第12話 委員長にとって重要なこと

「大丈夫ですか?」

「まあ、うん。とりあえずは」

 保健室で授業一時間分サボった僕は、委員長とともに学校の廊下を歩いていた。

 今は昼休みで、教室から出ている生徒がちらほらと見かける。

「お昼は弁当ですか?」

「この日はどうだったっけ……」

「この日?」

 横に並ぶ委員長の不思議そうな声を耳にしつつ、僕は過去の同じ日を思い出そうとする。

「そういえば、この日は弁当忘れて、秋葉に菓子パンとかおごってもらった時か……」

「秋葉、ですか?」

「うん。その、クラスメイトで」

「そうですか」

 委員長は言いつつ、さらに突っ込んだことは尋ねようとしなかった。

「そういえば、委員長。何で今、僕といるんですか? わざわざ、また保健室まで迎えに来たりして」

「その、委員長として、クラスメイトのことは気にかけないといけないと思って」

「真面目ですね」

「そうでもないです。委員長として、当然のことをしているだけです」

 委員長は答えるなり、不意に立ち止まった。

「委員長?」

「赤坂くんは、本当に未来からやってきたのですか?」

「まあ、うん。信じられないと思うけど」

「そしたら、その、明日のことはわかりますか?」

「明日?」

「はい」

 うなずく委員長は、真剣そうな眼差しをメガネ越しで僕の方へ送ってくる。何だろう、前に経験をしている明日で、委員長にとって重要なことでもあるのだろうか。

「何か、あるってこと?」

「はい」

「その、よければだけど、教えてもらえたりとか……」

「そしたら、場所を変えてもいいですか?」

 委員長の言葉に、僕はとりあえず、首を縦に振る。今いる廊下だと、横切る生徒とかに聞かれることを気にしているようだ。

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