第19話 未来の話





時が経つのは早いものだ。

あれからおよそ2ヶ月、俺と姉ちゃんは修行と勉強の日々を送っていた。


そしてその進捗だけど、姉ちゃんの成長が、それはもう目覚しい。

俺の成長も実力を上げた為に、必要熟練度が増加しているはずにも関わらず、いい具合。




と、言うことで俺は今日、なんと5歳の誕生日を迎えた。

2ヶ月前、爺ちゃんたちは3日の滞在の後で家に帰ったけど、今日は俺のために駆けつけてくれたらしい。



しかし何と言うか、すぐに帰ってしまった。



朝に来て夕方までいてくれた。ご飯を一緒に食べると、誕生日を祝ってくれた。

でも泊まることなくそのまま帰ったのだ。

俺と姉ちゃんは泊まればいいって言ったのにな。ちょっと残念。


でも、それは爺ちゃん達の気遣い。

今ならわかる。

リアノスタ現当主は俺の父さん、レオンだ。

つまり、ことリアノスタ家の采配は全て彼にかかっているってこと。横から口を挟むのはじいちゃん達の主義に反するらしい。





「ここよアルヴィス、エストリア。」




こんな思考ができるのにもわけがある。


書庫の、とある角。

俺と姉ちゃんは父さんと母さんに連れられて、そこに、辿り着いた。



俺も姉ちゃんもここ2ヶ月で勉強の為に何度も通った書庫。俺に至っては2歳の頃からのよく親しんだ書庫。




「見てなさい2人とも。」




そう言うと父さんが短刀で指に傷を付けた。軽く流れる血を棚のはりに、なぞる様に血を擦り付ける。






すると父さんの血が貼りに吸われ、代わりに深紅の文字が浮かんで来た。








……うそ、だろ?






俺は驚愕の表情を隠せないほど驚いてしまった。



血盟魔法、これはまたぶっ飛んだ魔法だ。



通常の魔法に関して、魔法名は魔法性質を冠としているため、様々な魔法種類が存在する。

例えば水の魔法で言うところのバブルチェーンとかモーラスとか。


一方で血盟魔法、血盟魔法はそれ自体が魔法なのだ。つまり血盟魔法は血盟魔法だけしか存在しない。






にも関わらずその階級は、魔法階級最高のビンス。






効果自体は、特定の合言葉による魔法自体の保管という単純なもの。


例えば小石に合言葉を刻み、そこに血盟魔法を刻むことで小石自体に魔法を一つ保管できる。


そして血盟魔法では特定された人物の血を塗る事で、魔力ゼロでも保管された魔法を発動出来る、というもの。




この魔法、実はTrampling On The Victims内でもビンスの割には弱い、そう言われていた。

何せ自分の使う魔法をわざわざコピーして使う、なんてことする理由がほとんど無い。


唯一、魔力消費のどデカい魔法を血盟魔法でストレージ一杯までコピーし、強敵を嵌める、ことくらいにしか使われなかった。




確かにそれでも相当な火力が出る。


しかしこれでは効率が酷く悪かった。


何せ血盟魔法はコピーする魔力量に応じて一度に行使する魔力が変わるからだ。




当然、強力な魔法には魔力が大量に消費される。そしてそれをコピーするとなると、それはもう想像を絶する魔力量になる。


加えてその保管に必要な魔力に耐えられる媒体も用意する必要があるし。




だからプレイヤーからは気休め程度でしか使われなかった魔法ってわけ。










しかしそれは本質ではない。




血盟魔法の本質、それは自分以外が使うところにある。これに気がついたプレイヤーは恐らく少ない。攻略サイトに乗ったのもプレイヤー人口がだいぶ減ってからのことだ。



というのも、自分での使用が意味を持たない魔法でも、レベルが低い仲間に使わせる事で手数が増え、実質自分が分身した様な攻撃を与えることが出来る。






具体的に言おう。






例えばレベル100のキャラAがレベル50のキャラBとパーティを組む強制イベントがあるとする。


もちろん2人で生還しなければクリアにならない縛り。




Aの攻撃ならたったの4発で倒せる相手だが、もちろんBは足でまといであり、その敵の攻撃をたったの一撃喰らうだけで死んでしまうとしよう。



つまりは4ターン、Bへの攻撃が無ければ勝てるが、それは同様に確かな確率であっても16分の1。


さらに敵は弱い相手を狙う傾向にあるため運ゲーに持ち込むならさらに低確率を引かなければならない。






これは実際にあったイベントだ。


あまりに鬼畜すぎて辞める人も多かったらしいが、やはり運ゲーに持ち込んだプレイヤーが多数を占めていただろう。




しかしここで血盟魔法を使用すれば?




