第28話 クリスマス

マキがいつものように朝食を作り終え、洗濯物を外に出そうとした時、空から雪が降って来た。

マキは洗濯物を家に戻し、急いでシロを起こしに向かった。


「シロ、起きて!」

「んん・・・どうしたの、マキちゃん?」

「雪降ってきたわよ!」

「本当!?」


シロはマキから雪が降ってきたと聞くとすぐさまベランダへ向かった。

どうやら少し吹雪いている様で、どこを見ても真っ白だった。

しばらく見た後、満足したのかシロはこちらに戻って来た。

今年はホワイトクリスマスになるかも。

それにしても、クリスマスかぁ。去年まではクリスマスなんて考える余裕無かったし、純粋に楽しめるの久しぶりかも。

私はこの日のために有給を取った。もちろんシロには秘密だ。

シロが学校に行った後、私には重要な仕事がある。そう、シロへのクリスマスプレゼントだ。

やはりクリスマスだし、これは欠かせない。シロからは事前に欲しいものを聞き出すことに成功している。

どうやらケーキの製作道具一式が欲しいらしい。それがあれば毎日ケーキが食べられるとか言ってたわね。まぁ、作るのは私がやらされそうだけど。

しばらくすると、シロは準備を終えて学校へ向かって行った。

シロが行ったことを確認し、私も行動を開始した。

向かうはデパート、あそこならケーキの製作道具一式置いてそうだし。

後ついでに夜の物も買って行きましょう。メインのお肉は何にしようかしら、シロがいっぱい食べるだろうし、鳥の丸焼きにでもしようかしら。

二羽分もあれば足りるわよね。・・・不安だし、ローストビーフも作りましょう。

後は・・・ピザも買って行こうかしら。四枚あれば充分かしら。ケーキは家に材料余ってるし、それで作ろうかしら。

ま、こんなもんね。さっさと帰って料理作っちゃわないと。

マキが買い物を終え、デパートを出た頃にはすっかり雪も止んでいた。少しくらい、積もっても良かったんだけどな。

マキは買い物から帰って来ると早速、ケーキ作りに取り掛かった。

本当はチキンも手作りしたかったけど、家にはオーブンが無いし焼けないのよね。・・・今度買おうかしら。

でも、レンジであっためるだけで出来るなんて本当に楽よね、洗い物も増えないし。

あ、シロへのプレゼント隠しておかないと!見つかったらサプライズ台無しだしね。

どこにしまっておこう・・・クローゼットでいっか。

さってと〜、ケーキができたら味見して、予備にもう一個作っておかないとね。

・・・思ったけど、考えたらこの量二人で食べるのよね?

流石にちょっと多すぎた様な・・・まぁ余ったら明日食べればいっか!

よし、こんなものかな。後はシロが帰って来てからね。

時間的には後二時間くらい余裕あるし、少し仮眠でも取っておきましょう。

朝からずっと動いてて眠気が・・・


二時間後、シロが家に帰ると横になっているのマキを発見した。

初めに見たときシロはマキが倒れたのでは無いかと思っていたが、寝息を立てているのを聞き、少なくとも死んでいないことは確認できた。

しかし、なぜこの時間にいるのかだけはわからなかったので少しの間迷ったが、マキを起こすことにした。


「マキちゃん、起きて」

「ん・・・シロ?」

「こんな時間に家にいるなんて、仕事は?」

「今日はお休みにしてもらった」

「へー・・・って、二度寝しようとしないで!」

「もう少しくらいいいじゃない、シロが帰って来るまでなら大丈夫だから・・・」

「帰って来てますけど・・・」

「・・・んんっ!!??シ、シロ!?い、いつ帰って来たの?」

「ついさっきよ。帰って来たらマキちゃんが床に倒れこんでてびっくりしたんだから」

「あはは、ごめんごめん」

「それで、なんで今日お休みだったの?」

「あ、そうそう!今日クリスマスイヴでしょ、お祝いしないと!」

「え、それって明日するものじゃないの?」

「え?私のところは今日してたけど・・・」

「私は明日だったわ」

「じ、じゃあ今日作ったもの全部明日に回しておく?」

「いえ、それは面倒だし、今日食べるわ!」

「もしかして、本当はただ食べたいだけ・・・」

「さ、早く準備しましょう!!」


こうしてシロとマキ、二人のクリスマスパーティが始まった。

机に並んだのは鳥の丸焼きが二つ、ピザが四枚、ローストビーフ、そしてショートケーキとフルーツタルト。

シロは見た瞬間目を輝かせていた。私は並べただけでもちょっとお腹が一杯になりそうだけど。

二人で食べ進めていくと、結構早い段階でピザが四枚全て無くなっていた。

その後にはローストビーフ、そして鳥の丸焼きも二つとも無くなっていた。

ケーキは流石に片方余るだろうとマキは予想していたがシロの勢いは止まらず、ケーキも全て完食してしまった。

どうやらこれくらいの量だと、シロは完食できてしまうらしい。恐るべし、シロの胃袋。

しかし、ここで戸惑っていてはいけない。この後夜の重大イベントが待ち構えている。

夜にやることがあると言い訳し、シロを先に寝かしつけた。

シロが寝たのを確認すると、気づかれない様にクローゼット開け、隠しておいたプレゼントをシロの枕元に置いてあげて終わり!

ハッピークリスマス、シロ。

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