第82話 8月1日と後輩ちゃん
俺が床に仰向けになってゴロゴロしていると、後輩ちゃんが近くに来て仁王立ちする。
「先輩! 突然ですが問題です。今日は何の日でしょうか?」
スカート丈の短いワンピースを着ている後輩ちゃん。スラリと綺麗で艶めかしい太ももが全開になっている。
俺も男だ。後輩ちゃんの美脚に目が吸い寄せられるのは抗えない運命なのだ。
そして、短いスカートの奥にある薄いラベンダー色の下着。俺からバッチリ見えております。見るときは黙って見ろ、と後輩ちゃんに言われたので、指摘することなく眺めさせていただきます。
やばい。ちょっと、いや、猛烈に興奮してきた。後輩ちゃんにバレないように脚を組んで誤魔化す。
「先輩聞いてましたか?」
後輩ちゃんが訝しげに俺の顔を覗いてくる。ちょっと前屈みになったため、後輩ちゃんの胸も強調される。
落ち着け~俺。落ち着くんだ俺。最近俺の心の中がエロエロだけど、健全な男子高校生のはず。俺の理性よ頑張れ!
俺は何とか平静を装った声を出す。
「ご、ごめん。もう一回言って」
はぁ、と後輩ちゃんが呆れた顔をしているけれど、言葉が頭に入ってこないのは後輩ちゃんのせいだからね。無自覚に俺の理性を試さないでください。
「もう一回言いますよ。今日は何の日でしょうか?」
今日? 何かあったっけ? 何かの記念日? いや、何の覚えもない。
じゃあ、誰かの誕生日? う~ん、知り合いにはいないなぁ。そう言えば桜先生の誕生日はいつだろう? もしかして今日?
「………もしかして、姉さんの誕生日?」
「ブッブー! お姉ちゃんの誕生日は4月です! 今日が誕生日だったらお姉ちゃん意気消沈しますよ。お姉ちゃん31歳になっちゃったって」
「それもそうか」
桜先生は三十代になったことを地味に気にしているみたいだからなぁ。
今、先生は仕事でここに居なくてよかった。聞かれてたら大変なことになってたかもしれない。
先生の誕生日でもないってことは、今日は何の日だ? 今日は8月1日。特別な日ではなかったはずなんだけど。
「後輩ちゃん。降参です。俺には何の日かわかりません。教えてください」
後輩ちゃんがニヤリと笑った。そして、胸を張って自慢げに言い放つ。平均より大きな胸がプルンと弾んだ。
「今日は8月1日です。8と1でパイ。パイの日なのです!」
「…………3月14日じゃないのか?」
「円周率のパイの日じゃありません! 別のパイです!」
「………アップルパイとかのパイか? ふむ、久しぶりにアップルパイを食べたくなったな。近いうちに買ってこよう」
「わーい! ………………って確かにそっちのパイもありますけど! そっちのパイでもありません! パイはパイでもおっぱいの日です!」
ふむふむ。俺の視線が後輩ちゃんの胸に吸い寄せられるのは偶然ではない。必然だ。
「俺、そんなこと一言も聞いたことがないんだけど」
後輩ちゃんが胸を張ってドヤ顔をする。プルンと揺れた後輩ちゃんの胸を俺は見逃さない。
「ふふん! だって私が勝手に思いついただけですから!」
「えぇー…」
まさかの後輩ちゃんの思い付きでしたか。そりゃあ、俺が知らないはずだ。
「まあ、ネットではいろいろと出回ってるみたいですけどね。一応、世界母乳の日らしいですから、間違っているわけでもありません」
へえ、世界母乳の日なのか。それは知らなかった。一つ賢くなった俺でした。
「というわけで先輩! 私……私に………!」
後輩ちゃんが顔を真っ赤にさせながら、前屈みになりつつ腕で胸を強調させている。
これはもしかして……もしかしてなのか!?
