第22話 昼食




あれから日を跨ぎ、俺達は朝っぱらからもう一度図書館へ向かい、今日は文献を読み漁った。


が、内容は俺の求めてるモノと大きく乖離していた。アンバルレードが研究の都である分、こちらの文献には研究による推論が書かれているだけ。




曰く、精霊とは我々が認識出来ないだけで確かにそこに存在し、万物に宿る。


精霊自体に意思はなく、我々の魔法はその精霊の力を借りているに過ぎない……




いや、そんな訳ないだろ。


魔力の存在はこの世界で実証されてる。それに、精霊をその定義で仮定するなら絵本の伝承はどうなる。


伝承とはいえ、何らかの一大事が起きていなければそれは伝承されない。


イエス・キリストの復活は多くの人間が目にした訳では無いが、実際にその姿を弟子達が目の当たりにしている。実際に蘇ったかどうかは知らないけど、それに準ずることが起きてたはずだ。多少の過大表現はあるかもだけどね。





一方で絵本の物語では、例外なく無数の人々に認識された出来事として描かれていた。

イエスの話がおよそ二千年前の話だが、この物語の時代背景はもっと新しい。


せいぜい千年を超えるくらいだろう。


だからこそ、ここまで伝承とかけ離れた理論は限りなく有り得ない、と考えた。




ま、可能性として、例えあったとしても、文献の言ってた精霊は精霊とは別の存在だと思う。


確かに物語の精霊の話が、意志を持った魔物の可能性はある。

が、魔力の存在の裏付けがある以上、この文献の精霊の定義は完全に否定できるのは確かだ。


それに俺も、未確認生命体が発話していたのを確認している。あんな姿がない魔物なんてゲームでは出てこなかった。







そんなこんなでさらに数冊読んだが、これもやはり空振り。昼過ぎになって、俺達は図書館での用事をすべて終えた。



「ありがとうございます司書さん。」



「……もう読んだの?」



「はい、正直、僕が欲しかった情報はほとんどありませんでした。」




俺は一人称を敢えて変えてシュンと落ち込んだふりをする。



「そっか、それは残念ね。」



そんな声をかけてくれる司書さんに、俺は若干近づいて小声で聞く。



「ねぇ司書さん、どうやったら禁書庫の閲覧が出来るようになるかな?」



「……君、それ本気で言ってるの?」




もちろん俺は大きく頷く。

あったりまえでしょ。まぁ、これはただの知的好奇心ってやつです。



「そ、そうね。功績でも残せればナインズから認めてもらえるかも。それ以外には思いつかないわ。ごめんね少年。」






……ナインズ?

9人の統治者達のことか?

となると、功績さえ残せば禁書庫に入れるって感じか!


たしかに、それは盲点だった。実質統治者になれば施設なんて高い放題だろうし!


いやぁ、良かったぁ。


それなら何とかなりそうだ!




「そっか!ありがとね司書さん!また来るから!」



「はいはい、いつでもどうぞ。フフ。」




司書さんは最後に微笑んで俺達に手を振った。俺も小さくてを振り返して、俺達一行はアンバルレード国立図書館を後にしたのだった。




◇◇◇




図書館を出ると護衛の2人が大きく息を吐いた。



「やぁ、若は凄いですね。」


「俺達は息苦しかったですよ。」



2人とも、「暫く図書館には行きたくねぇ……」と呟く。



「すみませんお二人とも。俺の我儘を聞いてくれてありがとうございます。もちろんシュラナさんも、ね?」



感謝は忘れない。これは礼儀だ。

すると騎士さん達もシュラナさんも若干たじろぐ。



「そう言えばお昼まだですね。昨日は完全に逃しちゃったから今日は絶対に食べたいなぁ。」



俺の言葉にすぐさま騎士さん達が反応する。多分相当お腹すいてたんだろうね。どれだけ図書館が苦痛だったのか物語ってると言っても過言じゃない。




「この辺りだとどこがいいんでしょう。……下調べをするべきでした。アルヴィス様、すみません。」




いやいや、謝らないでよ!

こっちが困るから!