AはBを守り、Bは血盟魔法でストックされた魔法を敵に当てるだけの簡単なお仕事。


そう、言い方は悪いかもしれないけど、雑兵であっても、この魔法を使えば誰でもある一定レベルの魔法を使用できるということ。


それも、自身の魔力消費ゼロで、だ。




パワーバランスもくそもなくなる。








血盟魔法とはそんなぶっ壊れた魔法だ。






ま、百歩譲って良心的なのは、1度使うと触媒が壊れる使い捨てであることと、術者により行使できる人間が制限されること。


例えば、俺が血盟魔法で触媒に魔法をコピーしたとする。その時、俺が父さんにだけ使える指定をすると、他の人はその触媒に血を吸わせたとしても使えないのだ。




言ってしまえば指定された人間の血が魔法発動の鍵になるという事だ。








「さぁ、こっちだ。」




その言葉で俺は我に返った。


けど血盟魔法で発動した魔法がまたエグい。


ビンス級幻影魔法、狭間。




元々実体のある物質を、一時的に実態の無いものに変える魔法。


そこに確かに本棚はある、が、狭間の使用中のみその本棚は霊化し、この世に存在しないものに変わるのだ。

当然、今の俺の実力では見切ることなんて出来ない。実力不足だってことだ。





俺達は透明になった本棚を通り抜けた。


そして地下に続く階段を降りていく。






最早俺は恐怖さえ抱いている。


ビンスの魔法、ゲーム内では確かによく無駄打ちしていた。ストーリーのラストに近づくにつれてより一層。



しかしここはそんなゲームの中とはまるで違う。ビンスの使い手なんてこの世界に2桁の人数もいないとされてる。






にも関わらずこの厳重な警戒。






この先にやばい何かが眠ってる、それだけは確かだ。





地下への階段は螺旋状ではなく一本道。




先は暗くて見えなかったが、それもしばらく歩くと最下にたどり着く。


両傍には柱、そして等間隔に奥にも柱。


それが4組あり、その先に重厚な扉。






ゲーム内でこの屋敷に入ったことはあった。その時は別の貴族が所有者だった為、今の屋敷と比べて、置かれていた家具は全く違って金ピカ。豪華を身に纏いすぎて逆に下品だったとしか言えない。


当然、今はそんな風体どこにもない。





とは言え、もちろん建物の構造自体は同じだった。


ただ一点、やはりこんな隠し通路はゲームで描写されていない。間違いない。










ーーーーこの先は未発見領域だ。










「気をつけろよ、ここから先は即死のトラップがある。」




は?


即死、だと?




