第42話 呼び出し
菜々はシロにマキ宛のプレゼントを渡した後、実家に帰省していた。
実家から帰って来るようにと連絡を貰い、菜々はすぐさま準備を済ませ電車に乗り実家へ向かっていた。
何かの要件で呼び出された事は確かなのだろうけど、その要件が何なのかは聞かされていない。
例の機械が完成したっていう話とかならいいんだけど・・・
約二時間かけて菜々は実家に到着した。辺りは桃の木で覆われている。
収穫の時期も終わり、葉だけが残っている。
その奥に菜々の実家があるのだが、その家の奥の部屋に隠し通路が存在する。
そこに入ると地下室に辿り着く。地下室には今回菜々を呼び出した人物である菜々の父親がそこに立っていた。
「待っていたぞ、菜々」
「実家まで来るように言うだなんて、例の機械が完成したの?」
「違う、あれはもう少し時間がかかる」
「じゃあ何なのよ」
「お前の好きだったマキと言う子のデータが盗まれていたんだ」
「冗談はよしてよ、だってデータはあの時壊したじゃない」
「どうやらその時にまだパソコンにデータが残っていたらしくてな、そこから抜き取った奴がいたのだ」
「一体誰よ、そいつ!」
「確か、薊だったか。そいつは今他の場所で拘束してるのだが、データが見つからなくてな。どこかに隠しているみたいなんだが」
「・・・薊?」
「何か心当たりでもあるのか?」
「確信は持てないけど、その拘束した人って子供とかいた?」
「あぁ、そういえばいたなぁ。今年中学校に入学するくらいの娘が」
「って事はあいつが」
「何かわかったようだな」
「えぇ。その薊って人の娘は多分、私の知り合いだわ」
「まさかそこまで繋がっていたとは。・・・取り返す事はできそうか?」
「わからないわ、あまりあの子と話したことが無いし」
「とりあえず今度会った時に接触してみてくれ。それで明らかな反応を取った瞬間黒だ」
「まさかこんなことをする日が来ようとはね」
「くれぐれも周囲に気づかれないようにやってくれ」
「えぇ、もちろんよ」
重大な情報を得て菜々は自宅へ戻った。
まず、マキのデータがまだ残っていたこと。次に、そのデータが盗まれていたこと。
そして最後に、そのデータの隠し場所を知っているのがシロの友達であるモネかもしれないと言うことだ。
何にせよ、モネに関しては確認しなければならない。
あいつがデータの隠し場所を知っているのか、それとも何も知らないのか。
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