第26話 汗を掻いた先輩

 

 先輩が風邪を引いた。私は看病している。


 午後になって先輩がうなされ始めた。私が先輩の手を握ったり頭を撫でても意味がない。私は熱にうなされて辛そうな先輩を見ているだけ。


 汗を拭いたり氷枕を変えたりして過ごす。できるなら先輩の辛さを変わってあげたい。


 うなされていた先輩が薄っすらと目を開けた。



「………………気持ち悪い」


「っ!? 気分が悪いんですか! えっ! どうしよ!?」


「………………違う…汗かいて気持ち悪い」


「……汗?」



 よく見ると先輩は汗びっしょりだ。布団を捲るとぐっしょりと濡れている。


 先輩の汗のにおいとムワッとした熱が私を襲ってくる。


 先輩の汗のにおいを少し楽しんでしまったのは私だけの秘密。良い香りなんだよね。



「気持ち悪くて吐きそうじゃないんですね?」



 先輩がボーっと頷いた。


 よかった、安心した。意識は朦朧としているらしい。


 取り敢えずスポーツドリンクを先輩に渡す。


 先輩が飲んでいる間に先輩の着替えを用意する。


 パジャマと下着を準備…おぉ! これが先輩の穿いているパンツ。先輩はボクサー派か。ふむふむ。悪くない。


 おっと、こんなことをしている場合じゃなかった。


 先輩に着替えとタオルを渡したけど、汗を吸ったびしょ濡れのベッドはどうしよう? ふむ……仕方がない。私のベッドから持ってくるか! 干しておけば乾くだろう。


 そうと決まれば私は自分の部屋に行き、シーツと布団を持ってくる。


 ボーっとしている先輩を少しだけ移動させて布団とシーツを放り投げ、私のと入れ替える。シーツの上にはバスタオルも。それでまた汗を掻いても少しはましだろう。



「よし……って先輩着替えていないじゃないですか!」



 先輩はボーっとしたまま着替えていなかった。汗で濡れているパジャマが冷たくなっている。


 私は先輩からタオルを受け取ると、びしょ濡れの服を脱がせ始める。



「うん……先輩は病人だから仕方がない。これは介護これは介護これは介護これは介護。よし!」



 先輩の上半身の服を脱がせた。先輩の肉体が露わになる。


 おぉ! 先輩マッチョです。うわっ! 筋肉かっこいい! なにこれ! 腹筋割れてるし! 硬そうだけど力を入れてないと柔らかいなぁ。


 ってこんなことをしている場合じゃなかった! 汗を拭かないと!


 私が汗を拭いても先輩は無反応。これは何をしてもバレないかな?



「先輩大丈夫ですか?」


「………………うん」


「はーい。ばんざーいしてください」


「んっ」



 先輩が万歳している間に脇などを拭いていく。これで上半身は終わり。先輩に服を着せる。



「先輩、お洋服を着ましょうか」


「んっ」



 私は弱々しい先輩のお手伝いをして何とか新しいパジャマに着替えさせることができた。人のボタンを留めるって難しいよね。


 上半身は終わった。さあ次は下半身だ。私は一気にズボンを下ろした。


 この間は先輩のアレがアレしてたから思わず気絶してしまったけど、今日は気絶するわけにはいかない。


 でも、先輩が興奮してくれてたのは嬉しかったなぁ。一時期先輩のことを不能だとか男色とか疑っていたから安心しました。


 私は先輩の脚を拭いていく。


 先輩って脚の筋肉もすごい。かっこいいなぁ。先輩って何気にスポーツ万能なんだよね。本人は滅多に本気を出さないけど。



「先輩どうですか? 大丈夫ですか?」


「………………うん」


「立っているの辛いですか?」


「……………ちょっと」


「じゃあ横になりましょうか」



 先輩をベッドに寝かせる。まだ先輩はボーっとしている。これなら大丈夫かな。


 ゴクリ。私はびしょ濡れのパンツに手をかける。


 これは保健体育の実技だ。これは保健体育の実技だ。これは保健体育の実技だ。


 よし! 私は覚悟を決めて先輩のパンツを脱がせた。



「………………………………………………おぉ」



 初めて生で見る。先輩のだから嫌悪感は一切ない。むしろ興味津々。何かいろいろおもしろーい!



「よし! この際だから、性欲…………じゃなくて知的好奇心を満たそうかな」



 私はゆっくり丁寧に汗を拭いていく。うん、これは汗を拭く行為だ。別にいやらしいことはない。


 それにこれは保健体育の勉強だ。大切なことだよね性教育って。私は何も悪くない。将来のためだ。


 私はゆっくり時間をかけて丁寧に拭いていく。先輩はボーっとしたまま反応しない。あっ、意識が反応しないってことで、身体は反応してるから。今すごい状態!


 あんまり意識なくても反応するんだなぁ。うん、すごい。何か語彙力がなくなってきた。えーっと、たくましい?



「これをこうしてあーするといいらしいから、これをこうするとどうなんだろう?」



 私は性欲………じゃなかった、知的好奇心を満たしていく。


 あっ! こういう時のために買ったものがあるじゃないか! 今練習しないでいつするんだ!? 


 私は先輩の机を漁り、目的のものを取り出す。先輩と一緒に買った避妊具!


 これをこうしてこうするはず! 意外と難しい。これをこうしていくと………おぉ! こうなるのか!


 とても勉強になりました。


 私は十分に満たされたところで丁寧にパンツとズボンを穿かせてあげた。先輩に布団をかけてあげるとすぐに眠ってしまった。


 ふぅ、良かった。先輩はボーっとしてたし、私は勉強になった。


 百聞は一見に如かず。いやー面白かった! 私は大満足。


 先輩のアレをあーすると、こうなって、こうするとあんな風になることがわかった。


 でも先輩…一番最初からずっと思ってたことがあります。


 先輩って大きすぎ! 私大丈夫かなぁ?


 とても心配になった私でした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る