第6話 手料理
昨日は堂々とシロのことを幸せにする、とか言ったけど具多的にどうすればいいんだろう・・・
そんな事を考えながら、私は仕事を探しに出かけた。
とはいえ私は過去に問題があるし、雇ってくれるところなんてほぼ無いだろうと思っていたのだが、数時間もの間調べに調べて、ついに働けそうな場所を見つけた。面接も受けさせてくれるみたいだけど、もう少しだけ働けそうな場所を探しておこう。落ちたら困るし・・・
いくつか他の職場も見つけて、今日はもう帰ろうと思っていた時、突然後ろから声をかけられた。
「マ〜キ〜ちゃん!」
「うわ!シロ!!」
「こんばんは、今日は何してたんですか?」
「今日は仕事探しに・・・」
「あぁ、そっか。でもマキちゃん高校生の時、アルバイトしてたしお金まだ残ってるんじゃないの?」
「まぁ少しは残ってるけど、なくなったら困るじゃない?」
「確かにそうだね。それで、見つかったの?」
「えぇ、奇跡的に見つかったわ。それで、明日面接に行くの」
「へー、そっか」
「自分で聞いておいてあまり関心ないのね」
「まぁ今の私は子供だしね」
「・・・そういえばそうだったわね」
「あ、そうだ。この後、私の家でご飯食べない?」
「え、別にいいけど・・・」
「それじゃ、早く行きましょ!!」
シロに連れられながら、私はシロの家に向かって行った。
そういえば、シロの家って初めて入るわね。・・・ちゃんと家事できてるのかしら
若干の不安を胸に抱えながらも、シロの家のドアを開ける。一見、玄関はとても綺麗に片付いているように見えた。
しかし、その奥の扉のところから何か小さな布がはみ出している。これは一体・・・
気になってその扉を開けてみた。すると、その部屋には服や物が大量に散乱していた。
「シ、シロ?これって一体どういう・・・」
「え、えへへ。私って片付けるの苦手で、ついめんどくさくなっちゃって」
「だからって洋服を脱ぎ捨てる事はないでしょ!!」
「ごもっともです」
「まったく、昔も同じこと言ったじゃない。ちゃんと片付けなさいって」
「昔?何のことですか?」
「・・・」
「ごめんなさい」
「わかればよろしい。それで、まさかご飯もお惣菜ばっかりとか言わないわよね?」
「!?そ、そそそそんなことある訳ないじゃん!!」
「はぁ・・・仕方ないわね。お米炊いてちょっと待ってなさい」
シロにお米を炊かせている間に私は自分の家に一旦戻り、いくつかの食材を抱えて再びシロの家に入って行った。
そして台所に持ってきた食事を置き、手早く調理を済ませていく。
数分後、机の上には卵焼きや野菜炒めにきんぴらごぼうが並んだ。
「ほら、できたわよ」
「わぁ!!久しぶりのマキちゃんの手料理だー!!いっただっきまーす!!」
「味はどうかしら?前と味付けは変えてないのだけれど」
「すごく美味しいよ!流石だね、マキちゃん!!」
「そう、それはよかったわ」
マキは以前からエリに料理を作り続けていた。二人で住んでいた頃には、ほぼ全ての家事を巻がこなしていた。
本来は二人で協力してやるはずだったのだが、エリがあまりにも不器用過ぎたのだ。
そのせいでマキが一人で全てを行うことになったのだ。
しかし、そのおかげで家事のスキルがみるみると上達し気づけば料理の腕前がプロ並みになっていたのだ。
この十年包丁に触れられなかったが、どうやら体は覚えていたらしい。
なにはともあれ、自分のやってたことに救われたなぁ。
気がつくと、用意した料理全てをシロが完食していた。結構多めに作ってあったんだけど、大食いなのも変わってないんだ。
シロは満足したのか隣でお茶を飲んでいた。でも、今度作るときはもっと量を増やさないとダメかも・・・
そう、シロはお茶を飲みながら羊羹とモナカを食べていたのだ。
あんなに食べてたのにまだ入るんだ。もしかして、前より食べれたりするのかな・・・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます