第7話
夏の青空の様な蒼の蒼色の水着。
和の艶やかさが印象的な旭の水着。
南国の海のように煌びやかな満月のオッパイ水着。
三者三様の水着を堪能した僕であるが、夏の海はそれだけでは終わらない。
三人の美少女とアバンチュールしたぜ。
しかしその場面の細かい描写は割愛する。
皆さんのご想像にお任せいたします。
――――何故かって。
そんなの僕がボッチ系のオタクだからに決まってんだろうが。
浜辺でひと夏の思い出作りとかリア充でない僕にどう説明せいってんだ。
例えば、
砂浜の波打ち際で、「キャッキャ、ウフフ。」して、「そーれー。」「わっ、やったな。仕返しだ、それー。」って水の掛け合いっこして、最後はポロリもありぃの、からの「見る?」って幼馴染2人から迫られたりした。とか。
例えば、
ビーチバレを楽しんじゃうわけだけど、これが、飛んだり跳ねたりするたびに「ボイーン、ボイーン。」したり、「バイーン、バイーン。」したり、まぁ「ペターン、ペターン。」したりするのもあったが。
加えて言うとボールを打つたびにも、「ペターン、ペターン。」「ボイーン、ボイーン。」「バイーン、バイーン。」てっ、するわけだよこれが。
更に例えば、
突然現れた大蛸型の鬼にみんなで挑んでみたり。
そしたら旭と満月の二人が触手につかまっちゃって、さぁどっちを先に助ける?急がないと水着が剥かれてあんなことやこんなことにー。な状態になったり。
あと、浜辺で時々入るナレーションの正体がその蛸だったと、いや鬼か。だったと分かった時の衝撃と言ったら。
そんなこんなや、他にもいろいろあったけど、それを事細かに語れる実力が僕には無いんだよ。今までそんな経験が無かったんだよ。
ここであったことを面白おかしく、かつリアルに表現できるリア充の方がいらっしゃいましたらどうぞご寄稿ください。
お礼に「爆発しろ!」と怨念をプレゼントします。
「いやぁ、楽しんでくれて何よりだよ。」
「確かに楽しかったですけど、すっごく疲れましたよ。」
今はお義父さんと二人だ。
車での移動中なので運転手さんもいるが、そこはお察し。
「お腹ペコペコですよ。」
日中、浜辺で美少女に囲まれて遊んでいた(遊ばれていた?)、僕たちが別荘に戻って着替えを済ませたところに叔父さんがやってきて、
「今晩の夕食だけど仁君を貸してくれないか。男だけで話したいことがあるんだ。」
そう言って僕を連れ出した。
旭たちは少し残念そうな顔をするものの、「漢だけで。」というワードに納得をして送り出してくれた。
正直、お義父さんと旭たちの間でオトコのニュアンスがずれていたのが嫌だ。
「それでオジ―――お義父さん、どこに向かってるんですか。」
「行きつけの居酒屋さ。せっかく
この人、鬼が出てこない世界なら絶対に筋もんだったろう。
僕の年は十五歳だが今の法律では僕は成人扱いなので、飲める。
武士、並びに大名庁の設立において法改正がいくつかあったのだがその中に、子供を戦いに出すことに反対するものがいた為、武士になる時点でそのものは成人とする元服法がある。
そして僕はすでに元服を抜変えているのだ。
だから酒を飲んでも大丈夫。
「っらっしゃい。」
「いらっしゃいませ。2名様ですか?って、草薙さんでしたか。いつもの場所ですね。」
その居酒屋はこじんまりとしていながらも風格が漂っていてお高そうな店で、僕みたいなのにとっては明らかに敷居が高い店だった。
しかし、お義父さんは顔なじみの店らしく堂々と入っていくので、そのあとについていった。
「って、師匠。」
お義父さんのついたカウンター席の2つ向こうに僕にとっての師匠が座っていた。
「よぉ、仁坊。久しぶりだね。」
師匠に「さぁさ、座りねぇ。」と勧められたのは師匠の隣、つまり師匠とお義父さんの間の席だった。
オッサン二人に挟まれる形で席に着いた僕。
めっちゃ居心地が悪い。
横を見ればお義父さん。(初めて一緒に酒を飲む。)
反対を見れば師匠、剣の師匠にしてオタクの師匠、人生観の師匠だ。その名を「
師匠は着流しを着た細マッチョで背が高い、髪を伸ばしていてかつキューティクルが半端ない―――――オッサンである。
なんでも子供のころ好きだったマンガの主人公、
師匠はたびたびこのコスプレで現れるが曰く、「ばか野郎、この素人が、コスプレを一張羅にしてこそ玄人のファンってもんだろうが。」と言うのもそのキャラへのオマージュらしい。
師匠がこの格好をしているときは輪をかけてウザくなる。
まぁ、ここの払いはおごりだというからあまり文句は言えない。
「お通しどす。」
と、居酒屋アニメに出てきたお客を待たせないための居酒屋名物のお通しが来た。
正直いうとこういうのにあこがれていたのでなんか嬉しい。
大人の仲間入りしている、と実感が持ててなんだかわくわくしてきた、大人なのに子供みたいにはしゃぐ、これはいかに、ってね。
「いやぁ、そりゃぁ駄目な大人の典型じゃねぇのかい。」
「いや、そこは童心に帰っても節度を守れるのが大人だと思いますがね、先生。」
「さよか、粋は良い酔い・羽目は外す。が俺の流儀だからな。」
そう僕を挟んで師匠とお義父さんが話している。
そして意外なのが師匠より年上に見えるお義父さんが師匠を「先生。」なんて呼んで敬っている感じがするところだ。
師匠は30半ばに見えるが、何かと謎の多い人だしもっと年喰ってても不思議ではない。
お通しのナスの煮びたしをつまんでみる。
「美味いな、これ。」
「だろう、なぁんてたってこいつは俺が作ったレシピだからな。この店も俺が作ったんだからよ。」
「経営も管理もみんなタイショー任せではないですか。」
「ダメじゃん。」
「いいんだよ。俺は金儲けじゃなくて好みの飲み屋を作りたかっただけだからな。」
「相変わらずですね。」
「どうだい仁君、緊張はとれたかな。」
緊張がというより、居心地の良さを感じるようにはなったかな。
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