俺は柱に目を向ける。




「これ……」




そこには魔法陣が書かれてあった。


この世界での魔法陣はいわばセンサーの役割。


もちろん習得何度も高く、階級はフォラ以上に相当する。






そしてこれはーーー






「ーーーシュダ式の魔法陣……」




これはフォラのシュダ式魔法陣。


特定の魔法を対象にかける陣系魔法の特徴に加えてその死体から魔力を吸い取る自律型。


それに、込められた魔法は人間の魔法じゃない。死霊が好んで使うデバフ魔法の上級。




デバフくらい、と思うかもしれないが能力値100%ダウンの超鬼畜魔法がある。


それなら確かに即死して当然だ。






しかしこのレベルの死霊モンスターなんて早々に出会えるものじゃない。たとえ出逢えたとしても魔法陣作成に加担してくれるはずも無い。


となると、この陣を作った人は相当高位の召喚魔法さえも使っていたと推測できる。




ゲーム知識がないのにこのレベル……


ホンモノの化け物だぜ……一体何者だ。






「アルヴィス、エストリア、これを。」




母さんがペンダントを俺と姉ちゃんに一つずつ渡してくる。


これにも魔法陣が描かれており、その効果はこの柱に描かれた魔法陣の打ち消しらしい。




つまり、特殊な突破法を使わない限り、ここに足を踏み入れるにはペンダントを使うしかないということ。










俺達はそのまま歩みを進め、父さんが扉を開く。






































「……は?」






俺は思わず呟いた。






「うわぁ、綺麗だねぇ。」



「そうでしょエストリア。」



「アルヴィスは声すら出ないほど驚いたみたいだな!ハハハハ!」



「アルヴィスは綺麗な風景とか好きだものね。どう?」






俺の外で声がする、しかし俺の耳には入らない。


それほどまでにパニックになっていた。




俺の目の前には緋色の輝きを放つ宝石が台座の上で浮遊している。





ーーーーこれは、皇玉だ。

ゲームの中で、この世界を混乱に導いた最大の要因。アイテムの中でも最高レベル、数少ない特異級のアイテム。






なぜ、ここにこんなモノが。




そう思った瞬間、停止していた思考が急激に回り始める。






「アルヴィス?」


「どうした?」


「アルヴィス大丈夫?」










この世界はおそらくゲームの世界よりも前の世界線。


これは俺の予想でしかないが、街並みがゲームでの水の都とあまり変わっていなかった事、そして魔法理論の未熟さ、これらを考慮すると必然的な結論に至る。




そしてその結論に追い討ちをかけるのがこの都市の名前だ。


俺の知ってたアルカースではなくレイティア。


俺の時代仮説が正しいとすると、今後必ず何らかの理由で改名する時がくる。




更にはこの皇玉。




今ここに皇玉があるとすると、後に何者かに奪われる事が確定する。

こんな頑丈な安全対策をしているこの空間に踏み入れる敵が現れるということ。


流石に、今ここにあるってことは父さんや母さんが持ち出すとは考えにくい。



おそらくこれは継承してきた物なんだ。



爺ちゃん達が早く帰ったのはこれを知ってたから、か。現当主は父さんだ、口出しは無粋だもん。


合点がいった。






しかしそのイベントが一体いつになるのか、それが重要になってくる。


例えば、この後すぐに、となると俺達が殺されて奪われることになる。


しかしそれが数百年後ともなると継承した子孫が奪われる、もしくは持ち出す可能性が高い。








……分かってる。後者の可能性は低い。


先も言った通り、街並みがほとんど変わっていないと言うと多く見積っても100年程度だろう。


となると、やっぱり俺と姉ちゃんの代かもしくは数年の間に狙われる可能性が高い。






クソッ!


もっと正確な時代の把握が出来れば打つ手もあるのに!




運営も陰湿だ……


ストーリーが始まる一番早いゲーム内での暦はヴィクティム暦11年。だから今の年がカリアス暦753年だって分かっても、ゲーム内ではどの年に当たるのか分からない。




今までは大した事じゃないと思ってきたけど、これはマジでまずい。超重要な事だった!




何か、何かないか!


ゲームと今の年の相関が分かるーーー






「アルヴィス聞こえてる!」




「………誕生日」




「え?」




「そうだ!誕生日!」




俺は思わず声を張ってしまった。


が、とやかく言ってる場合じゃない。



母さんからの心配も、悪いけど今は後回しだ。それよりもーーー



「父さん!!この国の王子の名前は!」



「な、何だ急に……」



「お願い教えて!」




あ、あぁ。と狼狽えながらも父さんは口を開く。




「ウィスカー・カリアス殿下だが……どうしたアルヴィス?」




やっぱりウィスカーの野郎か。



「何歳!」



「ど、どうしたんだアルヴィス!様子がおかしいぞお前。」



「いいから何歳!」



「……確かお前の2つ上だったな。エストリアと同い年なはずだ。」










「なん、だって?」








ウィスカーが、7歳?


