生贄を求める神剣

第1話


 大体は十五畳ほどの座敷にちゃぶ台が置かれている。


「仁、醤油取って。」

「ほい。」


「仁、ソース取って。」

「ほい。」


「仁、塩取って。」

「ほい、ほい。」


「仁、コショウ取って。」

「…ほい。」


「仁、タバスコ取って。」

「いい加減にしろ。なんで三人しかいない食卓で目玉焼きにかける調味料をあれこれ取らなきゃならないんだ。旭、お前はそれを全部目玉焼きにかけるのか。」

「かけるわけないじゃん。横に並べんのよ。」

 今までの催促が嫌がらせだったと白状したのが幼馴染の旭であったこともあり僕も頭にきた。

「ぶっ殺す。」

 僕が腕まくりをしながら席を立つと、チョイチョイとシャツの裾がひかれる。

「仁君、仁君。私も取ってほしいな。」

「ん?ナニをだ。」

「私の首。」

「ナイ、ナイ、ナイ、ナイ。僕が満月みつきの首を取ることなんか無いから。」

「それじゃあ、旭ちゃんの首をとるの?」

「いや、そうゆう訳じゃないけど。」

 僕は正直いたたまれない気持ちになってしまう。


 僕こと、草薙 仁はこれと言って特徴のない一般男子である。……と、言ったらウソになるだろう。

 実際はかなりのオタクである。

 どれくらいのオタクかというと、同好の士から崇められるくらいにはオタクである。


「仁、サイテー。」

 しかし僕のオタクぶりは幼馴染の旭にとっては気にくわないモノなのだろう、よく罵倒される。


 そして、旭の双子の妹さんの言葉は、

「仁君、エッチなのもほどほどにね。」

 などと理解を示されることが意外とつらいです。


 僕には天堂 旭てんどう あさひ天堂 満月てんどう みつきの2人の、双子の幼馴染が居るのも特徴だろう。


 以下、僕の自己紹介については僕の主観よりも2人の言葉をもとにしたものだ。


 身長は182㎝、旭には「デカい邪魔。」と言われるくらいには背が高いとおもっている。体重が85㎏もある、が「大丈夫だよ。若いからメタボじゃないよ。」と満月から言われた一言が切っ掛けとなって体を鍛えたからだ。―――ダジャレじゃないよ。

「いちいちそうやって付け加えるところがサムイ。」

 と、旭に言われるのは余談である。

 ともあれ、旭に言われた「でかい、ぶさいく、うるさいの3つそろってD・B・Uデブだな。」の撤回ができる自信があるほどにはスタイルがいいとは思っている。

「仁の顔が不細工なのは変わらないけどな。」

「そんなことないよ。仁君の顔はかわいいよ。」


 僕の顔はどっちなんだろう。鏡を見ても分からない。自信が持てない。誰か教えて。


 ともあれ僕のことをあれこれ説明されてもつまらないだろう、そうゆうのは必要な時に小出しするべきだろう。

 ここからはやはり女の子の紹介に行くべきであろう。


 今からご紹介するのは僕の幼馴染である双子の女の子で御座います。

 双子の姉で分かりやすくは凶暴なほ―――


 パッグゥッ!


「何でいきなり殴られなくちゃならないんだ。」

「さぁて、なんでだろうなー。」


 ともあれ、朝飯喰ってたらいきなり殴って来る凶暴なほうが姉の天堂 旭である。

 身長150㎝ちょいぐらいで体重が多分ご―――


 バッキィ!


「だから何で殴るんだよ。」

「運命だ。」


 訳が分からん。

 それよりここが重要だがスリーサイズは上が83のDカップ。

 これ以上はあってもこれ以下であることはない、なぜなら僕が決死の覚悟で調べたのだからな。

 しかし、これが限界でこれ以外は予測でしかない。

 ウエストだが、これはたぶんご―――


 ゴッメリ!


「旭、お前僕に何か恨みでもあんのか。」

「そこまではない。」

「…なんなんだよ。」


 まさか、実は僕の考えていることが分かってるんじゃないだろうか。

 まあそんなことはないだろうけど、具体的な数字を出すのはやめておいたほうがよさそうだ。

 と言うわけで見た目に移ろうと思う。

 あからさまではあるが顔つきについて、旭が凶暴であろうと女の子である以上顔の印象が第一になるだろう。


 世の中には女とみれば第一声からオッパイ、オッパイと語りだす輩が居て男として大変遺憾である。


 ともあれ、旭の顔についてである。

 これについては美人の一言でも事足りるだろう、が、せっかくなので改めて観察してみよう。

 顔立ちは小ぶりでアゴ先がつんととんがっている。

 肌には化粧っ気がないにもかかわらず、白くきめ細かでみずみずしい、よく言うゆで卵肌と言う奴だろう。

 目鼻立ちはきりりと引き締まっていて切れ長の目には長いまつ毛がよく似合う、また眉毛が太いが、濃いと言うより意志が強そうな感じが出ているようだ。

 そして髪型だがここが一番印象に残る場所だろう。

 きつめのシャギーが掛かったような黒髪は長くボリュームがありながらさらさらしているのである。

 それをまとめずに自然と流しているだけである旭は、美人さんなのもあってすごみが感じられる。


「仁君。どうしたの?旭ちゃんの顔をじっと見つめたりなんかして。」

「なんだぁ、惚れちまったのか仁。」

「いや、小さい頃に夜の山で迷子になったときに出くわした旭がマジ怖かったなぁと、思い出していた。」

「なんだと、てめぇあたしが心配して探し出してやったのにその言い分は何だ。」

「仕方ねぇだろ。あん時のお前体中傷だらけで髪もぼさぼさに振り乱してたんだから。」

「そんだけ心配してたんだよ。」

「それには感謝してるけど、後でお前が斜面を転がり落ちたと聞かされた上に次の日熱出して倒れたから後悔したんだぞ。あんまり無茶すんなよ。一応は女の子だろうが。」

 旭が女の子であるのは確かなのだが、言動や恰好がやたらと男らしいのだ。今も黒一色で、スラリでボンキュッボンな体のラインが出るぴっちりとしたシャツとパンツルックで決めている。

 飾りっ気が無いのだが、無個性とはいいがたいほどに黒い女である。

 とわ言え腹の中は黒く無く名前どうりのさわやかなで快活なヤツだ

「一応は余計だ。ギャァァァァオース。」


「二人とも、ほんと仲いいね。」

「「昔からっです。」」

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