第79話 オプションと後輩ちゃん
桜先生の家を掃除した日の夜。全員お風呂に入り、寝る準備を整え、ゆっくりまったりしていた。
現在いる場所は桜先生の部屋。桜先生の突然の思い付きにより、今日は桜先生の部屋で寝ることになったのだ。
いつの間にか俺を交えて三人で寝ることになっており、多数決の結果俺は負けた。
後輩ちゃんの裏切者!
ということで、俺たちは桜先生の部屋にいる。桜先生の香りが漂っていて少しドキッとする。
後輩ちゃん、ごめんなさい。俺も男なのです。
少し緊張しながらものんびりしていたら、後輩ちゃんが薄着のパジャマを着て、ポヨンと平均より大きな胸を張った。
「さあ先輩! 私のお仕事の時間です! たっぷりと癒して差し上げますので、さあさあカモーン!」
「い、いや、今日は姉さんがいるし…」
「お気になさらずどうぞどうぞ! 出来ればお姉ちゃんも弟くんを癒した~い!」
桜先生が手をあげてお仕事を要求する。俺は修羅場にならないか戦々恐々していたが、いつもは据わった目をする後輩ちゃんが、嬉しそうに桜先生を指さす。
「ちょっとだけだったら許可します!」
「わーい! 妹ちゃんありがとー! 私はさりげなく弟くんを癒すね!」
もろ手を挙げて喜ぶ桜先生。喜んで身体が弾むたびにポヨンポヨン、いやバインバインと弾む巨乳。
正直俺のタイプではないけれど、実に眼福である。
おっと、後輩ちゃんに気づかれてしまった。後輩ちゃんのジト目が俺を襲う。
「二人はいつも何をしているの?」
桜先生が首をかしげて問いかけてきた。
いつも俺たちは何をしているのだろう? 膝枕が多いかな? 後はぎゅっと抱きしめたり、ほとんど記憶にはないけれど、後輩ちゃんの身体を触りまくったこともあるらしい。
何故肝心なところを覚えていないんだ俺は!
「膝枕が多いですねぇ。後はぎゅっとしたり、私のお腹をふにふにされたり…。先輩! 今日は何します?」
「………………取り敢えず膝枕で」
「はーい!」
ということで、俺は後輩ちゃんに膝枕をしてもらう。柔らかくて温かくて甘い香りがして最高だ。
後輩ちゃんはいつでもお触り自由ということなので、俺は太ももをさわさわふにふにする。ふむ、実に最高である。
「うわー慣れてるねぇ。妹ちゃん、大変じゃない?」
「んんぅっ! い、いろいろと大変だけど、あぅっ、これはこれで…」
「そ、そうなの。いろいろと悶々として溜まりそうね」
「だ、大丈夫、ひゃぅっ、そ、その時は、先輩で発散するから」
何やら後輩ちゃんと桜先生が喋っているけど、俺は後輩ちゃんの太ももを堪能するのが精一杯で、何も聞こえない。
ふぅ~、後輩ちゃんの太ももは世界一である。癒されますなぁ。
でも、プルプルビクビクしているけど、後輩ちゃんは大丈夫だろうか?
「うぅ…お姉ちゃんは何もできない…。今回は見学だけにしましょう。妹ちゃん、弟くんにオプションはしないの?」
「オプション?」
「そう、膝枕のオプション。ズバリ耳かき! よく小説や漫画であるじゃない!」
「あぁ~! そういえばありますねぇ。やったことないけど。先輩先輩! 膝枕のオプション欲しいですか?」
「オプション?」
俺は後輩ちゃんの太ももを堪能するのに忙しくて二人の話を聞いていなかった。
何だ? 膝枕のオプションって?
顔を真っ赤にして、ちょっと息が荒い後輩ちゃんが得意げに言い放つ。
「膝枕のオプション…それズバリ耳かきです!」
「止めてください。お願いします」
「「即答して懇願するほどの拒否!?」」
二人は何を驚いているのだろう? 即答で拒否するに決まっているじゃないか。
耳かきをしてもらう? 土下座していいほどしてほしくない。
だって後輩ちゃんと桜先生だぞ!
