第4話 再びの再会
朝、起きると体調はすっかり回復していた。
シロの事に関しては未だに何の答えも出ていないけど・・・
とりあえず、ずっとホテル暮らしって訳にもいかないし、家を探しにいこうと思い、ドアを開けた。すると、目の前にはシロが立っていた。
「おはよう、マキちゃん!」
昨日と変わらない笑みを浮かべながら、私を出迎えた。
それにしても、シロの目的って一体なんなんだろう・・・
私に対する復讐じゃないとしたら他に何が・・・
あ、そういえばシロって一応小学生、何だっけ。時間、大丈夫なのかな。
「・・・学校行かなくていいの?」
「え、何言ってるの?まだそんな時間じゃないわよ!」
「え、そうなの?今の学校って変わったのね。私たちの頃なら完全に遅刻の時間ね。」
「・・・ちょっと待って。今、何時?」
「今は9時よ」
その言葉を聞いた瞬間、今まで自信有り気だったシロの顔色が一瞬にして青ざめてきていた。
あ、もしかしなくても時間、間違えてる・・・
「・・・ここから学校まで何分かかるの?」
「30分」
「完全に遅刻ね」
「うぅ、時間配分は完璧だったはずなのに・・・」
「仕方ないわね、タクシーで行くわよ」
「え、で、でも私お金持ってないし・・・」
「それぐらい私が払っておくって」
「・・・それじゃあお言葉に甘えさせてもらうわね」
「そうしておきなさい」
ホテルのカウンターでタクシーを手配してもらい、シロとタクシーに乗り込んだ。
タクシーに乗っている間、シロは学校に電話をして遅刻の連絡をしていた。
目的地に着き、先にシロを降ろしてから会計を済ませた。
シロは私に一礼だけして学校に向かって行った。まぁ、せっかくここまで来たんだし、帰る前にちょっとだけ寄り道していこうかな。
あ、ついでに家も探しておこう。家族には縁を切られちゃったし、エリと住んでた部屋は多分使えないだろうし・・・。
辺りをふらついていると、近くに不動産屋を見つけたので入ることにした。
「いらっしゃいませ。本日はどのようなご用件で?」
「家を借りたいんですけど」
「アパートとマンション、どちらにいたしますか?」
「マンションでお願いします」
「かしこまりました。それでは少々お待ちください」
店員はそのまま後ろに戻っていき、いくつかの資料を持って戻って来た。
パラパラとページをめくりながら説明されているうちに一つ、ちょうど良さそうな物件があった。
オートロック・・・これならシロも流石に入ってこれないだろう。
「ここがいいんですけど」
「おぉ!ここの物件はちょうど一部屋だけ空いてるんですよ!決めちゃます?」
「お願いします」
「ありがとうございます。それでお家賃の方なのですが・・・」
家賃もそんなに高くはなかったが、貯金にも限りがあるし働き口も見つけておかないと。
新しい家の地図と鍵を受け取り、私は家の方へと向かった。
何やら家具が大方揃ってるらしい。それでも家賃がお手頃とは、中々良い物件かも。でも、ちょっと怖いかな。
新居のエレベーターに着くと、ちょうど誰かが降りてきていた。
背が高く、綺麗な黒髪の女性だった。でも、どこかで見たことあるような・・・
とりあえず部屋の確認だけでもしておこうと思い、私はエレベーターに乗り込んだ。
自分の部屋にたどり着き、早速ドアを開ける。
おぉ、思ってたよりも広い。リビングに入ってみると、ベッドやテーブル、それに冷蔵庫など全て揃っていた。
ベットにダイブすると、あまりの気持ち良さについ眠りについてしまった。布団の柔らかさには耐えられなかった。
目を覚ますと、時刻は既に17時を過ぎていた。あ、隣の人達に挨拶しにいかないと。
軽く身支度を済ませてから、右隣の人のインターホンを鳴らした。
出て来たのは、さっきエレベーターを待っている時に出会った女の人だった。
「あの、今日ここに越してきたものです。どうぞよろしくお願いします」
「あ、わざわざどうも」
「・・・あのー」
「はい?」
「私たち、どこかで会ったことありませんか?」
「・・・いいえ、私はちょっと覚えがありませんね」
「そうですか。すみません、変なことお聞きして」
「いえ、大丈夫ですよ」
「ありがとうございます」
「それでは」
やっぱり気のせいだったのかな・・・。とりあえず、左隣の人のところにも行かないと。
家のインターホンを鳴らすと、走ってくる足音が聞こえてきた。
「あ、すいません。今日、こちらに越してきたもの、で・・・シロ!?」
「はーい、どちらさ・・・マ、マキちゃん!?」
「え、ど、どうしてあんたがここに!?」
「そんなのこっちが聞きたいわよ!!」
どういうわけか、シロが住んでいたのは私の隣の部屋だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます