第7話 シロと再びの同棲

前回、シロに料理を振る舞ってから、マキはシロの家によく料理を作りに来るようになっていた。

そうしているうちに段々と、シロの家にはマキの私物が置かれるようになって行った。


「マキちゃんのもの、だいぶ増えて来たね」

「あ、ご、ごめんね。持って帰るの面倒くさくてさ、つい置いて行っちゃうんだよね」

「まぁ、私はいいけどさ。どうせなら一緒に住む?」

「え、いや、何で!?」

「何でって、最近自分の家に帰ってないでしょ?夜もうちで寝てるし」

「う、い、いつだろ・・・でも、ものを取りに行ったりはするよ?」

「それだけでしょ?それならうちに来た方がいいって」

「でも、あんな事があったのにまた一緒に住んでもいいの?」

「別にいいじゃない。もうする気はないでしょ?」

「そりゃあ、まぁ」

「じゃ、決まりね。明日にでも手続きとかしましょうか」

「わかったわよ」


シロの突然な思いつきで、急に引越しが決まってしまった。

相変わらず物事を決めるのが突然すぎる・・・

いつだってそうだった。高校生の時に同棲しようと言い出したのも、エリだった。

急すぎて私も対応できない時があるけど結局、私はエリの思いつきに付き合ってしまう。

そして私は、引越しの準備を進めていた。

・・・と言っても私物なんてほぼシロの家に置いてるから、持って行くものが少なかった。

引越しの手続きを終え、シロの家に改めて入った。


「おかえり、マキちゃん!」

「ただいま」

「なんか久しぶりだね、こういうの」

「まぁ、そうね。前は当たり前のようにしてたけど、つい最近までは別々に住んでたものね」

「とか言いながら、ずっと私の家にい続けたのは誰かな〜」

「そ、それはもういいじゃない!」

「さ、早く入ってよ。料理もちゃんと準備してるんだから!」

「え、もしかしてシロが作ったの・・・?」

「もちろん!!」

「き、今日のところはもう帰ってもいいかしら?」

「マキちゃん何言ってるの?ここが家じゃない。ほらほら、料理が冷めちゃうからさー」


ううう、強引に部屋に入れられてしまった・・・


「じゃあマキちゃんとの同棲を祝って、かんぱ〜い!」

「か、かんぱ〜い!」


テーブルの上にはたくさんの料理が並んでいた。

うーん、見た目は美味しそうなのよねぇ。で、でもそうよね、前と一緒とは限らないわよね。うん、きっとそうよね。

よ、よし。食べよう。


「い、いただきます・・・!」

「どうかな、マキちゃん」

「ま、まずいぃぃ・・・」

「あ、あははは・・・」


や、やっぱりダメだ!もう前からずっとそう!

初めて作ってもらった時は見た目が完璧すぎて一瞬私より上手いかもしれないと思ったけど、食べてみたら走馬灯がよぎっていた。

そう、エリは料理が超下手なのだ。そして、生まれ変わってもその腕は全く変わってない!!


「うーん、美味しいと思うんだけどなぁ」

「あなた、やっぱりおかしいわよ・・・」


やっぱりこれからも私が作ろう。そうしないと私が死ぬ!

それにしても、どうしたらこんなにまずくなるのかしら・・・

今度一緒に料理でもして見て、確かめてみようかしら。

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