第4話

「仁君、蒼ちゃん、おっまたせぇぇえええええええええええええええええ、え?何があったのこれ。」

「どうしたんだ満月、って、なんじゃこらゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ、」


 旭と満月が水着に着替えて砂浜に出ると、そこには白い砂浜を染める真っ赤な血の海。

 そして、その血の海に沈む僕たちこと、草薙 仁と草薙 蒼の兄妹だったのである。

 

 なぜそのような大惨事になってしまったかというと、それはちょっとばっかし兄弟のスキンシップが行き過ぎた結果である。

 仁がサンオイルを両手に滴らせて妹の体をぬるーりぬるーりと堪能していたのだが、まぁ、仁が滑ったのである。

 ちなみにその時の仁の内心であったが、緊張するどころか「ラブコメを堪能すると決めた以上は、ここから面白くするにはどうすればいいか。」

からの、滑って転んでπパイタッチ…である。

 もちろんこの時の仁は確信犯である。

 ちなみに確信犯とは、自分が悪いことをしていると確信にている者のことではなく、自分が正しいと疑ってない者のことである。

 そして仁は後者である。

 彼はこれがラブコメとして正しい姿だと信じているのである。

 しかし、彼にいわせればわざとではないらしいが。

 しかぁし、例えわざとでなくても、相手が実の兄であっても、いきなり胸を触られたら困るのが乙女である。

 具体的には激おこである。

 怒った蒼は片手で胸を押さえながら、(仁に胸を触られた際にビキニのトップスが外れてしまったから。だからあれほどサイズをしっかり合わせとけと言ったのに。)傍にあったボトルを掴んで兄に投げつけたのである。

 そのボトルは見事に仁の頭に当たってその中身をぶちまけた。

 中身はかき氷シロップ・イチゴ味。

 哀れ仁の頭は真っ赤に染まってしまった。

 顎の先からポタリ、ポタリと赤い雫を垂らす仁の口元がゆがむ。


「くくく、くぁはははははははははは。」


 不気味な仁の哄笑にたじろいだ蒼。

 そこの仁は「こぉーんなこともあろうかと。」と、用意していたケチャップのボトルを蒼めがけて投げつけた。

 哀れ蒼、仁の不気味さに引いていたため避け損ねた。

 頭からケチャップを被り真っ赤に染まってしまった。

 完全に頭にきた蒼は仕返しの為に何か投げるモノは無いかと振り向いた。


「――――――――――――――――――――――――――。」


 そこにはなぜか大量のかき氷シロップ・イチゴ味のお替りと、そしてケチャップ。なぜか瓶に入ったうめぼしも一つあった。

 蒼は迷わずにうめぼしの瓶を掴んで仁の頭にたたきつけた。

 流石に仁の額が割れて血が噴き出す。

 だいぶかき氷シロップ・イチゴ味とケチャップで水増し(?)されているが、これでホントの血の海と化した。

 ちなみに仁は気による防御力アップによりギャグで済んでいるが、普通なら頭パッカーンだ。良い子は決して真似してはいけないぞ。

 そしてもちろんうめぼしの瓶も粉々に砕けてを中身をぶちまけている。

 これが傷口や目に入ると―――


「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ、しみるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ。目がぁぁぁぁぁぁぁ、頭がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。」


 と、なるので良い子は真似しちゃだめだぞ。

 大事なことだからにどいっておいたぞ。

 そしてこの間に水着を戻す蒼。

 しかし、仁も悶絶しっぱなしでなく反撃に出た。

 その手にあったのはかき氷シロップ・ザクロ味。


「ザクロと散れ。」


 反撃された蒼もかき氷シロップ・イチゴ味で応戦。

 こうして白い砂浜は真っ赤な血の海にそめられたのです。


 ちなみに二人は暑い中でシロップの掛け合いに熱くなって倒れましたとさ。

 ちゃんちゃん。



「バカだろお前ら。てか水着回じゃなかったのかよ。」

「ていうか、さっきの解説は何処から聞こえてきたの?」

「ん?神様か悪魔じゃないのか。」


 僕は旭と満月に正座でお説教を食らってます。

 流石に砂浜に直接は拷問なのでパラソルの下の影の中にいます。

 そして蒼だけがシャワーを浴びに行ってます。ずるい。

 僕だってシロップでベタベタして気持ち悪いのに、とは思うけど。

「水着の美少女がシロップでベタベタになるってシチュエーションも好きな人は好きだぞ。」

「…………変態め。」

「仁くぅーん、食べ物は粗末にしちゃメッだよ。」

「大丈夫です。この後みんなで美味しくペロペロしあいますので。」

「……………………………………………………変態。」

「流石にそれは変態が過ぎるよ。」

「何故だ、ここはラブコメ時空だろ。」

「ここは現実だよ。それにラブコメだとしても逸脱してるかな。」

「多分暑さで頭をやられたんだ。もしくはラブじゃなくて”ラヴ”クラフト時空でも垣間見たんじゃないか。」

 そう言って旭は飲んでいたペットボトルの水(2ℓ)を僕の頭にダボダボと浴びせてきた。

 なにこれ、すっごい屈辱なのに、気持ちいい。

 頭から水を浴びて頭が冷えた僕はあることに気が付いた。

「そんな馬鹿な。これでは僕はただの変態じゃないか!何故だ、キャラが濃すぎるからか。」

「濃いのはネタだろうが。」

「むしろキャラは薄いほうだよね。」

「たしかになぁ、あたしと満月はヒロインのはずだろ。なのに出番が少なすぎませんかねぇ。」

「そうだよねぇ、せっかく仁君に見せようといろんな水着の中から厳選してきたのに私たちの描写が無いよね。」


「……という訳で、次回に続く。」

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