第21話 印象は変わらないかもしれません。
翌日、僕は教室へ着くなり、机に突っ伏してしまっていた。
「わからない……」
僕は口にするなり、顔を上げ、窓の方へ顔を動かす。
「元気なさそうですね」
見れば、委員長がメガネ越しで心配そうな視線を向けつつ、立っていた。
「もしかして、秋葉くんに告白した子のことですか?」
「まあ、うん。考えれば、秋葉からそれが誰なのかとか、聞いたことなかったし、それに、そういう噂とか、僕は疎い方だったから……」
「それは、残念ですね」
委員長は言うなり、考え込むような表情をする。
「もしかしたらですけど、ここにいる秋葉さんも、同じ人に告白されているかもしれません」
「同じ人に? だけど、前の世界では秋葉は男子で、ここでは女子なわけだし……」
「性別は違っても、秋葉さんの印象は変わらないかもしれません」
「なるほど……」
「それなら、後で秋葉さんにそういうことをされた人がいないか、聞いてみる価値はあると思います」
「でも、通ってる学校がここでは違うし……」
「それでもです」
委員長の声に、僕は他に抗おうとする言葉がなかった。
「そしたら、放課後に秋葉の学校へ行ってみるしかないんだな」
「わたしも一緒に行きます」
「ありがとう。それに、北条さんとも話をしないと」
僕は言うなり、窓際の席に座る北条の方へ目をやる。本人はスマホを操りつつ、時間を潰しているようだった。
「今、話してみますか?」
「いや、昼休みとかに」
「わたしも含めて、三人で話すということですね」
「委員長がいいと言うなら」
「もちろん、わたしもご一緒します」
委員長の返事に、僕は頭を下げるしかない。好きな相手の告白を堪えてまで、秋葉殺しの犯人捜しに付き合ってくれるのだから。
僕は相変わらず、スマホの方へ目をやり続けている北条の姿をしばらく眺めていた。
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