第90話 精霊ドリュアス
ディルクとレクスとオルグの4人で、村の周辺にある迷いの森に来ていた。
「この迷いの森は、この村の幻術師が作り出していると言われてましたが。」
「ええ。うちの村一番の幻術師に設置させました。」
「もっと複雑にしないと、この村まで来るのは時間の問題です。」
「しかし、迷いの森を抜けて来たのは、この20年間で、ディルク殿一人だけでしたぞ?!」
「場所さえ特定できれば、国から更に強力な幻術師や幻術を破る術師が派遣される事になります。そうすればここは一貫の終わりです。」
「ディルク!そんな言い方……!」
「いや、ディルク殿の言う通りです。それ程の脅威が迫っていると考えなければいけませんな。」
「この迷いの森を強化させる。それと……」
ちらりとディルクが私の方を見る。
「闇の精霊の力を借りる。」
その言葉に私は頷く。
「まずは森を強化だな。ドリュアス!」
ディルクがそう言うと、森がザワザワ騒ぎだした。
それからフワッと風が吹いたと思ったら、そこには緑の髪が美しい精霊がいた。
「ディルク、やっと呼んでくれたのね。寂しかったわ。」
ドリュアスと言う精霊が、ディルクの後ろから抱きつく様にして首に腕をまわす。
「ドリュアス、久しぶりだな。」
微笑みながらドリュアスを見るディルク。
チクリと胸が痛む。何だろう?これ?
「それで、私は何をすれば良いのかしら?」
「話がはやいな。俺はこの森の中にある村を、外敵から守りたい。」
「あぁ。そう言うことね。確かにこの辺りは可笑しな術がかかっているわね。」
ふぅんって言いながら、辺りをフワリフワリと優雅に翔んでいるドリュアス。
「分かったわ。任せてちょうだい。」
ディルクにニッコリ微笑み、フワリと飛び上がると、それに続く様に森の木の様々な所から、小さな妖精や精霊達が飛び出してきた。
その光景を、レクスもオルグも、そして私も何も言えずに、ただ呆然と見つめていた。
あちらこちらから、光る小さな妖精や精霊が出てくるさまは、神秘的で不思議な光景で、見るものの心を奪う様な感覚に陥って行く。
森全体が淡く輝いた様に感じ、それがゆっくりと落ち着いていくと、何処からかまたドリュアスが現れた。
「終わったわよ。ディルク。」
「ありがとう。ドリュアス。」
「貴方の為なら容易い事よ。またいつでも呼んでちょうだい。」
そう言い残して、ドリュアスはフワリと消えた。
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