「私に…………私に先輩のおっぱいを触らせてください!」
「って俺のかよ!?」
俺に後輩ちゃんの胸を触らせてくれるんじゃなくて、後輩ちゃんが俺の胸を触りたいだけらしい。
後輩ちゃんはこういう子だった。期待した俺が馬鹿だった。
よく見ると、後輩ちゃんの目が欲にまみれてギラギラと血走っており、鼻息がフーフーと荒くなっている。
なぜ気づかなかったんだろう。俺の馬鹿。そして、ちょっと引きます。
「あれれ~? 残念そうですねぇ~。もしかして先輩、私のおっぱいを触りたかったですかぁ~? 期待しましたかぁ~? 私のおっぱいを食い入るように見つめてましたからねぇ。ちょっとくらいなら触らせてあげましょうかぁ~?」
くっ! 一瞬で欲にまみれた顔からニヤニヤと揶揄う顔に早変わりしやがった。
流石後輩ちゃん。俺を揶揄う瞬間を逃さない。く、悔しい。
「…………べ、別に触らなくていい」
正直とても触りたかったけれど、お願いしたら負けた気持ちになる。だから、断腸の思いで断る。
しかし、ニヤニヤ顔の後輩ちゃんは止まらない。両手で胸を持ち上げて誘惑してくる。
「本当にいいんですかぁ~? そろそろ私も服の上から触られても気絶しないと思うんですけど。ドッチボールの時にラッキースケベで触られても大丈夫でしたし」
「さ、触らない」
「そうですか。残念です。私も結構勇気を出したんですけどね」
後輩ちゃんの残念そうな声に、えっ、と顔を上げたら後輩ちゃんのニヤニヤ顔が目に入った。
残念そうな声も演技だったらしい。く、悔しい。また揶揄われた。
「というわけで、私が先輩のおっぱいを触りますね」
「どういうわけなんだ!?」
「先輩は私のおっぱいを触らないけど、私は先輩のおっぱいを触ります。これはもう決まったことです。先輩に拒否権はありません。問答無用で触らせてもらいます! とりゃ!」
油断していた俺に後輩ちゃんが飛び掛かってくる。
抵抗してみたけど、後輩ちゃんの柔らかさに俺の欲望が負けてしまい、大人しく堪能してしまう。
後輩ちゃんはあっさりと馬乗りになって、俺の服の中に手を突っ込んできた。
すべすべとした後輩ちゃんの綺麗な手が俺の身体を滑っていく。
「グヘヘヘヘ! 先輩の身体……グヘッ! ふぉぉおおおおおおおおおおお! おっぱいすごいです!」
「や、止めろぉぉおおお! せめて胸筋って言ってくれぇぇええええ!」
「グヘヘヘヘ! ムキムキですね!」
俺の洋服を捲り上げて、ペチペチと叩いたり、モミモミと揉んだり、人差し指でスーッと指を這わせている。ゾクゾクとした快感とくすぐったさが襲ってくる。
俺の上に馬乗りになっている後輩ちゃん。短いワンピースのスカートが捲れ上がっていることに気づいていない。薄いラベンダー色の下着が眩しい。
「先輩先輩! 男の人も敏感なんですか?」
「人によって違うと思うぞ」
「じゃあ先輩は?」
「………………黙秘権を行使する」
「フヒッ! では、たっぷりと虐めてあげますね♡ とりゃぁあああああ!」
「アハハハハハハハハハ! イヒヒヒヒヒヒヒヒ! くすぐったい! くすぐったいから止めてぇぇぇええええええええええええええ! ひぃぃぃいいいいいいいい! 息が! 息ができないからぁ!」
「うふふふふ。先輩の弱点みーっけ♡」
「こ、後輩ちゃん止めてぇぇぇええええええええええええええ!」
俺の笑いと絶叫が部屋に響き渡った。
後輩ちゃんは、俺が呼吸困難に陥るまで、それはそれは楽しそうにくすぐってきました。それが何度も何度も何度も何度も繰り返されました。
笑いすぎたおかげで、俺は体力がありません。
普通は何度もされて怒るところかもしれないけれど、後輩ちゃんのすべすべした手と、柔らかいお尻と太ももの感触と、薄いラベンダー色の下着に免じて許してあげよう!
後輩ちゃん、ありがとう!
俺の変態度が上がっているけれど、これって大丈夫だよね?
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