栄光の足跡

渋沢慶太

第1話

狂ってる。

ただ一言、そう言いたかった。

一生懸命に稼いだ金も意味をなさない日が来るなんて、心のどこかでは思っていたが、現実に起きるなんて思わなかった。

2089年、イギリスの思想家ナミルニはこう唱えた。

「進化を求める生物は失う事を躊躇わないが、自分の肉体だと、話が変わる」と。

世界は人間機械化を国は掲げた。

肉体は朽ちていく。

線香花火のように。

線香花火を人は長く続いて欲しいと言う。

だが、実際、一生続く線香花火を作っても、欲しくはないと人は言う。

人というのは面倒な生き物だ。

だからこそ、人という生物であると言えるのだろう。

金についてもナミルニはこう唱えた。

「金は人をダメにするが、金が無ければ文化は生まれない」

つくづく思う。

この思想家はめんどくさい。

イエスとノーで答えない。

人というのは本当に面倒な生き物だ。

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栄光の足跡 渋沢慶太 @syu-ri-

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