「いいんだよシュラナさん。慣れない土地でどこに何があるかなんていきなりは分からないのが普通だから!だから謝らないで。俺が困っちゃうからさ。」




それにーーーと俺は続ける。




「実は俺、近くに美味しそうなお店見つけたんだ。シュラナさんも皆さんもどうです?」



「はい、私はアルヴィス様のお付です。何処へでもお供しますよ。」



「ほぉ!若が目をつけた場所か!それならきっと当たりですよ!」



「是非お供させてください!ハッハッハッハ!」




騎士の2人は図書館という地獄を抜けてテンション高めだな。

シュラナさんは……ま、いつも通りなんだけども、そんなフランクさを父さんにも発揮してくれたらなぁ。


母さんも喜ぶだろうに。





俺は、はぁ……とため息をついて、首を傾げるシュラナさんに一言耳打ち。




「シュラナさん、父さんにもその感じで接していいと思うんだけど?」




「ヒャッ!!?アルヴィス様!?」




スキル歩法を解除して自由落下し、地面に着地。


騎士さん達は興味津々で、「何です?」とか「俺達にも教えてくださいよ?」とか言ってたけど、これに対してはシュラナさんがガチで白い目を向けてた。




「アルヴィス様、あまりそういう事を言ってはいけませんよ?」




シュラナさんの顔は笑ってる。


が、その目の奥は笑ってない。


騎士さん達もそのシュラナさんの後ろ姿を見て、さっきまでのハイテンションが嘘のように下がってた。




やっぱり女性、怖いよ……




でも母さんも怖い。旅の間に何か進展でもなければ俺が問いつめかれない。








だからせめて一言。








「……俺はシュラナさんが母さんと一緒に母親になってくれたら嬉しいけど。」




俺とシュラナさんの2人だけに聞こえる声量での呟き。そして林檎のように顔を真っ赤にするシュラナさん。しかしそこを敢えて指摘しない。




「でも分かったよ!じゃあ早速お昼に行こっか!」



「そ、そうですね!若、昼ご飯に行きましょう!」



「いやぁ、た、楽しみだなぁ!」




騎士さん達は明らかに空気を読む。うん流石はできる騎士!




「ほら、シュラナさんも行こっ!」




「あ、は、はい……」




俺は子供の特権、無邪気さという武器を使い、真っ赤なシュラナさんの手を引いて歩き出したのだった。




◇◇◇




「ここはフェルサンの料理店ですね。」


「おお!流石は若だな!」


「いやぁ、目の付け所が完璧ですな!」




煽てても何も出ませんけどね?



と、言う事で俺達は図書館から数十メートル先の、ノーラン・ハーべリアと言う料理店。シュラナさんの言う通り、ここはフェルサンという料理を売りにしている店だ。


ゲーム内でも屈指の名店。


エフェクトも最強過ぎて画面の外からでも美味かった、ってレベル。

いやぁ、ずっと食べてみたかったんだよねぇ!



ところでそのフェルサンとは一体、と思うかもだけど、これは一種のうどん、とかパン、とかそう言ったモノ。




うどんと言っても、かけ、ぶっかけ、釜玉、釜揚げ、つけ、ざる、などなどメニューは様々。


パンだって食パン、メロンパン、カレーパン、ピザパン、ミルクパン、コッペパンなどと、種類は豊富。


フェルサンもこれに似てて、種類はたくさんある。もちろん店によってその販売種類も様々。




なら、その実態はどんなものなのか。




と、問われても俺はゲーム内での噂と映像だけだからよく分かってない。知ってるのはそのフォルムだけ。どういう食べ物かも知らん!






「ほら、入ろ!俺お腹すいたよ!」




俺達は店に入る。

席は何処と無くファミレスに近い気もするな。




「いらっしゃいませ。席はご自由にどうぞ。お決まりになりましたらお呼びください。」




と、店員さんの対応してくれ、俺達は適当に席を見つけて座る。




「ほぉ。」




俺はメニューを見て驚いた。


ゲームでは全てコマンドだったのに、メニュー表は白黒ながらも写真付き。




「流石はアンバルレードですね。」



「全く驚きです。」



「メニュー表にあの技術を使えるなんてこの国くらいですよね。」




シュラナさんの呟きに2人の騎士さん達が応える。因みに俺とシュラナさんが隣で騎士さん達は向かい側だ。




「あの技術?何それ?」




聞いたことないぞ、そんなもの。


確かにこの世界に活版印刷の技術があるのは知ってるよ?遺跡から発掘された、複数の魔法を連動させる魔道具の再現に成功してたってのはストーリーで出てきたし、それがきっかけでストーリー上で必要な情報も拾えるようになった。


けど、この世界に写真があるなんて知らんかったんだが。




「あぁ、これは刻印魔法の応用した造影魔法というものらしいです。」



「何でも遺跡発掘時に見つかった魔道具の起動に成功したみたいなんです。」






マジか。科学無視でこんな事まで出来るとか……流石は魔法の世界だな。



いや、と言うか遺跡からの掘り出し物のスペックが高すぎるのか。実際にはアンバルレードもその魔道具を修理したに過ぎないから。


それでもオーパーツを修理できるってやばいよね。つまり技術力だけは過去の超文明に追いついてるって事じゃん。

過去に超文明があったかどうかは知らないけど。




「なるほど。遺跡には便利なものが眠ってたんだ。」




にしても初耳だな。確かにストーリー上で遺跡の攻略はあった。でもその類のアイテムは出てこなかった。



……まだまだ俺の知らないことがたくさんあるなんて、やっぱりこの世界はワクワクする!






「アルヴィス様、それより注文は決めましたか?」



「うん!」




ま、写真には驚いたけどそれとは別に俺は始めから注文は決めていた。

ゲーム時に最も食べてみたい料理ベストファイブにノミネートしてた。




それが、リオーネペルフェルサンだ。




◇◇◇




俺は店員さんを呼んで全員分のオーダーをした。店員さんは俺の事を微笑ましく眺めてたけど……多分子供が背伸びしてるとでも思ったんだろうね。




俺は子供じゃないけどね!

まだ5歳ではあるが。


「頑張ったね坊や。」ってめっちゃ褒めてくれたのは、まぁ悪い気はしなかった。



そんな感じで今は料理待ち。サーブまでは大体10分程度らしい。俺は店員さんがサービスしてくれたストロベリーに近い果物から出来たクベールジュースを飲みながら窓の外を眺めてた。






「ところで若。」




そんな時、騎士さんが話しかけてくる。




「はい、なんでしょう?」



「ずっと聞きたかったんだが……若ってなんでそんなに強いんだ?」




おぉ、直球だね。




「お嬢も確かに強い。あの歳で低レベルとは言えモンスターを一方的にボコボコにしてる奴なんて早々はいねぇ。」



「まぁ、そもそも大抵の子供は戦闘なんてしないんだがな。」




2人の騎士さんが交互に話しを続ける。




「だけど若、あんたはそれでも別格だ。7か月前のレオンの旦那との戦闘、あれを見て俺は呼吸を忘れて死にかけた。」




「それなら俺もですよ。驚き過ぎて瞬きしてませんでした。」




え?


そこまでだったかな?


