第349話 特別授業と後輩ちゃん

 


描写、大丈夫ですよね? (不安)

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「あうあうあう~」


「あわわわわわ~」



 姉妹がベッドの上で奇声を上げながらゴロゴロしている。ゴロンゴロンと転がり、時々ぶつかって、むぎゅ~っと抱きしめたかと思うと、ペイっと離し、足をばたつかせたり、大きく伸びをしたりする。


 今度は同時に起き上がった。無言で頷き合うと、二人組でストレッチを始める。二人は身体が柔らかい。背中を押す必要がない。


 お互いのストレッチが終わると、今度は座ってぼんやりする。宙を見つめてぼけーっとしている。


 二人の奇行を観察するのは楽しい。ずっと眺めていたい。次はどんな行動をするんだろうか? とても気になる。


 ぼけーっとした後輩ちゃんの瞳が俺を捉えた。瞳に輝きが戻り、パチパチと瞬かせる。



「ほぇっ? 先輩はいつからそこに?」


「えっ? 弟くん?」



 桜先生も我に返った。同じく目を瞬かせながら俺を見る。


 いつからって結構前からドアの前に居たけど。二人が気づいてくれないので、正座して眺めておりました。楽しかったですよ。


 バレてしまったので、俺もベッドに寝転ぶ。


 あぁー。気持ちいい。睡魔がぁ。今すぐ意識を手放して眠ってしまいたい。でも、ベッドの横方向に倒れ込んでいるから、脚がはみ出している。これではちゃんと寝ることはできない。


 二人がコロンと転がって、ピトッとくっついてきた。甘い香りがする。温もりも伝わってきた。心地良い柔らかさだ。



「くんくん……弟くんだぁ……くんかくんか、くんかくんか!」


「子犬になった姉さん? 貴女は変態ですか?」


「変態よ!」



 み、認めやがったぁ! 堂々とキッパリ、ドヤ顔しながら断言して言い切ったぞ。淑女なんだからせめて隠しなさい。認めるところではありません。


 そっかぁ。桜先生は変態なのかぁ。


 あれっ? 何故だろう。ショックがない。普通は姉が変態だとわかったら、多大なショックを受けるはずなのに、何を今さら、という感情が浮かび上がってくる。


 そして、ぽわ~んと浮かび上がってくる過去の桜先生の行動の数々。


 そっか。そうだよね。桜先生は元から変態だったよね。



「……一応聞いておきます。姉さんは大人ですよね?」


「もちろん大人のお姉さんよ!」



 ポンコツで残念な大人のお姉さんは、得意げに変態と認める女性だったようです。


 将来は大丈夫なのだろうか? お仕事モードのクールな桜先生は格好いいのに……。家でもそのクールさを少しは残しておいてくれぇ~!



「弟くん。何故敬語だったの?」



 いろいろな感情の変化がありまして……。



「なんだか疑いの眼差しを感じる。お姉ちゃんは大人のお姉さんなの! 現役の女教師なんだから!」


「「 えっ? 」」



 こうやって疑問の声をあげておけば、桜先生はお仕事モードになってくれるはず! 桜先生はチョロいから。


 でも、後輩ちゃん。君は素で驚いてないかい? 確かに、家での桜先生は教師要素が皆無のポンコツで残念な姉に成り下がるけど。



「弟くんと妹ちゃんが酷い! こうなったらお姉ちゃんの先生姿を見せてあげるわ!」


「教科は保健体育でー!」


「もちろんよ、妹ちゃん! お姉ちゃんが一肌脱いで、全裸で分かりやすく性教育をしてあげましょう! よぉ~く聞きなさい!」


「は~い!」



 後輩ちゃん! 桜先生が調子に乗るから、素直に返事をしないの! 桜先生は本当に服を脱ごうとするなぁぁああ!


 数分後、何とか脱衣を阻止した俺は、息を荒げてベッドに倒れ込んだ。滅茶苦茶疲れた。後輩ちゃんがナデナデしてくれる。とても癒される。後輩ちゃんは天使か!? でも、説得を手伝ってほしかったなぁ。


 少し不満げな桜先生は、クールとポンコツさを兼ね備えた家教師モードになって、教科書(エロ本)を手に持ち、授業を開始する。



「お姉ちゃんによる、お姉ちゃんの、弟くんと妹ちゃんとそしてお姉ちゃん自身のための特別授業を始めます」


「始めまーす!」



 何故ノリノリなんだよ、後輩ちゃん。



「子供の作り方は知っていますかぁ~?」


「知らな~い!」


「ちょっと待てぇ~!」



 疲れた体を無理やり動かして、ノリノリな姉妹の授業風景をストップさせる。


 二人はキョトンとしている。このまま続けさせるのはとても危険だ。今すぐ止めなければ!



