夏の蒸し暑さと溶けおちるチョコレートが絡み合う狂気。
めぐるように変わる天気はまさに主人公の心のうつろいの様子と、虚ろに不確かに進んでいく得体のしれない感覚を読み手である私に覚えさせました
兄が望んだ死への衝動は、一見して希望なのか絶望なのか。「憎悪」という行為と、綴る言葉が書かれた狭いノートは兄妹の世界そのもののように思えて、まさに牢獄。さらにそこにも断絶がある。
犬になる、という荒唐無稽さが却って抑圧された不確かな世界の存在を確かに感じさせます。
>普段は透き通った緑色をしているこの川も、コーヒー牛乳みたいに濁ってしまうだろう。
>机に置いたお椀の中は、上澄みと味噌がぐるぐると回り、濁った池のようになった。
この辺の描写のリンク具合が印象深いです。
天候と心情を絡める描写は書き手の技巧の高さのあらわれだと思いました。
作者からの返信
ありがとうございます!!!!これからも精進させていただきます……。
最後までお読みいただき、誠にありがとうございます。
読ませていただきました。
「お兄ちゃんが犬になった」という軸とチョコレートの呪縛という軸、二つの怪異が合わさって非常に不安定な(読んでいて不安になる)世界観だと思いました。
どういう理屈で犬になった(なれるのか)というところに説明がないところも不条理さに拍車をかけ、不気味な味わいです。
とても面白かったです。ありがとうございました。
作者からの返信
お読みいただきありがとうございます! 何も説明されず、ふんわりと不気味な世界観が続く小説が書きたかったので、そう感じていただけてとても嬉しいです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!