第188話 背中の後輩ちゃん
「今日はお姉ちゃんはとっても頑張りました! 褒めて褒めて!」
寝る準備が終わったのんびりタイム。桜先生が薄いキャミソールを着て仁王立ちしている。
明らかにノーブラがわかる。ブラは付けていないけど下はちゃんとつけているから、まあ許そう。
あぁ……だんだん俺も染まっていくのがわかる。慣れって恐ろしい。
俺の背中にむぎゅっと抱きついていた後輩ちゃんが、俺の肩からひょっこりと顔を出す。
背中の柔らかさが気持ちいい。そして、甘い香りが心地良い。
「おぉ! お姉ちゃん性教育お疲れ様です! ナデナデしてあげましょう!」
「わーい!」
桜先生が俺に抱きつくように近づいてきた。
後輩ちゃんが俺の背中に抱きついたまま桜先生を撫でる。
「…………後輩ちゃん?」
「はい。なんでしょう?」
「せめて姉さんの頭を撫でてくれない? 胸じゃなくて」
俺の目の前で桜先生の巨乳をナデナデしているのは実に危険な光景だ。
あっ、揉み始めた。ノーブラだから丸わかりなんですけど!
「お姉ちゃんは構わないわよ。弟くんも撫でてくれる?」
「撫でません! でも、頭は撫でてあげよう。ナデナデ」
「わーい!」
桜先生は俺に頭を撫でられて気持ちよさそうだ。
俺が頭を撫でているからだよね? 後輩ちゃんが胸を撫でているからじゃないよね?
詳しく考えるのは止めよう。
頭を撫でながら、俺は桜先生のお尻の辺りに子犬の尻尾を幻視する。嬉しそうにブンブンと激しく振っている尻尾が見える。
後輩ちゃんが子猫なら、桜先生は子犬だ。俺は子犬と子猫を世話していたのか。
………やっぱり後輩ちゃんがモミモミする手が気になる。
俺は桜先生の肩を掴むとクルッと逆を向かせる。そして、桜先生の後ろからむぎゅっと抱きしめた。
俺は桜先生を後ろから抱きしめ、その俺を後輩ちゃんが後ろから抱きしめている。
「えっ? えっ!? 弟くんが……弟くんがお姉ちゃんをぎゅってしてるぅ~!?」
何故か耳や首筋まで真っ赤になっている桜先生がいる。
俺の腕の中で大人しいけど。
「あれっ? そんなに驚くことか?」
「普通のことですよね?」
「妹ちゃんはね! お姉ちゃんはほとんどされたことがないわよ!」
あぁ~。そうかも。いっつも後輩ちゃんを抱きしめているからなぁ俺。
いつも後輩ちゃんをこうやって後ろから抱きしめて、お腹をフニフニするんだ。こんな感じで。
「お、弟くんがお姉ちゃんのお腹をフニフニしてる!? お姉ちゃん太ってるからやめてぇ~!」
「全然太ってないぞ。後輩ちゃんと違ってこれはこれで……」
「先輩は本当にお腹が好きですねぇ。こうなったら私は先輩のお腹を触ります!」
スゥっと後輩ちゃんの手が俺の服の中に入ってきた。
そのまま俺のお腹をナデナデと撫でられる。
「ふぉぉぉおおおおおおおおお! 先輩の……先輩のおにゃか! ふぉぉぉおおおおおおおおお! 腹筋が割れてすごいですぅぅううううう! うほぉぉおおおおおおおおおおお!」
後輩ちゃんが壊れた。俺の腹筋をナデナデして奇声を上げている。
触るのはいいけど、俺の耳元で叫ばないで欲しい。
そのまま後輩ちゃんの手が俺の胸まで上がってきてくすぐったい。
でも、好きにさせるか。俺も桜先生のお腹を好きに触る。
「い、妹ちゃんいいの? 彼氏の弟くんがお姉ちゃんのお腹を触っているのよ!? 浮気じゃないの!?」
「えっ? お姉ちゃんはなに変なこと言ってるの? 姉弟だから浮気にはならないでしょ? お腹を触るのも、おっぱいを触るのも、性処理も子作りも姉弟なら普通のことでしょ?」
「あっ、そうだったわね! お姉ちゃん疲れているのかなぁ…?」
うわぁー。相変わらず姉弟に関する常識がぶっ壊れてるわこの二人。
でも、だんだんそれに染まってきている俺。慣れって怖い。
いや、これは大丈夫だ。桜先生に対する感情は恋愛じゃなくて家族愛だ。
二人も言ってるからセーフなんだ! ………………本当にセーフか?
桜先生がぐったりと疲れた様子でもたれかかってきた。
「お姉ちゃん他の学年も性教育の授業があるのよ……。二年生には避妊具と性病のお勉強よ。今週は避妊具で、来週が性病。一年生は来週は家族計画についてだったわね」
「うわぁー。お姉ちゃんお疲れ様」
「ありがとうね。でも、これがお姉ちゃんのお仕事よ! それに、避妊具のつけ方についてはバッチリ!」
あははー。なんでバッチリなんでしょうねー? 俺、何にも知らなぁーい。
俺の背中に抱きついてお腹を触ってくる後輩ちゃんが、耳元で甘く囁いてくる。
「私もつけ方はバッチリですよ。練習じゃなくて本番でも……」
「俺、まだ知識不足だからなぁ……」
「ちっ! このヘタレめっ!」
「ふはははは! なんとでも言うがいい! 俺はヘタレだ! それにいざとなったら後輩ちゃんも気絶するだろう?」
「くっ! だいぶ慣れましたが、気絶するのは間違いありませんね。もっと訓練しなければ! というわけで、わざとおっぱいを押し付けてあげます! ほれほれぇ~!」
後輩ちゃん。わざと当てなくてもずっと背中に当たってたから。ずっと密かに楽しんでいましたから。
お年頃の俺は、心の中で後輩ちゃんに感謝する。
桜先生はしれっと俺の手を自分の胸に誘導しようとしている。でも、バレバレだ。
「はいそこのポンコツえっちな姉さん! 俺の手を上に誘導するな!」
「ちっ! じゃあ、下で」
「そっちもダメだ!」
うぅ…姉がポンコツだよぉ。癒してくれるのは後輩ちゃんしかいないよぉ。
んんっ? あれっ? 俺の背中にいる癒しの後輩ちゃん…?
「おいコラ超絶可愛いえっちな後輩ちゃん? しれっとパンツの中に手を入れようとしないでくれませんか?」
「ちっ! バレましたか!」
「頭にエロしかないのなら、しばらく二人にハグしません!」
「「うぁー! ごめんなさぁーい!」」
前と後ろから必死で謝る声がする。
こうして、しばらくの間、俺は平穏で安心な癒しを手に入れるのだった。
まあ、二、三日で元のエロエロに戻ったけど…。二人は欲求不満かっ!?
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