第17話 物騒な単語

「秋葉くんは、女子から見て、どんな男子だったんですか?」

「人気あったよ。何回か告白を受けてたみたいだし」

 秋葉の家があるであろうところまで、僕と委員長は喋りながら、足を進ませていた。

「そうなんですね。そしたら、北条さんも告白したんですか?」

「いや、してなかった。それで、僕のところに相談しに来たから」

「そうなんですか」

「うん」

 僕はうなずき、先ほどいた駅前にあるチェーン店のカフェで北条といた時を思い出す。

「何か、監禁だの、尾行だの、物騒な単語が出てきたりして、何かの犯罪を相談されてるんじゃないのかって思った」

「それは確かに、物騒ですね」

「だよね。それが普通だよね」

 僕は委員長の反応に、安堵のため息を漏らしつつ、あたりに顔を動かす。まだ駅前とあって、雑居ビルや飲食店が建ち並んでいる。

「ちなみに、この世界の北条さんは」

「そんなこと、言わないと思います」

「普段からナイフを持ってるとか」

「それはれっきとした校則違反です」

「だよね」

 僕は電車のホームが上にあるガード下へ曲がっていく。委員長は遅れてついてくる。

「ちなみに、秋葉が殺された日なんだけど、その日、休みだったんだよね」

「風邪か何かですか?」

「それが、今でもわからない。本人からはそういうメッセージをSNSでもらったんだけどね」

「もしかして、本当は違うかもしれないってことですか?」

「わからない。ただ、その真相ももうすぐ着くところでわかるかもしれない」

 僕はガード下を抜けたところで足を止めると、とある方へ目をやる。

 視界には、マンションが現れていた。僕が前に訪ねた秋葉の家があり、誰かに殴られたところだ。

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