、シロじゃない」

「菜々、こんな所で会うなんて」

「ちょっと買い物に来てたのよ。そうしたら、上機嫌に鼻歌を歌いながら歩くあなたを見つけて、ね」

「・・・用はそれだけ?それなら私は先に行くけど」

「そうだったわ、はいこれ。マキちゃんに渡しておいてくれない?」


そう言いながら菜々から手渡されたのは丁寧にラッピングの施された袋だった。


「別にいいけど、何が入ってるの?」

「マキちゃんから頼まれてた物よ。それじゃあね」


マキちゃんから頼まれた物?一体何なのかしら。シロは来た道を戻り、マキに渡しに行くことにした。


「ただいま〜」

「あれ、早かったね。おかえり」

「はい、これ菜々からマキちゃんにって」

「あー!」

「何なの、それ?」

「これはね、入浴剤だよ!」

「入浴剤ね」

「前から欲しかったんだけどなかなか売ってなくて、その時たまたま菜々さんが余ってるからくれるって言ってくれたからお願いしてたの」

「へぇー」

「早速お風呂沸かして来なくちゃ!」


珍しくマキちゃんがハイテンションで歩いて行った。

そんなにすごい入浴剤なのかな。にしても、余ってたねぇ・・・

私が菜々と会った時には明らかに色んな所を探して歩いた形跡があったけど、どうしようかしら。


「シロ〜、一緒にお風呂入ろ!」

「え、いや私は後でで・・・」

「いいから早く!!」


・・・前言撤回、菜々グッジョブ!今回はお風呂に免じて許してあげるわ!

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