第3話 紫電の人狼6
「局長たちは極東人狼種だろう乾の親父さんをある場所まで誘い込もうとしてる」
「おじさんが先頭で指揮しているの?」
「事件のスケールが大きいからね。今回の幻種事件、思ったよりも根が深いみたい」
市原の父親は、乾の父親も未登録の極東人狼種だとふんでいる。市原もその考えに異議はない。
「未登録ってどういう状態なの?」
「平たく言えば、住民票がない状態」
公的にいえば存在していない扱いになる。
「乾親子で言えば、人間としての住民票はあったけど幻種としての住民票がない状態なんだ」
「それが昼間、おじさんが言っていた悪い条件?」
「そう」
状況証拠はあっても、その場にいた幻種は『いなかった』ため幻種事件ではないと判断してしまい魔術協会側が踏み込むのに遅れてしまった。結果、後手に回ってしまい全国区のニュースとなった。
持ち込まれた運動公園全体の地図を広げる。月原運動公園は大きく分けて九つのエリアに分けられる。
東西南北にそれぞれ出入口があり、北側から時計回りに、
駐車場、市営プール、体育館、陸上競技場、駐車場、野球場、アスレチック広場、テニスコートとなっている。
そして中央がステージのある噴水広場だ。市原がまず体育館に指をさす。
「俺たち、後方支援班がいるのはここ南東の体育館エリア。浩と乾はどこから公園に入った?」
「野球場から。中央に向かおうとしてて外野側から入ってきた」
言って端に存在する南西の野球場のエリアを沢村は指をさす。
「そこは警察も監視できてないね、浩の考え?」
「うん。で、僕の感覚だとここら辺でおじさんたちに会った」
指で円を描いた場所は野球場と南駐車場の境目あたり。
「暗いのによく行けたね」
「乾が先導してくれてたから。人狼の姿だと夜目が利くらしくて。……そういえば話している途中で急に伏せろと言われたんだ」
「乾の親父さんも夜目が利くというのに乾本人も気づいたんだと思う」
言って市原は沢村が示した辺りから指をひき中央の噴水広場で円を描く。
「乾がどこまで親父さんと殴り合うのかわからないけど、局長たちはここへ誘い込むつもり」
「そこにはなにがあるの?」
「なにもない」
沢村の疑問にあっさりと答える市原。
「なにもないって……」
「正確にいえば、ステージ部分を除いて大きな障害物がなにもない」
観客用のベンチや噴水があるが大した問題ではない。
「
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