第4話 『堕落の穴』ガイルの町

「ハァ…ハァ…まだ着かないんですか…」


コイツ本当に体力無いな…

「あともう少し歩いたら着くから!な?頑張れ!」


「えぇー!?まだ歩くですか!?もう十分歩いたじゃ無いですか!もう足もげますよ俺!もう死にそうですよ俺!てか死んでますよ俺!それにそんなに歩いてもいいこ…」


俺たちは次の町へと歩いていた。その町の名はガイルの町、通称


『堕落の穴』


この町は協会や国から見放された犯罪者や、ならず者が居住まう町だ。この町なら助けを求める声も多いハズ。少々危険だがお金を稼ぐにはもってこいの町だ。それにシロウの家から歩いて2時間。一番近い。それらの事もありこの町を選んだ。


「ハァハァ…やっと着きましたね…ゴホッ」

シロウは汗だくになり膝に手をついて苦しそうにしている。


「あぁ…ここがガイルの町か…」

俺たちは入り口にいたがその雰囲気は入り口からでも分かった。しっかりとした家は無くテントや廃墟だらけ、そこら中で喧嘩は起きているし、入り口からでも四方八方睨まれている気がした。


「シロウ、先ずはこの町の様子を見に行こう。」


「レンさん、行かなくても分かるでしょ…怖いんですけど…」


俺たちは入り口から繋がる道を道沿いに歩いた。

そこら中から声が聞こえる。

金をくれ…

飯が欲しい…

子どもを助けて…

コイツらも俺と同じで国や協会から追放されたのか…まぁ俺はコイツらと違って犯罪はしていないんだけどな。


少し歩いていると女の子と男が何やら言い争っている声が聞こえてきた。


「何よアンタ!そっちから先にぶつかって来たんじゃない!謝りなさいよ!」


「何だこのガキ!さっきからえるせぇな!ぶっ殺すぞ!」


シロウはこちらに顔を向けて来た。

「レンさん…あの女の子可哀想ですね…あんなに大きな男に絡まれて…」


「シロウ、ああいうのは無視だ無視。関わったらめんどくさいからな。」


「分かりました…大丈夫ですかね…」


俺たちは歩き出した…

女の子は男に対抗して何かに言っている。

「殺れるもんなら殺ってみなさいよ!魔道士の私にアンタみたいなハゲが勝てると思ってるの!」


ん?魔道士?なぜこの町に?悪魔討伐か?だがこの町には悪魔がいる気配はない…俺は少し話を聞いてみたくなった。


「おいシロウ…あの女の子可哀想だよな?…」


「はい、可哀想ですね…」


「助けにか?」


「そうですよね!流石レンさん!…えっ?か?俺が行くんですか?」


俺は少し笑いながら静かにうなずいた…


「ちょっと待ってください!?俺が行くんですか!?冗談やめてください!?それに俺、魔法使えないですし!今度こそ死にますよ俺!殺されますよ俺!」


「そうか…ならいいぜ…あーあせっかく魔法探偵団が有名になるチャンスだったのにな…でもシロウが行けないなら…仕方ないよな…」


「分かりましたよ!行けばいいんでしょ!行けば!」


シロウは勢いよく走っていき女の子と男の間に手を広げた!

「おい!そこのデカブツ!こんな女の子相手するくらいなら俺とタイマンし…ろ…」


「何だこのガキ!お前から先にぶち殺すぞ!!」


シロウ死んだな…短い間だったが今までありがとう…帰ったらお前の墓はしっかりと作ってやるからな…間違ってもこの状況を俺に押し付けてくるなよ…


シロウの震えが止まり俺の方に指を向けた。

「って!あそこに居る俺のリーダーが言ってました!!」


「何だと!アイツから先に殺してやる!」


はい!きれいなフラグ回収お疲れ様です!何だよあのがたい…やべーよこっちに来るよ…

うわっ!シロウ笑ってやがる!アイツ覚えておけよ…後で絶対呪ってやるからな…


シロウは笑いながらこちらにグットしてきた

「レンさん…ファイト!」


アイツ本当に大剣豪の弟子かよ…プライドねぇーのかよ…ずっと笑ってるし…


男が俺の前に立ちはだかった。

「お前か!俺にタイマンしろなんてほざいた奴は!」


「いえ…そんなこと言ってないんですけど…」


男の怒鳴り声を聞いていると男の足元に魔方陣が浮かび上がっていた


「ちょっと!何私を無視してんのよ!」

火柱サークルファイア!!」


魔方陣から竜巻のような炎が飛び出し男は炎に囲まれた!

「くそ!あちぃ!お、俺が悪かった!許してくれぇ!もうしねぇから!し、死んじまう!」


男の回りにあった炎が静かに消えた。男は全裸になり股を隠しながら謝っている。


「もうアンタに用は無いわ!さっさと行きなさい!」


「はいぃ!すみませんでしたぁ!」


男は早々に立ち去った…何だったんだこれ…

女の子がこちらに向かってくる…

「悪いかったわね…見ず知らずのアンタ達に迷惑掛けて…って!アンタまさか!」


何?まさかこの魔道士の目的は俺?まさかそんなお約束見たいな事…流石にあるハズが無いか…


「見つけたわ!元S級魔道士の性犯罪!」


俺だったー 何でだよ、今日多いよ…それに性犯罪じゃねーし…

「何?俺に何か用?」


「アンタに協会から逮捕状が出てるわ!人を殺したんでしょ…元魔道士がとうとう落ちるとこまで落ちたのね!」


人を殺した?…どうゆうことだ?…

「まてまて…どうゆうことだ?」


女の子は怒りながら言った。

「しらを切っても無駄よ!アンタ!大剣豪の白竜をころしたでしょうが!」

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