第216話 乳と後輩ちゃん
俺と後輩ちゃんのイチャイチャが終わり、傍でガン見していた桜先生を連れて、三人で動物園の中を歩き回る。
俺のお化け屋敷のショックも、後輩ちゃんの精神的ショックもなくなり、そろそろお腹減ったかな、と思い始めたところ、ピンポンパンポーン、と軽やかな音が園内のスピーカーから聞こえてきた。
どうやら、動物園のアナウンスらしい。
『ご来園のお客様にご案内致します。本日、午前11時30分より、牛の乳搾り体験を開催いたします。ぜひ、ご参加ください』
アナウンスを聞いたお隣の超絶可愛い美少女と絶世の美女がビクンと反応した。女性二人が顔を見合わせる。
「なん…だと!? 午前11時30分…」
「あと10分ね」
「牛の…」
「乳搾り…」
「「行きたい!」」
後輩ちゃんと桜先生が綺麗な瞳を輝かせ、じっと俺の顔を見つめてくる。ウルウルと上目遣いで、両手を胸の前で合わせておねだりポーズ。胸を強調させるのも忘れない。
周囲の男性が鼻血を噴き出して地面に倒れ込んだ。目をハートマークにしてピクピクと痙攣している。
俺も
潤んだ瞳で見つめ続ける後輩ちゃんと桜先生。
二人に弱い俺は了承するしかない。
「………わかった。行くか」
「「わーい!」」
後輩ちゃんと桜先生がハイタッチして喜び合っている。
牛の乳搾りはしたことなかったから、ちょっと興味があったんです。そんなにおねだりされなくても、普通に了承していました。
まあ、可愛い二人を見れたので、俺は満足です。
「じゃあ、レッツゴーです!」
「「おぉー!」」
後輩ちゃんの掛け声に、俺と桜先生も返事して、俺たちは乳搾りの会場へと向かう。
会場では子供連れの親子がとても多かった。ちらほらとカップルもいる。みんな楽しそうだ。
乳牛は何匹かいて、列に並んで一人一人乳搾りをしている。楽しげな声が上がる。
お喋りをしていたら、すぐに俺たちの番が回ってきた。
係員さんの案内で、俺たちは牛の前に集まる。
「じゃあ、誰からする?」
「はい! 私がします!」
「はい! お姉ちゃんもしたい!」
二人が元気よく手を挙げて、じーっと俺を見つめてくる。
何となく二人が言いたいことがわかった。いや、はっきりと分かった。絶対にあれだ。俺が手を挙げたら、どーぞどーぞってなるヤツだ。お約束だな。
流れに乗って、俺もそろそろと手を挙げる。
「……俺もしたい」
「では、じゃんけんで決めましょう!」
あ、あれっ? じゃんけん? どーぞどーぞって譲らないの?
えっ? あれっ? 今、そういう流れじゃなかったの? 明らかにお約束の流れだったよな? 俺、間違ってた? 間違ってないよね?
俺は困惑と動揺をしながらも、無意識にじゃんけんを行い。二人に勝ってしまった。
結局、最初に乳搾りを行うのは俺のようだ。
「先輩! 頑張ってくださいね!」
「弟くん、ファイト!」
「わ、わかった」
俺の肩からひょいっと覗き込む後輩ちゃんと桜先生。近すぎて二人の甘い香りが漂ってきて、脳が蕩けてクラクラする。とてもいい香りだ。
湧き上がる欲望を鍛え上げられた強靭な理性で抑え込み、俺は初の乳搾りを開始する。
おぉー! 予想していものより張りがある! パンパンだ! そして、温かい! 生きてるって感じがする。それに、柔らかいな。
ちょっとした感動を覚えていたら、それをぶち壊しにする人たちが俺の背後にいた。
「先輩? そんなに熱心に牛のおっぱいを触っていますが、興奮したんですか?」
「そうなの? そんなに気持ちいいの?」
俺は外野の声を無視して、ギュッと乳を搾ってみる。勢いよく噴き出した乳が、容器に入っていく。
搾りたての牛乳を飲んでみたいなぁ。これ、飲めるかな?
「どうです? 張りはありますか? 柔らかさは? 感触は? 私たちのおっぱいと比べてどうですか?」
「大きさは負けるけど、お姉ちゃんと妹ちゃんはそれなりに美乳だと思うのだけど……。あっ! もしかして、乳が出ないのが不満だったりする?」
「先輩…もしかして、そういうプレイがお好きなんですかっ!? くっ! 流石におっぱいは出ないです…」
「大丈夫よ、妹ちゃん! 妊娠すればおっぱい出るようになるから!」
「なるほど! その手がありましたか!」
「あるわけねぇーだろうが! なるほどじゃない! 納得するな! それに、人の性癖を勝手に決めつけるな! このセクハラ痴女姉妹が! いい加減にしろ!」
片手は乳搾りに使っていないので、拳を握ってエロい姉妹の頭に容赦ない拳骨を落とす。ゴッチーンという音がした。
くぅわぁ~!と頭を押さえて悶え苦しむ後輩ちゃんと桜先生。当然の痛みだと思います。
係員さんが見事な営業スマイルを浮かべているが、わずかに引きつっているのが俺にはわかる。俺のことを視界に入れないようにしている気がする。
絶対に誤解されてる…。
また怒りが沸き起こったので、二度目の拳骨を二人に落とした。後輩ちゃんと桜先生があまりの痛みに声にならない悲鳴を上げる。
あの~? 係員さん? それってSMプレイ?みたいな顔をしてドン引きしないでください。違いますから。
係員さんに変態認定された俺は、牛の乳搾りを早々に切り上げると、まだ痛みに呻いている女性二人に順番を譲った。
順番が回ってきた後輩ちゃんと桜先生は、わずかに涙目で、楽しそうにはしゃぎながら乳を搾っていた。
乳搾り初体験は、いろんな意味で記憶に残る体験でした。
後輩ちゃんと桜先生には、あとでお仕置きをしてやる! 覚悟しとけ!
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