第11話 秘密の待ち合わせ

マキが家を留守にしてシロが家で盗聴器を探していた時、マキは勤務先とは別の方向へ移動していた。

マキは家を出る前シロに仕事が入ったと言っていたが、実は嘘で本当は人との待ち合わせがあったのだ。

指定された場所に着きしばらく待っていると、視線の先に待ち合わせの相手を見つけた。


「菜々さ〜ん。ここですよ〜」

「あ、マキちゃん。こんにちは」


そう、マキは菜々と待ち合わせをしていたのだ。

普通なら待ち合わせがあるとか言って家から出ても何も無いだろうが、マキの場合は少し状況が違った。

なぜかシロが菜々の名前を出す度にシロはあからさまに顔をしかめるのだ。

そのため、今回は嘘をついて菜々との待ち合わせを多なったのだ。


「この前はシロの看病、ありがとうございました」

「いいのよ、別に。困った時はお互い様でしょう?」

「菜々さん・・・!私、菜々さんみたいな素敵な人に出会えてよかったです!」

「あら、嬉しいこと言ってくれるわね」

「それで、今日は何をすればいいんですか?」

「そうね、色々買いたいものがあるし、荷物を運ぶのを手伝って欲しいの」

「それくらいならお安い御用ですよ!」


菜々とマキは近くに建っているデパートに入って行った。まず最初に二人は古本屋へ向かった。

マキが色々と見ている間に菜々は買いたい本の棚を行き来していた。

恐らくどこに何があるかをだいたい把握しているのだろうか、数分後には既に会計を終えて戻って来ていた。


「あれ、もう終わったんですか!?」

「えぇ、買うものは決めてたからすぐに終わったわ」

「それにしても古本屋って色々と興味深いものが多いですね・・・」

「そうなのよ。マキちゃんも探してみると結構ハマるかもしれないわよ?」

「そうかもしれませんけど、今日は奈々さんの付き合いがあるのでまた今度来ます。それで、次はどこに?」

「うーん、そうね。次は家電、かしらね」

「何か壊れたりしたんですか?」

「えぇ、カメラがちょっとね。それと予約してたものがあったからそれを受け取りに」

「いいカメラが見つかるといいですね〜。でも、受け取るものがあるなら私、お店の外で待ってた方いいですかね?」

「あ、それなら先に下の喫茶店で待っててくれないかしら。私も荷物受け取った後で行くわ」

「わかりました。では、先に行ってますね」


マキが喫茶店へと向かって行ったことを確認すると、菜々は家電ショップへ入って行った。

そして少し店員と話した後、小さな箱を受け取りそのままマキの待つ喫茶店へと向かって行った。

喫茶店に着くと、マキが近くのテーブルを確保して待っていた。

その後は、喫茶店で二人で談笑をし、シロへのお土産を買った後二人で一緒に帰って行った。

マンションのエレベーターに乗っている時、菜々がマキに話しかけた。


「また一緒に出かけましょうね」

「はい、また時間の空いてるときにでも!」

「ありがとう、今日は楽しかったわ」

「私もとても楽しかったです」

「それじゃあ、またね」

「はい、また!」


菜々はエレベータの前の家に入って行った。

エレベーターから家が近くて羨ましいと思いながらマキも自分の家に入って行った。

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