第3話 事件の真相

「あの日、友達からメールが届いたの」

「メール?」

「えぇ。そこには、貴女が私の知らない男の人と仲良さそうに話している写真が送られて来ていて、それを見てたらなんだかもの凄く腹が立ってきて」

「それで私を?」

「いいえ、まだ続きがあって、その後一回落ち着こうとしたのだけれど友達にもしかしたら浮気かも、って言われたら頭の中が真っ白になって」

「その後、私を見つけて家に連れ込んだのね」

「そう、それで話を聞こうと思ったんだけど、自分でも感情が抑えきれなくて、それで・・・」

「なるほどねぇ・・・気持ちは凄く分かるわ。私もマキちゃんを取られるくらいなら殺すと思うし」

「へ、へぇ・・・」

「でも、最後のお願いくらい聞いて欲しかった、かな」

「あの時は、もう何も聞こえなくなってて。ただ、自分感情のままに動いてて・・・」

「まぁ、もういいわ。実際、どういうわけかわからないけど、私は生きてるわけだし」

「身長は前とあまり変わってないわよね」

「あんた一言余計なのよ」

「ふふ、ごめんごめん」


その後、二人は思い出話を語り合っていた。

その間ずっとエリは笑い続けていたが、マキは苦笑いしかできなかった。

ふと、店の中の時計に目をやると時刻は既に18時を過ぎていた。

私は大丈夫だが、エリの両親がきっと心配するだろう。

しかし、辺りもすっかり暗くなっている。こんな時間に、子供を一人で帰らせてもいいのだろうか・・・

だけど、エリを送ったとしてもエリの両親に有る事無い事言われそうで怖いな・・・


「話はこれくらいにして今日は帰りましょうか。帰り、送っていこうか?迷惑だったら行かないけど」

「別にしなくてもいいわよ。それに、私の両親はもういないし」

「え、それって・・・」

「大丈夫よ、一人暮らし歴は長いんだから。あ、言い忘れてたけど私、シロって名前に変わってるから今度からそっちで呼んでね」

「・・・また、会ってくれるの?」

「当たり前じゃない。あんたをずっと一人にさせるのもかわいそうだしね」

「それあんたが言うの?」

「まぁ、また機会があったら会いましょう。それじゃあね」

「うん、バイバイ。・・・やっぱり送って行くわ」

「はいはい。相変わらず心配性ね」


マキはエリの家まで、一緒に歩いて行った。

やはり一緒に来て正解だった。街灯のあまりない薄暗い道が通り道となっていた。

何か出そうな雰囲気のある道をビクビクしながら通り、なんとかエリを家まで送り届けた。

その後、エリから近くのホテルの場所を聞き、今日はそこに泊まることにした。

エリに教えてもらったホテルに着くまではそう時間もかからなかった。ホテルに入ってからチェックインを済ませて、部屋に入るなりマキは床に座り込んでしまった。

無理もないだろう、エリと会ってからマキの足はずっと震えっぱなしだったのだ。

自分の殺した相手がいつの間にか戻って来ていて、しかも自分を待っていたとなると予想される展開は一つしかなかったのだ。

それがわかっていたからこそ、本能的に震えていたのだ。次は自分が殺されるかもしれない、とマキそう思っていたのだ。

しかし、なぜかエリにそんな様子は無く、むしろ未だに好きでいてくれた。

それが逆に、マキには恐怖でしか無かった。なぜ殺したはずの私に構うのか。なぜ、殺したはずの私のことが未だに好きなのか。

それを宿泊先のホテルでもずっと悩んでいた。

そのまま何の答えも出せず、気がつけば朝を迎えてしまっていた。

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