アイツは一番最初の物語で、始まりは13歳からだ。そう、それが時系列的にも一番最初のストーリーだった。

ウィスカー編はかなり前のプレイだけどまだ覚えてる。


第一章は王城編、ここでウィスカーは優秀な王国最強の騎士と修行に励むため、初期レベルが一番高かった。


そしてもちろん外にも出て実践訓練もしていた。所謂パワーレベリングだ。



が、物語の中で、貴族の話もかなり多く出ていたにも関わらず、その時には既にエストリア家の話題は上がっていなかった。


父さんの二つ名、豪炎の剣でさえ聞いたこともない。





となると、ウィスカーが13歳になるまでの6年……いや、それ以内のどこかのタイミングで俺達はーーーー




「アルヴィス!!」






ーーーパンッ!






「ねぇ、ちゃん?」




姉ちゃんが両手で俺の頬を挟む。


いい音鳴った。ちょっと痛かった。




「アルヴィス、どうしたの?どうしてーーーー」




そう口にした姉ちゃんも、その後ろの父さんと母さんも凄く不安そうな表情をしてて、そして姉ちゃんから思いもよらない言葉を耳にした。






「ーーーーどうしてアルヴィス、泣いてるの?」








「ーーーえ?」






俺が、泣いてる?


ふとした途端、頬を伝うヒヤッとした感覚を捉えた。あぁ、確かに俺は涙を流してる、そう自覚した。








俺は首を横に振り、「大丈夫。」と、それだけを伝えて沈黙した。






「うちの家系は代々この秘宝、皇玉を守ってきたの。」



母さんが気を利かせて説明を始めてくれた。それに父さんも続く。



「ここを創ったのは初代リアノスタ当主だと言われている。この場に使われている魔法のほとんどは今でも不明なものばかりなんだ。」



「へぇ!凄い!未発見の魔法を一杯使ってるんだよね?まるでアルヴィスみたいだ!」




姉ちゃんはそう言うが、それは違う。

ここで使われていた魔法は確かに強力な階級。


しかし俺の見る限り、実は全てが適材適所とは言えなかった。


ゲーム知識があるなら、実の所は幻影魔法の狭間を使ったり、鍵にまで血盟魔法を使ったりはしない。ストーリーを進む中でこれに似た仕掛けを自分で創る強制イベントがあるから、普通ならきっとそっちが真っ先に頭に浮かぶはずだ。





