Nothing Stay The Same

床町宇梨穂

Nothing Stay The Same

彼女に会った。

別れてからそれほど時間がたつわけではないけれど、久しぶりに会ったという気がした。

でも付き合っていた時間より別れてからの時間が追い越そうとしているのだからそう感じるのも最もかもしれない。

彼女は変わっていた。

付き合う男が変われば彼女自身も変わるのかもしれないけれど、その事実に少しびっくりした。

「私変わったでしょ?」

「そうかなぁ~。 そんな感じはしないけど・・・。」

僕は彼女が変わったことを認める事ができなかった。

前より良くなっていたなら僕も当然認めていただろうけれど、今の彼女は僕と付き合っていた頃より美しくない。

僕が彼女を美しくしていたなんて、そんな大それた事は思ってはいないけれど、確実に彼女は変わった。

綺麗になった昔の彼女を見るのもつらいかもしれないけれど、ブサイクになった昔の彼女を見るのはもっとつらい。

彼女は幸せなのだろうか?

彼女自身はそう言っていた。

でもそうでなくても彼女の性格上、僕に弱音を見せるはずが無い。

もう昔の事だからどうでも良いという気持ちはあるけれど、それでも彼女には幸せになってほしい。

今でも彼女はそれに値する女だと思う。

あんまり頭が良くない彼女。

嘘をつくのがへたくそな彼女。

不健康な彼女。

僕のなかでは良い思い出だ。

だからその思い出を壊さないためにも彼女の今のような姿は見たくない・・・。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

Nothing Stay The Same 床町宇梨穂 @tokomachiuriho

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る