あの時は俺もまだまだだったんだけど。




「それにこの旅での途中の戦闘。」



「あれは、明らかに模擬戦の時より魔力操作が精密になってました。」




流石だね、貴族に仕える騎士さんなら分かるか。実際は魔力操作だけじゃなく魔力の総量も上がってるんだけどね。




「で、お願いなんです若。俺達は強さの秘訣が知りたい!聡い若なら理解出来るはずだ、俺たち騎士ってのは身体を動かすだけが資本なんだ。

だから主を護れるように強くならないといけねぇ。」



「俺からもお願いです。もちろん全部教えて欲しいなんて言いません。ですが何かコツや心構えだけでも。」




まぁ、そうだねよ。貴族に雇われる騎士って護衛が主な仕事だもんな。


それに強くなりたいって気持ちもわかるし、ね。




「では一つ、お二人にはご家族はいますか?」




と、俺の問いに、「はい?」と聞き返す騎士さん達。




「い、いますね。」




「はい、他の隊員も殆どは家族を持ってますが……」




「では考えてみてください。家族が無惨に残殺される光景を。」






「「ーーーーッ!!!」」






2人は息を呑む。


一方でシュラナさんは俺の頭を撫でてくれる。


かつてこの話は、姉ちゃんから同じ質問をしてきた時に、シュラナさんを交えて話した事があった。



正直悲しい話だよ。この世界はワクワクして楽しい。けど同時にそんな想定が容易にできる世界なんだ。






綺麗な部分だけのご都合主義的な世の中ではない。






「俺が強くなりたいと思う原動力は、大切な人達を護ること。俺は大切な人達が死ぬ未来なんて見たくないから。」




ニコッと笑い、俺はそのままゴクッとジュースを飲む。これ、中々に美味いな。




「……誰かを護るために。」




「……大切な人達を、か。」




そう呟く騎士さんにシュラナさんが、「でもアルヴィス様は傲慢ですから、そんな理由で世界最強になりたいって言うんです。」と、笑みをこぼす。




「世界最強かぁ……何か、あれだな。考える事が凡人とは違うな。」



「差し出がましいかも知れませんが、お二人とも。アルヴィス様はそれに見合う修行をなさってますよ。」



「「……」」




確かにシュラナさんの言葉の通りではある。俺や姉ちゃんは訓練してるから強くなるのは当然だ。


でも、根本的に、修行は誰でもしてることではある。それは騎士さん達も同じ事だ。




ただ、そこで一番忘れてはいけないことがある。


それがーーー




「ーーーこの世界において、特化型は強くなれないですよ。」




そう、ゲーム内でもそうだったが、この世界は詰みゲーなんだ。一点特化も確かにいいけど、本当に強くなりたいなら器用貧乏の壁を超えるしかない。



そしてその為の抜け道も多くある。



閉口してた騎士さん達が俺の呟きに反応を見せる。




「騎士さん達は勉強した事あります?」



「い、いや。俺はないな。」



「俺は学生の時にやってたが。」




「あぁ、俺の言ってる勉強は、騎士さん達が剣の訓練に打ち込む時くらい本気でするデスクワークの事です。」



「……そこまで本気にはなったことはないな。程々に、って感じだったよ。」



「はっきり言います。ある技能に特化させて強くなる、それも一つの方法だと思いますけど、それではいつか必ず限界がやってきます。」



「「……」」



「修行するのは当たり前、問題はそんな当たり前、皆がやってる事を自分もした上で、どうやって他の人を追い抜くか。

考えた事はありますか?」






騎士さん達は生唾を呑み、「いや……」と一言。






「スキル、魔法、戦術、駆け引き、戦闘に組み込めるモノは無数にあります。が、その根源にあるのは思考であり、知識です。」




俺はもう一口ジュースを飲むで一息つくと話を続ける。ほんと美味い、何か隠し味的なもの入ってたりするのかな?




「ただひたすら修行?俺はしたことありませんよ。どんなスキルを狙って修行するか、どうすれば小さな魔力で魔法を放てるか、どうすれば敵の隙を作れるか。

そして、それらを成し遂げるにはどんな知識が必要なのか。」




俺は机に置いたコップを手に取るが、なんともう飲みきってたみたいだ。

美味しかったし仕方ないか……残念。




「修行だけじゃ足りないんです。勉強が嫌いな人はそもそも強くなれない。そして何が上手くいかない原因なのか、と追求しないような研究心がない人も、ね。」




その時、店員さんが料理を持ってきてくれた。


なんだか騎士さん達も思う所があったみたいだから、そっとしておこう。



「お待たせしました。」



声をかけてくれたのはさっき受け答えしてくれた人。その後ろにもう一人。


俺たちの頼んだセットメニューがお盆に纏められており、2人で4人分を運んだ形だ。






「ありがとうございます!

うわぁ、すっごく美味しそう!」




な、なんだこれ!


ゲームの映像で見たのと全然違う!

ただでさえ美味しそうだったのに、実物はその比にならないぞ!




