第83話 8月1日と美緒ちゃん先生
俺が床に仰向けになってゴロゴロしていると、桜先生が近くに来て仁王立ちする。
「弟くん! 突然ですが問題です。今日は何の日でしょうか?」
「まさかのデジャヴ!?」
今日の昼にも似たような光景を見た。先生の隣でドヤ顔しているどこかの可愛い後輩ちゃんが同じ状況で同じ質問をしてきたぞ。
その後は俺の身体をあちこち触ってくすぐってきた。そのおかげで、今俺は疲労困憊で動きたくないのだ。まだ体力が回復していない。
桜先生がキョトンとして俺の言葉に戸惑っている。
「デ、デジャヴ? それってどういうこと?」
後輩ちゃんがポヨンと胸を弾ませて自慢げに言い放つ。
「ふふんっ! お昼に私も同じ質問をしたのです! いや~たっぷりと堪能させていただきました。先輩! ごちそうさまでした!」
「お、お粗末様です」
肌が艶々の後輩ちゃんと笑い疲れてぐったりとしている俺。
後輩ちゃんは俺を虐めるのが楽しいようだ。
「妹ちゃんだけズルい! 私も堪能したかった!」
「じゃあお姉ちゃんも堪能すれば? 凄かったよ。思わず涎が垂れ落ちるところだった」
「後輩ちゃん後輩ちゃん。欲にまみれた後輩ちゃんは思いっきり涎を垂らしてたからね? バッチリ俺の身体に垂れ落ちてたからね?」
「なんのことですかー? ~~♪ ~~♪」
後輩ちゃんが口笛を吹きながら明後日の方向をむく。
「棒読み口調! そして口笛で誤魔化すな! 口笛上手すぎるだろ!?」
俺が声を荒げながら指摘している最中に、桜先生はキッチンへ移動し、何故か冷蔵庫を漁り始める。
冷蔵庫をくまなく探し、涙目になりながら再びリビングに戻ってきた。
「もう! どこにもないじゃない! もしかして二人で食べちゃった? お姉ちゃんだけ除け者なの?」
「「………」」
俺と後輩ちゃんは顔を見合わせる。明らかに先生と俺たちの間に大きな齟齬が発生しているようだ。
おっと。先生の大きな瞳に涙が浮かんで、今にもポロポロと零れ落ちそうだ。
「お姉ちゃん? お姉ちゃんは今日は何の日だと思ってたの?」
「ふぇっ? パインの日。パインの日だからパイナップルが買ってあるのかなぁって。ちなみに、8月中はパイン消費拡大月間です!」
「へぇー知らなかった」
「ふふんっ! 私は大人なのでこういう雑学も知っているのです!」
得意げに胸を張ってドヤ顔をする桜先生。
そういうセリフを言う人は絶対ダメダメでポンコツなんだよなぁ。
胸を張った勢いで巨大な胸がバインと揺れている。実に眼福である。
「あと、私はパイの日って勝手に思ってるから、アップルパイでもいいなって思いました」
「………………今度買ってくるので我慢してください」
「はーい!」
桜先生は嬉しそうに顔をほころばせている。さっきまで泣きそうで、次の瞬間にはドヤ顔で、今はとても嬉しそうな笑顔だ。感情の変化が激しい。
「そういえば妹ちゃんは何の日だと思ってたの? それに何を堪能してたの?」
「よくぞ聞いてくれました! 私もパイの日だと勝手に考えていました。それともう一つを組み合わせて、いろいろと先輩で遊んでたんです。さて、お姉ちゃんに問題です! 8月1日はパインの日以外にもまだあります。今日は何の日でしょうか?」
いや、思いつかないでしょ。俺は全然知らなかったし。後輩ちゃんに聞いて、世界母乳の日って知りました。後で調べたら肺の日とか花火の日とかあるらしいです。
しかし、俺の予想に反して桜先生は即答する。
「世界母乳の日」
「正解です!」
えぇー! なんで即答するんですか!? これって有名なの? 俺知らなかったんだけど。
桜先生が大きな胸を重そうに手で持ち上げた。
一体どのくらいの重さなんだろうか? ふむ、実に気になる。
「私、おっぱい大きいけど母乳は出ないよ? 妹ちゃんは出るの? 弟くんに飲ませた?」
「出ないし、飲ませてないから!」
おぉ。後輩ちゃんが顔を真っ赤にしながら焦っている。うむ、あたふたしている後輩ちゃんも可愛い。
「もしかして、パイの日と世界母乳の日を組み合わせておっぱいの日?」
「そういうことです!」
いえーい! と後輩ちゃんと桜先生が仲良くハイタッチしている。実の姉妹のように仲が良い二人。見ててほんわかする。
「妹ちゃん、弟くんに触らせたの? そして吸わせたの?」
「両方してないから!」
うん。俺はしてない。俺は後輩ちゃんの胸に指一本触っていない。でも、後輩ちゃんは俺の胸を触ったりいろいろしてた。具体的な内容はご想像にお任せする。俺は絶対に口に出さない。秘密だ。
「私は先輩のおっぱいを触ってたの!」
「弟くんのおっぱいですって!? ……詳しく聞きましょう」
おっと。俺の直感が警告を発している。
桜先生の目が肉食獣のようにギラリと光った気がする。後輩ちゃんはエロティックに舌なめずりをしている。
昼のこともあるし、俺は一目散に逃げだすことを決意した。
「じゃあ二人とも俺は寝るね。お先におやすみ~」
ガシッ! ガシッ!
両腕がとても柔らかいものに包まれる。とても気持ちいい。温かくて柔らかくて良い香りが漂ってくる。
でも、がっちりと腕を掴まれ、逃げられないように手の指まで絡めてくる。そして、両サイドを見るとニッコリと美しい笑顔が輝いた。
「先輩? わざわざ私たちのために自分から寝室に行こうとするとは良い覚悟です。たっぷりと楽しみましょうね?」
「そ、それって後輩ちゃんと姉さんだけが楽しむやつだよね!? 俺は楽しめないやつだよね!? そうだよね!?」
「弟くん! お姉ちゃんと妹ちゃんに任せて、ね? じゅるり」
「じゅるりって、じゅるりって言った! 誰か助けてくれぇぇぇぇえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!」
こうして、寝室に連れ込まれた俺は二人のおもちゃになりました。
二人はそれはそれは楽しそうで、俺はくすぐられて死ぬかと思いました。
くすぐり地獄って、もはや拷問だよね。
笑い疲れて体力がなくなった俺は、気絶するかのように眠りに落ちていった。
<おまけ>
「先輩寝ちゃった?」
「寝ちゃったみたい。疲れてぐっすり寝てる」
「グヘヘヘヘ! では、今から保健体育のお勉強を始めます。お姉ちゃんどうぞ!」
「こ、これは教育的な立場による学術的な知的好奇心なのよね! け、決して性欲なんかじゃないんだから! ゴクリ…。では、いきます、それっ! …………おぉ」
「おぉ、だよね。私もいつ見ても、おぉ、だもん。というわけで、先輩が起きないうちに、ああしてこうしてこうするっと」
「おぉ……。不思議だねぇ」
「不思議だねぇ…」
こうして、美女と美少女の性欲………ではなくて学術的な知的好奇心が満たされていく。
寝ている人物は何も気づかない。
美女と美少女の興味は尽きることはなかった。
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