第12話 学校からの呼び出し

マキが昼で仕事を終えて同僚と喫茶店で世間話をしている時、突然マキの電話が鳴った。

一旦、トイレに行って携帯を開いた。・・・この番号って誰のだろう、電話に出るか一瞬迷っていたがマキは出ることにした。


「はい、もしもし」

『あ、もしもし。シロちゃんの保護者の方でしょうか?』

「あ、は、はい。そうですがシロに何かありましたか?」

『実は体育の時間にちょっと足をひねってしまったみたいで。それで、一応病院に行ったほうがいいと思ったのですがシロちゃんが行かないって言い出しまして・・・』

「あー・・・ちょっとシロに変わってもらってもいいですか?」

『わ、わかりました』


多分だけど、シロは私に迷惑を掛けたくないから行かないって言ってるんだろうな・・・

自分のことを犠牲にしたところで私は何も嬉しくないよ。


『マキさん、お仕事大丈夫なんですか・・・?』


「そんな心配しなくていいの。あなたはいつもそうやって自分のことよりも私のことを優先して・・・」

『だけど私のために早く帰らなくても・・・』

「今のあなたは子供なんだから、私のことは心配しないでむしろ頼りなさいよ。それに、今日は元々早かったから支障は一切無いわよ」

『・・・じゃあ、お願いするね』

「それじゃあ私が行くまでおとなしくしてなさいよ」

『わかってるって』


マキはトイレから戻るなり、みんなに事情を説明した。

するとみんなから早く行ってあげて、など励ましの言葉をたくさんもらった。

みんなにお礼を言ってからマキは喫茶店を出た。

そして外でタクシーを呼び止め、シロの通っている学校まで向かった。

学校に着いたものの、どこに保健室があるかが分からなかった。

玄関先であたふたしてると、一人の人がこちらに歩み寄ってきた。


「あの、もしかしてシロちゃんの、保護者さんですか・・・?」

「あ、先生ですか!」

「は、はい!」

「あの、保健室の場所が分からなくて」

「あ、はい。多分、そうなるとシロちゃんが言ってたので探しに来ました」

「あはは、そこまでバレてたのね。それじゃあ案内お願いできますか?」

「もちろんですよ!」


シロの担任の先生に着いていき、なんとか保健室までたどり着いた。

それにしても優しそうな人ね、ちょっと話す時に間が空くけど。

保健室に入ると、シロは退屈そうに椅子に座っていた。


「あ、マキちゃん」

「あ、あなた随分と退屈そうね」

「ま、まぁ暇だったしね」

「シロ、歩ける?」

「それくらいはできるって」

「それじゃあ、早いうちに病院に行きましょうか」

「はい、それでは先生また明日」

「えぇ、気をつけてね」


シロの荷物を持って、二人で学校を出た。

そして再びタクシーを呼び止め、今度は病院へと向かって行った。

病院で診察を受けたところ、軽い捻挫だっていうことがわかった。

帰りに近くのスーパーで湿布を買ってから帰った。


「そういえば何をして足をひねったの?」

「考え事をしながらバク転してたら受け身失敗しちゃって」

「あなたが失敗するなんて珍しいわね」

「一体誰のせいだと思ってるのよ・・・」

「えぇ、私何かした?」

「はぁ、もういいから。それより私は今日足をひねったので思うように歩けないから今日はご飯を食べさせてね」

「いや、さっき普通に歩いてたよね!?」

「あ、あとデザートに桃もお願い」

「やっぱり元気じゃん!!」

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