第27話 お説教
シロが修学旅行から帰って来てから数日後、いつものようにシロはマキの帰りを待っていた。
学校から出た宿題も終え、暇つぶしになる物がないか家の中を探し回っていた。
すると、食器棚の所にクッキーの缶詰を見つけた。缶詰を振ってみるとカラカラと音がした。
まだ何枚か残っている、そう踏んだシロは缶詰の蓋を開けた。
中にはチョコチップクッキーやバタークッキー、ラングドシャなど色々と種類が豊富に入っていた。
シロはクッキーを食べながらマキの部屋に入って行き、机を漁り始めた。
机の中からは履歴書や料理の記事などが出て来たがそれ以外に対して目立つものは入っていなかった。
マキちゃんがあまりものを買わない事は知ってたけど、まさかここまで何もないとはね、本当に必要なものしか置かれてない。
それにしても、なんで二人で京都に来てたのかしら・・・
聞こうとしてもはぐらかされたりタイミングが悪かったりして理由を未だに聞けていない。
だからこうして自分で見つけようと考えたのだが、何も手がかりは見つからなかった。
気が付けばクッキーをすべて食べ終え、マキの帰って来る時間となっていた。
その事に気付いたシロは急いでクッキーの缶を戻そうとしたが、既に手遅れだった。
「ただいま、シロ」
「お、おかえりマキちゃん」
「あれ、今何か隠した?」
「な、何も隠してないよ?」
「嘘つかないでちゃんと見せなさい!・・・って、これ私の!しかも全部食べちゃったの!?」
「つ、つい・・・」
「シロ」
「はい」
「明日から三日間、おやつとデザートは禁止だからね」
「えぇ!?そ、そんなぁ〜・・・」
「私に無断で全部食べちゃうなんて、言ってくれれば少しくらいあげたのに・・・」
マキから予想以上の宣告を受けたシロはその場で放心状態になっていた。
シロにとっておやつを食べる事、そして食後のデザートを楽しむことが一日の楽しみであったからだ。
その事をマキはもちろん知っているが、たまには痛い目を見せないとシロは何も学ばないので、お灸を据えようと考えたのだ。
放心状態になったシロに触れることすら無く、マキはキッチンへ向かい夕食の準備を始めた。
夕飯を作っていると、さっきまでマキの部屋にいたはずのシロが匂いにつられてリビングまでやって来ていた。
しかし、シロはいるだけで目線は明後日の方向を向いてた。マキもこうなって来ると流石に呆れ始めていた。
確かに禁止といったのは悪いと思っているけど、三日我慢すればまた食べられるようになるのにどうしてそれも耐えられないのだろう。
本当は一週間禁止にしようと思っていたけど、たった三日と言い伝えただけでこれなのだがら一週間禁止したらもしかしたら死にかけるんじゃ・・・
あ、いけないいけない。お鍋が溢れちゃうわ。とりあえず三日間は絶対に我慢してもらおう。
「ほら、シロ。ご飯できたわよ」
「マキちゃん、デザートは?」
「だから禁止ってさっき言ったじゃない」
「でもマキちゃんにはあるじゃん!」
「そりゃ、私は何も制限かかってないし・・・」
「ずるいずるい!私も欲しい!!」
「駄々こねないの!あんた自分が何歳だかわかってるの!?」
「まだ12歳です〜」
「こういう時だけ自分を子供扱いして・・・はぁ、わかったわよ。一口だけね」
「わーい、やったぁ!」
結局この後シロの暴走は止まらず、マキの分のデザートをすべて食べ、禁止の期間が三日から五日まで延期される事になった。
シロは精一杯マキに謝ったが、今回は許してもらえず本当に五日間おやつもデザートも出されなくなっていた。
その甲斐あってか、シロのつまみ食いの被害は大幅に減少した。
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