第382話 権利を求める後輩ちゃん

 

読者の皆様! お久しぶりです。

そして、長らく音信不通で申し訳ございませんでした。

何とか生きております。

詳しいことは近況ノートに書いておりますのでそちらをご覧ください。

では、第382話をどうぞ!


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 仲良くベッドにうつ伏せになり、両足をパタパタと動かしている美人姉妹。本を読んでいるようだ。肉付きの良い健康的な素足が眩しい。というか、刺激的な下着に覆われた形の良いお尻も丸見えだし。


 お風呂上がりで火照っているのかもしれないが、今の季節は冬である。部屋は暖かくしているけど、すぐに体が冷えてしまう。風邪を引きそうで怖い。



「お二人さん、早くパジャマを着てぬくぬくしてください。風邪ひいて修学旅行を休みたくないだろ?」


「「 ほーい! パジャマのズボンプリーズ! 」」



 自分では動こうとしないので、タンスから出して放り投げてあげる。丁度起き上がった二人は、ぽふっと顔面でキャッチ。そして、もぞもぞと着る。


 …………顔にぶつけてごめん。それと、出来れば常識も身につけてください。心の底からお願いします。


 思春期男子高校生というお年頃の俺は、素足が隠れてしまったことが残念だと思ってしまった。仕方がない仕方がない。俺だって性欲はあるのだ!


 俺もベッドの上に這い上がり、二人の足の辺りに座った。パタパタと動かしていた足がペシペシとぶつかる。まるでマッサージをしろと言いたげに……。


 おいコラ。触ってやるぞ。いいのか?



「ひゃうん!」


「にゃふん!」



 いやー敏感だなぁー。別にくすぐってるわけじゃないんだけどなぁー。どうしたんだろうなー(棒読み)


 てっ! 蹴るな! 痛い痛い痛い。足をバタバタさせるな。暴れるなぁ~!


 ごめん! 謝るから蹴らないで!


 キッと潤んだ瞳で睨まれた俺は、素直に大人しくしておきます。


 ナデナデ、モミモミと優しく二人のふくらはぎを揉みながら、ふと思いついたことを問いかける。



「あれはどうなったんだ? 罰ゲーム。魔女みたいな笑顔で考えてたよな?」


「失礼な! この天使のように可愛らしい笑顔が魔女の笑顔ですかっ!? にぱぁ~!」


「このお姉ちゃんスマイルのどこが魔女なの? にへら~!」



 うん。計算尽くされた天使と女神のような笑顔なのは間違いないんだけど、さっきの笑顔とは全くの別物だ。悪辣さと意地悪さと嗜虐心が足りない。グヘヘ、という欲深い笑い声も漏れていたし。


 おざなりな態度で太ももを裏側をぺしっと叩いたら、反撃としてゲシゲシと蹴られた。


 痛いです。せめて踵は止めて。



「罰ゲームですか……今からします? 先輩を女装させてスカート捲りをしますけど」


「下からじーっと覗き込んでスカートの中を観賞するわよ?」


「お願いですから止めてください」



 何という罰ゲームを考えるんだ! 男としての尊厳が崩壊してしまう。


 やっぱり二人は魔女だった。悪辣で意地悪で俺をイジメる悪い魔女だ。


 ふむ。魔女っ娘コスプレを着た二人……似合うな。アリだ。



「まあ、お姉ちゃんとよく話し合った結果、延期になりました」


「あまり思いつかなかったのよねぇ。弟くんって順応が早いというか諦めが早いというか、女装しても罰ゲームにならない気がして……」


「ですです!」


「なので、『何でも言うことを聞く権利』を要求して、罰ゲームは延期します!」


「なのですなのです!」



 後輩ちゃんの得意げなドヤ顔が可愛い……じゃなくて! 何でも言うことを聞く権利の要求か。考えたな。


 その権利を使えば、今言ったスカート捲りや観賞会も行うことができるし、後々思いついたもっと酷い罰ゲームをいつでも実行することが出来る。ズルくて賢いなぁ。


 俺は二人に甘いことを自覚しているから、別にそれでもいいのだが、きっちり制限はかけさせてもらう。じゃないと、屁理屈を言って回数無制限とか言い出すから。



「権利を要求するのはいいけど、権利の行使は一回きり。そして、何でもじゃなくて、『常識の範囲内で何でも言うことを聞く』ならいいぞ」


「「 ちっ! 」」



 んっ? 今悪い顔で舌打ちしなかった? 俺の気のせい?


 後輩ちゃんと桜先生は何やらコソコソと話し合っている。少しすると結論がまとまったようだ。



「いいでしょう! 常識の範囲内で何でも一度だけ言うことを聞いてもらいます!」


「楽しみねぇ! 弟くんは、大抵のお願いなら権利を行使しなくても聞いてくれるから、そういうお願いで使わないようにしなくちゃ。内容を熟考して吟味して悩みに悩み抜いて、ここぞという時に行使するわよー!」



 やっぱりそうなるよねぇ。選択を誤ったかなぁ。


 イヒヒッと笑う二人はやっぱり悪巧みしている悪い顔。それでもなお、綺麗で可愛らしく美しいのがムカつく。逆に惹きつけられ魅了される魔性の笑み。ズルい。


 ちょっとだけ後悔したけど、二人に甘い俺は仕方がないなぁと思ってしまう。嬉しそうだからまあいいか。これも惚れた弱みだ。俺は彼女と姉から揶揄われて弄られる運命らしい。


 でも、俺だって反撃するんだぞ。


 マッサージの気持ちを込めて二人の足をモミモミ……。



「ひゃうん!」


「にゃふん!」



 途端に悶える後輩ちゃんと桜先生。普通に触っても揉んでも何もないのに、マッサージをしようとするとこんな反応になるのは何故だろう? ポイズンクッキング並みに摩訶不思議な出来事。



「と、突然なにするんですか!?」


「マッサージ。嫌ならしないけど」


「弟くんお願ーい! お姉ちゃんの身体を揉みしだいてぇ~!」


「お姉ちゃんズルい! 私もお願いします!」


「じゃあ、先に名乗りを上げた姉さんから」


「わーい!」


「むぅ~!」



 というわけで、二人の身体を存分にマッサージ。モミモミモミモミ。


 決して変なことはしていない。至って普通のマッサージだ。なのに、何故身体をピクピクと痙攣させて顔はアヘ……いや、気持ちよさそうに緩んでいるのだろう? 普通のマッサージしかしてないのに!


 ……いつものことだけど。まあ、反撃にはなったかな。


 後輩ちゃん、桜先生。いろいろとごちそうさまでした。




















作者:「常識の範囲内……兄弟姉妹に関する二人の常識は……あっ!(察し)」




※近況ノート『生存報告ぅ……』

URL:https://kakuyomu.jp/users/Crohn/news/1177354054922787051



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