へびうちてみやこに遠きしげりかな

【読み】

 へびうちてみやこにとほきしげりかな


【季語】

 しげり(茂り)(三夏)


【大意】

 へびをうち据えた時そぞろに都市の遠さが思われる、野山の草木のしげりである。


【附記】

 相当な田舎に住んでいたひとに聞いたへびをうち殺した時のはなしを思いだしてつくった。「しげり(茂り)」は万緑に類似の概念でそれよりもはるかに前の時期から使用されている。なお、現在ではへびも三夏の季語とされる由。


【例句】

 御舟山みふねやまおも梶の葉の茂りかな 西鶴

 嵐山藪の茂りや風の筋 芭蕉

 光り会ふ二つの山の茂りかな 去来きょらい

 伊香保根や茂りを下る温泉の煙 一茶

 茂り合ふ草にひでりの埃かな 尾崎紅葉

 

 立ち寄れば蛇の横切る清水かな 素丸そまる

 燕啼て夜蛇をうつ小家哉 蕪村

 苗代や小蛇のわたる夕日かげ 大江丸おおえまる

 蛇落て驚くがけの若葉哉 維駒これこま

 麦秋や蛇と戦ふ寺の猫 村上鬼城

 蛇逃げて山静かなり百合の花 正岡子規

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