お盆には4つの料理が並べられてる。




まずはサラダ。


日本でも定番だったキャベツ、トマト、たまご、コーン、ピーマン類などが彩り、あっちの世界にはなかった、水分を多く含んだ小さい豆のモーノや、綺麗な水色の爽やかな香りを発し、味と言うより風味を際立たせる小さな立方体のパズラーク。


天辺にはゼリー状のサクランボみたいな果物であるマットラ。




そして極めつけは桃色のソース。




この世界ではドレッシングの類いは多くない、が、稀にこの店のようにオリジナルドレッシングを提供してる所もある。


新しいモノを作るのは難しい。


ドレッシングにしてもそうだ、大概の店で既存のレシピが使われてるのは調合が難しいからにほかならない。



そして俺を以てしてもこのドレッシングの調合はホントに分かんないのですよ。

どやって使ってんの?って毎回思う。





次にスープ。


これはネットラントスープだ。この世界での定食の定番メニュー。向こうの世界で言うところのコーンスープみたいな、万人受けする立ち位置。



もちろん味はコーンスープではないよ。


正直、形容しかねる所。

そもそも素材自体が地球には無いものだからさ。ただめっちゃ美味いとしか言えない。





で、3つ目はブレット。

これは地球でのハスクに似てる。素材もちろんパン。薄く、二口程度にカットされたブレットのミミ周辺は固まってる。


ただ、ハスクほどカチカチではなく、パンのフワフワ感が残ってる。一体どうやって作ってるんだこれ。





そして最後のフェルサン。


フェルサンは楕円形で薄くスライスされた食べ物。

普通は白い色をしてるこの食べ物だが、作る過程で生地にリオネイラとネサという香辛料と香味を混ざ合わせたらしく、ほんのり赤と黄色に彩られてる。


フォークでつつく感じ、どこか餅に近い感じもするがそこまでの弾力性はなさそう。


ナイフとフォークで容易に食べられそうだ。フェルサンの作り方なんてゲームでは出てこなかったからな。


どんな調合なのか気になるところではある。




そして何より、今回俺が注文したのはリオーネペルフェルサン。


平皿に六枚の楕円形フェルサンが正六角形の一辺になる様に置かれてい、空いた中央にはペルと呼ばれる肉料理。

肉と言っても魔物肉だ。普通は臭みの関係で敬遠されるが、それも施しようによってかなり美味しく化ける。




さらに小さなトッピングが乗せられ、バジルソースの様な薄緑色の細いドレッシングがに使われてる。


一皿に、まるで銀の宇宙を作り出しているかのような芸術作品とも言える。






な、何故だ!


何故このセットはこんなにもキラキラして見えるんだ!光のエフェクトが見える!キラキラしてヤバい、見てるだけですでに美味い。




「頂きます!」



「アルヴィス様、ゆっくり食べてくださいよ。喉に詰まらせたら良くないですから。」




俺は「うん!」と一言応えてフェルサンにナイフをいれる。


もちもちした感覚、それであって尚、スッと切り取ることが出来る。ソースと肉を共にフォークで口に運びーーー






「んん!!」






ーーー超美味い!


これが、あのリオーネペルフェルサン。最高かよ!


このドレッシングの類いが発展途中の世界で、ここまで完成された料理が提供できるのはまさに神業。


止まんねぇ!




「美味しい。」




隣でシュラナさんも驚いた顔をしてる。

ちなみにシュラナさんも俺と同じ料理だったりする。




「お二人は食べないんですか?考え事も良いですけど、お腹空いてたら動けませんよ?」



「あ、あぁ。そうだな若。」



「……あ、もう来てたのか、気づかなかったな。」




かなり考え込んでたみたい。俺の考えがヒントになればいいね。


そんな事を思いながら俺は他の料理にも手を出してく。その度に、美味い!という衝撃が身体を駆け抜ける。


騎士さん達はそれぞれが別の注文だったけど、二人ともその美味しさに目を見開いた。








「……ん?」




そこで騎士さんが唐突に頭を傾げる。




「若、今動けないって言ったよな……どういう事だ?次、どこかに行くつもりなのか?」




「え?そりゃ決まってるじゃないですか、まだお昼すぎなんですよ?」




俺はそう言うとニッと笑って。




「次はハンターギルドに行くつもりなんですから!」



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