「そして、この皇玉も一体何なのか分かっていないんだ。

しかし二人ならわかるだろ?この宝石が想像もできないほどの魔力を溜め込んでいることを。」



「うん!凄いね!」



姉ちゃんも修行の成果が出てるな。


膨大な魔力は自然と感じられるが、それが魔力だと認識するのは、魔力に慣れてないと難しい。




「だからこうして私達の家系が、御先祖様の遺言のとおりに護ってるの。こんなものが外に出てしまったら悪い人に狙われちゃうかもしれないでしょ?」



だから、と母さんが続ける。



「あなた達もこれを護ってね?」



「うん!悪い人には絶対に渡しちゃダメなんだよね!」



「そうよ。」



「アルヴィスも、いいか?」




俺は父さんに頷くだけだ。

正直今でも戸惑ってる。何故、俺は涙を流していたのか。




……思い返してみれば、確かに兆候はあった。




まるで年齢に引っ張られるように、俺の口調が、思考が、幼くなる感じ。

俺の思考が、大切な人達の死を直感した事、それがこの涙に繋がった。




きっとそうなのだろう。




それでも俺は、いたら遭遇するであろうその現実を相手に、今すぐに調子を戻すことは出来なかった。




◇◇◇




「はなしが、あるんだ。」


俺は父さんと母さん、そして姉ちゃんと地下から出た後、そう告げてリビングへと向かった。


きっと3人とも地下室で問い詰めたかったと思うんだ。いきなり泣き始めるなんておかしいし。


でも、それを我慢して、俺を落ち着かせてくれた。俺は自然と笑みをこぼしていた。




「未来を、見たんだ。」



その言葉に皆は目を丸くする。



「断片的だけど、本当にこれから起こるかもしれない未来。」




俺は全てを話すつもりは無い。

だから皇玉の能力のせいにして俺が未来を見た、という設定をつくる。


もちろん皇玉に未来視の能力はない。



「穏やかな王都、悪い事を企む奴ら、色んな人達が生きている世界。それは遠くなくて……6年後。」



沈黙、姉ちゃんですらここで問いを発してはいけないことを理解してる。


本当に聡明だよ、俺の荒んだ心を完全に理解してくれてる。


















「その世界に、エストリア家は、俺達はいなかった。」
















「……そうか。」



父さんが呟く。


この、6年という時は俺の推測でしかない。が、正直俺の推測は正しいと思ってる。

ウィスカー関連でストーリー開始と共にパーティが開催されていた。


父さん程の実力者が王都のパーティに呼ばれないはずがない。それも貴族を集めたパーティ、尚更だ。




そして俺はエストリア家を、ストーリー上で見たことがない。

一般家庭ならまだしも、貴族家だ。そんな事、このゲーム内では普通じゃない。






「なるほど、それで……」



「私達、死ぬの?」




不安気な姉ちゃん。

まだ決まったとは言えないが俺の中じゃほとんど確定だ。


どのタイミングで俺たちが死ぬ運命にあるのかは分からない。でもそれをある程度特定する方法は思いついてる。




「姉ちゃん、今はこの未来が変えられるものかどうか分からない。

けど、俺が世界最強を目指すのは皆を護るためだ、もちろん夢はたくさんあるけど、これは本当の、俺の最後の夢。」



「……うん。」



「だからこの未来が変えられるのか、確認する必要があるけど、俺は変えられるって信じてるよ姉ちゃん。」



そもそも、この世界は俺の知ってるTrampling On The Victims とはどこか微妙に違う。


未知のスキルに未知の生命体。


これらはその際たる例だ。








「アルヴィス……私も信じる。」



「4ヶ月後、俺達はアンバルレードに行くでしょ?俺の見た未来では、俺の魔法適性理論は誰にも知られてなかった。つまりそこで俺が論文として発表する事さえ出来れば既に未来は変わったことになる。」



そう、ストーリー上ではこの新論が発覚するのはサブイベントで、時系列的には先の先だ。

さらに、サブイベントだからフラグを立てない限り起こらない。つまりはメインに無関係のイベント。




それをフラグもなしに強制的に起こす。


論文は俺が4ヶ月でガッチガチに固めて書く。


そして発表さえできれば、それで却下されても俺が公共で発表した事実は残る。






「なるほどな……」




「つまりはこの4ヶ月が鍵になるのね。

死ぬか生きるかの。」




しかし問題はそれだけじゃない。


仮に4ヶ月後、俺達が生き残れていたとしても、それより先に死に関わる事件が起きるのは間違いない。


そこまで見据えないといけない。


だからこそーーー



「姉ちゃん、ちょっと苦しいかもしれないけどあと4ヶ月の訓練、少しキツめに行くよ。」



姉ちゃんとの訓練に付きっきりで、あれ以来、実は魔物狩りに行けてない。

でもスキルの成長は順調だ。




それほど指導者と学習者のスキルのコンビは強力だった。




「もちろん!死にたくないし、誰かが死ぬのも嫌だもん!私も頑張るねアルヴィス!」



「負担かけてごめんね姉ちゃん。よろしく。」



「そういうことならお父さん達も気合い入れないとな!」



「そうねアナタ、まだまだ子供達に護られる訳にはいかないもの。」



父さんと母さんも気合いが入ってる。


後で魔法のイメージを教えよう。


使える魔法が多いと器用貧乏に思われるかもしれないけど、この世界で強くなるには、その器用貧乏の壁を超えるしかない。










でも正直な話、俺の言ってることを信じてくれるなんて思わなかった。

疑いの目を向けられることも覚悟していたくらいだ。




俺は、その父さん達が話し合ってる姿を見つめ、温もりを感じる。






「……信じてくれて、ありがとう。」








俺の呟きはきっと、3人には聞こえなかっただろう。









ーーーーーーー


これにて序章が完結!

次話から第一章開幕です!

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