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 「惣田さん、盗難事件についてなにか知らない?」

網野さんは惣田さんに話しかけたが、僕には惣田さんがなにか知っているとは思えない。今まで調べてきたことで、惣田さんに繋がるようなことは何ひとつない。

「盗難事件? ごめんだけど、何も知らないよ。クラス委員で調べているんでしょ? このことに関してクラス委員より詳しい、ってことはないと思うよ」

「でも惣田さん、岡田さんの隣のロッカーよね。もしかしたら、あなたのTシャツが盗まれていたかも。なんで犯人はあなたのTシャツじゃなくて、岡田さんのTシャツを選んだと思う?」

「それはどういう意味かな? 犯人は私のTシャツじゃなくて、岡田さんのTシャツが欲しかった。それだけだと思うけど。間違っても私のTシャツが盗まれることはないだろうね」

「間違っても……? うん、わかったわ。変なこと聞いてごめんね」

 遠くから見る分には、特に収穫はなさそうだった。


「網野さん、なんで惣田さんの話を聞いたの?」

「ちょっと気になっただけよ。話を聞いたら、余計に気になることが増えたけど。結城くん、一つやって欲しいことがあるんだけど、頼まれてくれる?」

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