「授業は終了だ! 寝るぞ!」


「妹ちゃん! ゴー!」


「ラジャー!」


「もががっ!? うぐぅ~!」



 後輩ちゃんが背後からむぎゅっと抱きついてきて、口が塞がれた。腕ごと抱きしめられているから、腕も動かない。


 桜先生は授業を再開する。



「男性の精子と女性の卵子が受精して、卵管をコロコロと転がり、子宮にたどり着いて、子宮内膜に着床すれば妊娠が成立します。精子は3~5日生きられるのに対し、卵子は1日らしいわよ。子供は愛と奇跡の結晶よ!」


「おぉ~!」



 あ、あれっ? 滅茶苦茶まともなことを言っているんだけど。桜先生が教師っぽい! 驚きだ。あっ! 桜先生は現役の女教師だった。



「卵子の大きさは約0.1ミリメートル。針でチョンと突いた穴くらいの大きさとお姉ちゃん先生は習いました! 精子の大きさは卵子の約半分ね」



 お姉ちゃん先生と言うところがポンコツで残念だ。内容はとてもまじめなことなのに。



「はいはーい! 私と先輩はどんな行動をすればいいんですかー?」



 後輩ちゃんんんんんっ! 元気よく変な質問をするなぁああああああ!



「良い質問ね! 妹ちゃん、全て弟くんに任せて、天井のシミを数えていたら終わるわ!」


「天井にシミなんかありませんよ」


「あらホントね」



 ナイス桜先生! ノリノリだったにもかかわらず、こういうところはポンコツで残念だ。


 ふぅ。安心した……。



「天井のシミが数えられないなら、興奮して固くなった弟くんの男性器を、妹ちゃんの女性器に挿入して、刺激を与えればいいわ。弟くんが射精すれば、あとは精子にお任せね!」



 油断したぁぁあああああああああ!? 表現は控えめだったけど、言ってしまったなぁ、桜先生。まあ、これくらいなら許そう。


 あと、輪っかを作って上下に動かすその手の動きを止めてもらってもいいですか?



「ちゃんと正しい知識を持って性行為を行うのなら、お姉ちゃん先生は何も言いませ~ん! でも、知識もないのに行うのはダメです。ドクターストップならぬシスターストップをします」


「じゃあ、正しい知識を教えてくださ~い!」


「一つ! 安全日など存在しな~い! 安全日とか嘘です。だから、必ず避妊しなさい。一回でも妊娠することはあります。安全日と言う女性は信用してはいけません。外に出すから、という馬鹿な男のセリフも信じてはいけません。そう言った男には股間に蹴りを喰らわせてやりましょう!」


「は~い! 先輩は馬鹿な男ですか?」


「もがもが!」


「違うそうです」


「続けるわよ。二つ目! 避妊具の使い方を学びましょう! 裏表があるし、一回間違えたら使用してはいけません。避妊具も完璧ではありませんのでご注意を! 大抵は装着ミスとかによる妊娠が多いわね」


「ほうほう。また練習しておこうっと」


「三つ目! 性器は清潔に保ち、繊細に扱いましょう! 大人のビデオを真に受けたらダメよ、弟くん!」


「もがもがっ!?」



 それくらい知ってるぅ~! というか、大人のビデオをよく見ているのは後輩ちゃんと桜先生ではないかぁ~! せめてこそっと見てくれよぉ~!


 その後も、性病の話など、桜先生の真面目な授業は続いた。興味津々で話を聞く後輩ちゃん。俺も後輩ちゃんに口を塞がれたままじっと大人しく聞いていた。


 だって、性教育って大切だから。ポンコツで残念な姉からは想像つかないような真面目な内容だったし。



「これでお姉ちゃん先生による特別授業は終了よ!」



 俺と後輩ちゃんはパチパチと拍手をする。桜先生は嬉しそうだ。


 終わった終わった。やっと寝れる……。



「次は二時間目! 実技の時間よー!」


「はーい!」



 拘束が緩んだ一瞬の隙を見て、後輩ちゃんのハグから抜け出した俺は、我慢の限界を突破する。



「最後の最後で台無しだよ、ポンコツ教師! 後輩ちゃんも『はーい』じゃない!」


「「 くぅおー!? 」」



 盛大なチョップを頭に喰らった二人は、頭を押さえて蹲る。あまりの痛みに呻き声しか出せないらしい。調子に乗った罰だ。


 こうして、桜先生による特別授業は座学の一時間目だけで終了した。





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描写、大丈夫ですよね? (二回目)

カクヨム様! これは健全な話ですよー!

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