第89話 村を救う


「ディルク殿、それは……?!」


「その話をする前に、まだ少しアシュレイに確認したいことがある。いいか?」


「なにを聞きたい?」


「アシュレイは、この部族とどんな関係がある?」


「私の母が、この部族の人だったんだ。」


「そうなのか?」


「母は昔、襲ってきた盗賊に拐われたそうだ。それは昨日分かった事だが、私の母が銀髪だったので、偶然出会ったマリーに付き添い、この村までやって来たんだ。マリーが心配だったのは本当だったけど、銀髪の人達の村に来てみたかったのも事実だ。母の情報が少しでも欲しかったんだ。」


「アシュレイは母親を探していると言ってたものな。」


「ディルクも銀髪の部族を探していたのは驚いたが……」


「アシュレイがこの部族の宝である石を探していたのは?」


「母がいなくなった時に置いていった石が、この部族の宝だったんだ。石の効果で、他の石が何処にあるのかが分かる様になったから、石と母を探す旅をしていた。」


「そうだったんだな。」


「まだ何か知りたい事があるか?」


「アシュレイの事なら何でも知りたいが……そうか、分かった。ありがとう。」




いつもサラっと、ドキっとする事を平然とした顔で言う。


ディルクの言葉に一喜一憂してしまう自分がいる。


こんな気持ち初めてだ……




「それで村を助けられるとは、どう言う……?」


オルグがせっつく様に聞いてくる。


そうだ、それは私も気になる。




「闇の精霊の力を借りれば、どうにかなるかも知れない。」


「闇の精霊の……?」


「あぁ。俺にも精霊がついている。が、闇の精霊はいなくてな。」


「あんなに闇魔法が得意なのに?」


「練習すれば、アシュレイならすぐ出来る様になるんじゃないかな。俺はあの魔法を習得するのには時間がかかったが。」


「分かった。練習してみる。」


「ハハ、アシュレイは素直だな。」


「そ、それで、どうしたら村は?!」


「落ち着いて下さい。オルグ。ここからは俺達に任せて下さい。アシュレイ、手伝ってくれるか?」


「勿論だ。私が出来ることなら、何だってする。」


「アシュレイなら、きっとそう言うと思った。」


「俺も何でもするぞ!」



3人で顔を合わせて微笑みあう。



「それで、私は何をすればいい?」





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