「な、なんでなの!? 弟くん!」
「そ、そうですよ! ちょっと傷つきました!」
「いや、だって二人とも家事能力皆無でしょ? 洗濯物を洗濯籠に入れないくらい面倒くさがりなんだよ? 他人の耳かきができると思う?」
「「………………出来ません!」」
一瞬よく考えた後輩ちゃんと桜先生はドヤ顔をしながら答えた。
ふむ、二人とも理解したならよろしい。
他人の耳かきは自分でするよりも慎重な作業なのだ。二人にさせたら最悪の場合鼓膜を突き破りそうだ。恐ろしくて任せることは出来ない。
そして、二人のドヤ顔が可愛いなぁ。流石美女と美少女。どんな顔も可愛い。
学校中の男子が羨むことを俺は経験している。バレないように気をつけよう。バレたら俺は海の中に沈んでいるかもしれない。
「わかったのなら大人しく俺にふにふにされるのだ!」
「了解です! 今日はパジャマのズボンを穿いているので、次回は生足で膝枕してあげますね」
「あぁ~ズル~い! お姉ちゃんもする!」
「早い者勝ちです!」
「むぅ~! 負けないから!」
後輩ちゃんに対抗心剥き出しになる桜先生。
これでも一応30歳の体育教師である。ダメダメというか、ポンコツがだんだん酷くなっていく。大丈夫か、先生?
俺が先生の心配をしていると、肩をツンツンされた。ツンツンしてきたのは後輩ちゃん。恥ずかしそうに目を逸らしている。
「せ、先輩、ぎゅう、したいです。今日は全然していないので」
くっ! 可愛すぎるじゃないか!
今日はお掃除で後輩ちゃんを抱きしめていない。俺も何か足りないと思っていたのだ。
恥ずかしそうにおねだりしてくる後輩ちゃん。俺は拒否するつもりは皆無である。
俺は起き上がって悪戯っぽく笑って両手を広げる。
「後輩ちゃん、カモーン!」
後輩ちゃんがよく言うセリフで待ち構える。ちょっと揶揄ってみた。
後輩ちゃんは恥ずかしそうにキッと一瞬だけ睨むと、嬉しそうに腕の中に飛び込んできた。
俺たちは座ったまま正面から抱きしめ合う。後輩ちゃんの甘い香りと温もりがして落ち着く。
後輩ちゃんは腕と足を使って絡みつくように抱きしめながら、俺の身体にスリスリと顔を擦り付けている。猫みたいで可愛い。
「いいなぁ」
羨ましげに指をくわえて見ている桜先生がボソッと呟いた。
しまった。桜先生がいるんだった。いつものように後輩ちゃんとイチャイチャしてしまった。恥ずかしい。
俺の身体を楽しんでリラックスしている後輩ちゃんが桜先生に声をかける。
「お姉ちゃん。先輩の背中が空いてるよ」
「はぁっ! そうだった! では失礼して。弟くん、妹ちゃん、むぎゅ~!」
おぉ! 背中に物凄い弾力が伝わってきたんだけど!
後輩ちゃんとは違う大人の柔らかさ。やばい。これはやばい。桜先生のあまい香りも漂ってきて頭がくらくらする。
それに気づいた後輩ちゃんも胸を押し当ててくる。正面と背後が至福の柔らかさに包まれて、いろいろとやばい。特にある部分が。
「お、お二人さん? 暑いので離れてくれませんか?」
砕け散りそうな理性を総動員させて、何とか二人に申し出る。
でも、後輩ちゃんと桜先生はリラックスして、のほほんと同時に言った。
「「嫌ぁ~!」」
二人とも俺の身体に顔を擦り付けてくる。そして、ふにょんふにょんと二人の胸が押し当てられる。二人の甘い香りが鼻腔を満たす。
俺は湧き上がる欲望を抑えるので必死だった。
この二人、仲良すぎだろ!
俺は二人が離れるまで、粉々になりそうな理性を使って必死で我慢していたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます