第3話 決断の連続

そう言い放った途端、レンは魔方陣が描かれた手のひらを上空に向けた。あたりの空気が冷たく変わる。それまで晴天だった空はまるで嵐が来るかのような落ち着きのない空へと変わっていった。。。


悪魔が不気味な笑みで言ってきた。


「ククク…魔法だと?我はA級魔道士でも傷1つつかなかったのだぞ?それが貴様ごとき無名の魔道士の魔法なんぞ利くはずがないだろう」


無名?コイツ俺の事知らないのか?まぁいい、知らない方がこちらとしては有利だからな。


「悪魔さんよ…1つ教えてやるよ…」


「ククク…何だ?命乞いの仕方か?」


レンは大きな深呼吸をした。


「俺は元S級魔道士!

レン マケドニクスだぁぁあ!!!!」


レンが叫んだ途端、悪魔の上空に巨大な光の魔方陣が浮かび上がった!


「な、何だこの巨大な魔方陣は!?A級の雑魚とは比べものにならん!?元S級だと!?そんな、、まさか、、、」


悪魔は上空を見上げ呆然としていた…まるで何も知らぬ赤子のように…


「じゃあな…一生寝てろ」


そう言い放つとレンは、静かに手を振り下ろした…


超落雷サンダーボルト


ドンッ!!!!大きな音と共に上空の魔方陣から見たこともない巨大な雷が悪魔に降り注ぎ襲う――


「凄い…魔法探偵さん…本当にS級なんだ…」


降り注ぐ巨大な雷の高熱が悪魔の体を勢いよく焼いていく…


「ウギャァァア!!!!糞が!俺様はクランプス!サタンをも超える力を持つ悪魔!!!!許さぬ許さぬ許さぬ許さぬ!!!!」


その言葉を最後に悪魔は巨大な雷の中に飲み込まれていった…


空が晴天へと戻る、レンは腰をおろした。

そう悪魔討伐を成功させたのだ――


「フウッ…シロウ、大丈夫か?」


シロウは泣きながらも震えた声で言った


「俺のせいで魔法探偵さんは大怪我を…それに師匠はもう…ごめんなさい…魔法探偵さん…少し1人にさせてください…」


自分にとって大切な人を失うのは苦しいしショックを受けるだろう…もしかしたら立ち直れないかもしれない…大切な人か…俺にも居たのに…


「シロウ…とりあえずお前の家に帰ろう?…な?」


「うるさい!アンタに何が分かるって言うんだよ…家族を失う辛さが!アンタに分かるのか!?」


「分かるよ、俺も妹が死んだ…目の前で。俺はあの時、妹を助けられた。でも見殺しにしてしまった…俺は妹を殺したんだよ…。」


「あの…その…ごめん魔法探偵さん…」


いいんだよそんな事は、とりあえずよかった。怒れるくらいの元気があるのなら大丈夫だろう。受け入れるのに時間がかかるかもしれないがコイツなら1人でも生きていけるだろう…


笑顔で言ってやろう。それが今の俺にできる最善の策だから。


「いいんだよそんな事!さぁ、お前の家に帰ろうぜ!」


シロウは震えながらも返事をした。


「はい…帰りましょう…」


残る思いもあると思うが、ここにいては辛いだけだ。シロウ…無理に帰ろうなんて言ってごめんな…



――家に帰って2日が経った――



「魔法探偵さん…もう行くんですか?…」


長くシロウの家にいたらいつか迷惑がかかるしな。それに俺は元々ながいするつもりは無かった。また会えるだろうしな。


「おう!もう行くよ!俺の目的はまだまだ先にある!短い間だったが世話になった!ありがとうなシロウ!」


俺は戸を開けた。まぶしい光がこちらに降り注いでくる。コトリのさえずりが聞こえる。いい旅路になるといいな…


「じゃあ行くよ!元気でな!」


俺は1歩を踏み出した!その途端後ろから肩を叩かれた。


「どうしたんだシロウ?ごめんだけど俺はもう行くぜ!目的があるからな!」


シロウは今までに無いくらいの笑顔で俺に言った


「俺はアナタに助けてもらいました。この恩は返しても返しきれません。」


「お、おう…ありがとうな…」


何か急に堅苦しくなったな…何だ…


続けてシロウが口を開いた。


「俺は恩を返したい。アナタがその目的を達成するまではこの命、アナタの為に使わさせてください!」


え、いいのか?こんな俺で?俺は魔法協会から追放されたんだ…俺の評判は悪い。コイツが俺についてきたらコイツまでも苦しくなってしまう…断った方がいい気がする。


「言ってくれるのはありがたいんだけど…俺についてきたらシロウが苦しくなる…それでもいいのか?」


シロウの目は本気だった。


「俺はアナタの側に居たい!恩を返したい!その気持ちは変わりません!」


こんなに言われたの…いつ以来だろう…もう長くこんなに嬉しいことは言われなかった気がする…ヤバい泣きそうになってきた…


「シロウありがとう…これからよろしくな…」


「はい!よろしくお願いします!魔法探偵さん!」


嬉しい…本当に嬉しい…


「魔法探偵さんはやめてレンって読んでくれないか?」


「はい!レンさん!」


その日俺は魔法探偵団で初めての仲間が出来た。

その仲間の名前はシロウ アライト

大剣豪 白竜の一番弟子

俺の目的はまだまだ先にある

俺はここから新しい1歩を踏み出した。

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