第6話

「美香、来週最終選考がある。これが通れば今の我慢ばかりの生活は終わるよ」

俺の装置の[嬉]メーターが40を示していた。まだ決まった訳じゃないが、やはり嬉しい。

美香の[嬉]メーターにも60と表示されていた。

「美香嬉しそうだな」

「うん、やっと就職先が決まりそうなんだね」

「そういえば、ママ友からのいじめはまだ続いてる?」

「ううん、もう無くなったよ。バカにしてくる人が居なくなったからね」

良かった。俺も美香も鈴花も前の楽しい生活に戻る日はそう遠くないはずだ。


「俊介、これ見て」

美香は首からかけた光るネックレスを見せてきた。久しぶりに買ったんだな。まだ就職先は確定していないが、これまでずっと我慢させてきたから、ネックレスを買ったことに対する不満は何もなかった。

「似合ってるね!」

「またこれを着けて、三人でどこか遊びに行こうね!」

「うん!」

「鈴花はどこ行きたい?」

「また遊園地にいきたい!」

「よし、行こう!」

来週だ。絶対に来週で就職活動を終えるんだ。ここにいる二人の笑顔を守るためにも。


「お入りください」

「失礼致します」

最終選考が始まり、30分間の面接を終えた。今までで一番良い面接ができたと思う。帰りの電車の中で、俺のスマホが鳴った。

「もしもし」

「本日は面接にお越し頂いてありがとうございます」

「こちらこそお忙しい中お時間を割いて頂き、誠にありがとうございます」

「面接の結果なのですがー」

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