そんな感じで

 僕、海原 猛は人生で初めて女の子の家に招かれていた。傷の手当ということなのだが、傷と言っても小さな擦り傷が一つと切り傷で最悪放っておいても問題ない程度のものだった。挙句この傷は喧嘩で出来たものではなく、東城さんに続いて逃げ出そうとしたときに慌てていたせいで無様にすっ転んだときに出来たもので男の勲章とは程遠い何かだった。ちなみに不良達は追ってきていなかった。もしも追われていたらこの程度ではすまなかっただろう。

 そして、それとはまた別の話になるのだが…………ここで待ってて、と言われて大体十分くらいの時が流れたのだが……一向に帰ってくる気配がない。もしかして流石に嵌められた? と思案してしまうが、きっと杞憂になるだろう。そう、救急箱を探しているだけだ、きっと。というか、初めての女子の部屋という秘境に来たせいか、女子の部屋でそわそわしている男子高校生とかいう絵面的に若干アウトな感じになってしまっていたのは言うまでもないことである。


「(……………まだかなぁ、藤城さん)」

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