そんなこんなで
そんなことがあって約半年、今ではお互いに気兼ねなく話せる仲になった。そのおかげなのかは知らないが彼の趣味が私に伝播してきて共通の趣味も出来ていた。
「東城さん来週から始まるイベントどうする?」
そう、ゲームだ。人と関わらないで楽しめる趣味がないかと相談したときに紹介してくれたのだがこれが思いの外ハマってしまっていた。いやいやオンラインゲームは人との関わりがあるだろ、と思っていたのだが流石に何処にいるかも分からない相手の音は聞こえないらしく問題なく楽しむことが出来た。お気に入りになっているジャンルはロールプレイング……つまりRPGだ。最初は所詮ゲームと侮っていたのだが多種多様なストーリー、物語に入り込みやすいという特性が私と相性が良かったみたいでどハマりしてしまった。今話題に出てきたのも過去に大ヒットした物の続編でオンラインでワイワイを主軸に置いた作品だ。ガチ勢とまでは行かなくともエンジョイ勢ちょっと上程度にはやりこんでいる。
「もちろん初日からスタートダッシュを決めて走り込むつもりだよ、海原くんはどうするの?」
「一応初日から走るつもりだよ、もし良かったら一緒にやらない?」
「わぁ、それじゃ一緒にやろう! 土曜日からだからメンテナンス明けたらすぐに!」
「了解、久しぶりにパーティ組む気がするなぁ」
「あ〜……最近ソロ専用のイベントとか都合が合わない日が多かったからね」
ふふふ、ようやく新しく新調した武具を自慢する時がきたようだ。驚く顔が目に浮かぶなぁ。
「そういえば東城さん修学旅行の班って決めた?」
「…………修学旅行?」
「そう、修学旅行」
そういえば学校の行事表にそんなものが書いてあったような気が………。
「しまった…………まともに相手してると頭が痛くなってくるから適当に流してたけど最近話しかけてくる人が増えたのはそういうことだったの…………」
「やっぱり決めてなかったんだね」
「海原くん一緒の班に…………」
「そもそもクラスが違うでしょ」
「ひぇ…………」
成り行きでどうにかなると放置した過去の私を恨みながら何とか打開策を練ろうとするがどうにも良い考えが思いつかない。
「そういえばゲーム部で藤城さんと同じクラスの人がまだ一人分空いててどうするか悩んでたような………」
「男の子?」
「いいや女の子、それに控えめな性格だから話しやすいと思うんだけどもし良かったら頼んでみる?」
共通の友人がいれば少なくともひたすら気まずいだけの雰囲気にはならないはずだ。まぁその共通の友人がその場にいるとその限りでは無いのだが……今回に関してはその心配をしなくても良さそうだ。それに狙ったように一人空いているのなら尚更好都合だ。
「じゃあその子のところに入れてもらおうかな…………そのぅ、ここまで頼むのは申し訳ないんだけど」
「うん、そこら辺も連絡しておくから任せて」
「あ、ありがとう! 持つべきものは友だちね!」
窮地を救ってくれた友人に感謝をしつつ歩いていると普段からそこで別れている分岐路に着いた。
「そこまで感謝されることじゃないと思うけど………兎に角それじゃまた明日」
「うんまた明日」
いつも通り私たちは別れの言葉を交わしてお互いの家へと帰った。
音が聞こえる女の子は気難しい アイスティー @optimistically
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