七夕の夜に(AnotherSide)


 --もーッ!!


 ……何?

 このハッキリしない天気ぃ?


 雨降るんだったら降る!

 降らないんだったら降らない!


 --ハッキリしなさいョッ!!


 ハッキリしないトコロなんて、ほーんと『コボ』みたい。


 ……え? コボ?


 カレシよ。カァーレェーシッ!!


 ……え?


 コボッて誰だ……って?

 なんであんたに教えなきゃいけないのよ!


 ヤキモチとか妬いてるんじゃないわよ。あなたと私じゃ住む世界が違うんだから、私雲の上の存在なんだから、話せるだけでも良いと思いなさい!


 ……まぁいいわ。


 オバカサンなアナタ達には一生分からないだろうから、お姉さんが教えてア・ゲ・ル。


 …………


『ヒコボシ』


 ……え?


 ヒコボシの呼び方が、コボって、あだ名の意味がわからないって?

 見たまんまじゃないの! あんたバカ?!


 ヒ【コボ】シ


 わかった?

 ヒコボシだから『ヒコちゃん』とか、当たり前すぎるでしょ。

 あなたもアタマ使いなさいよね!


 ところで『コボ』って、どっかの4コママンガとか思ったヒト。アンタ新聞、『テレビ欄』と『4コママンガ』しか読まないでしょ?


 バレバレョ? そもそも新聞自体読んでるかも微妙なところだわ。もっと活字読みなさいよね。


 あぁ……アタシ?


 ここまで言ってんだから、気づきなさいよねっ!


 --オリヒメ


『セレブオリヒメ』


 …………


 ……なによその目は。文句あんの?


 今時こんな名前『レディースの総長』も使ってないんじゃないかって、うるさいわね。むしろ今の時代レディースって言葉自体存在するのかも怪しいところじゃない。


 ……んぁ?


 何うなずいてるのよ。お前が言うな。

 自分が言うのはいいけど、ヒトから言われんのチョームカツクわ。


 なによ、その不服そうな目は。

 だってあなただってそうでしょ? 人間なんてそんなものよ。


 とか言って、絶対、このネタ通用してない人いるよね? キョトン顔が目に浮かぶわ。もっと勉強しなさいよ。


 チッ……


 --まぁいいわ


 今日は『7月7日』。


『カレとの記念日』だから許してあげる。

 今日はね。一年に一度、唯一カレと逢うことを許された日。


 ダレが決めたんだか知らないけれど、『晴れてなきゃ逢えない』んだって。



 信じられないでしょ?

 梅雨の真っ最中に、『晴れ』なんて、どんだけの確率なのよ?!


 ある意味サマージャンボ宝くじ当てるより難しいんじゃないの? まじで。


 --うそ。


 それは嘘。

 オリ言いすぎた。ハンセー


 そこまで確率低くない。オリ知ってる。


『晴れの時しか逢えない』


 どうせこんなバカなこと言い出したのは、どっかのヘンクツジジィだと思うけれどね。やぁねえまったく。


 …………


 なんかさーあ、さっきから後ろで、名前の漢字の書き方言えって、うるさいのよ。ウザいったらありゃしないわ。


 実は、この話始める前に、話の流れ決めたんだけどさぁ。

 ウザぃしね。ハィハィって、『シカト』してやった。あははっ!


 ……え? 何?


 このこと話しちゃダメだった? そんなの関係ないし。


 ……わかった。


 分かったわよっ!! うるさいなー!


 名前の漢字の書き方ね。はいはい。わかったわかりましたっ!


 言うの決まってるらしいから言うね?


 --織が、オリンピックの『オリ』。


 で、姫がね?


 --ヒメハブデービルの『ヒメ』。


 何よ?

 モンクアル……?


 ヒメハブデービルって何だかわからないって、そのくらい自分で調べなさいよ。検索サイトで調べたら一発でしょ? 名前教えてあげてるんだから、つまらないツッコミいれてるんじゃないわよ。わかる人だけわかればいいわ。


 いいじゃぁんッ!!

 みんな知ってるじゃあんッ!!


 アタシどんだけ有名だと思ってんのよ?


 チョー知られてるし。


 アタシさぁこれだけは言えるよ?


 総理大臣より『有名』。


 でしょ? アタシ嘘ついてないでしょ?


 ちなみに英語名では『ベガ』。もうちょっと女の子っぽい可愛い名前が良かったわ。『キャサリン』とか『フランソワーズ』とか。そう言う系の名前憧れるわ~……


 --まぁいいわ。


 で、何の話だった?


 後ろからゴチャゴチャ言われて、うるさいから忘れちゃったじゃないの!


 あ! そうそう。


『7月7日』ね?


 下界じゃ勝手に『七夕』言ってるらしいけどさ?


 --チョー迷惑。チョーウゼー


 言うのは勝手なんだけど、短冊に願いごとは勘弁。


『サトシと永遠に一緒にいれますように』


 ……サトシと一緒に『三途の川』に流してやろうか?


 自分のレンアイで、イッパイイッパイだっつーの。人の恋愛なんて知ったことないわ。あんたら分かってんだろ? もったくもう。


 ……あ。


 今、なんか一瞬晴れたっぽい! キャハッ!


 とりま川まで行ってくるね!


 それじゃ、あなた達もウマくやんなさいよ?


 来年は、ダブルデートでもしましょうね!


 話が長くなっちゃってごめんね。


 それじゃあ、したらねッ!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る