第65話 精霊の加護

2人で話をしていると、目の前を、白く光輝きながら、フワリとゆっくりと精霊が翔んできた。



「私は光の精霊、ルキス。やっとお話しが出来るようになりましたね。」


そう言って、にっこり微笑んだ。


「あ、私はアシュ……」


「ええ、知っていますよ。アシュリー。」


「え?違うぞ?アッシュはアシュレイだぞ!」


レクスがそう言っても、ルキスは微笑んだまま


「貴女には精霊の加護を。私は貴女が大好きなのです。」


頬に手を添えて言う。


「ルキス……私の事を知っているんですね……」


「ええ。もちろん。」


言いながらルキスは、緩やかに辺りを翔んでいる。


「何かあったらお呼びなさいな。貴女の力になりましょう。」


微笑んでルキスは言う。


「ありがとう……ルキス。」


「そこにいる焼きもちやきさんが怒っているから、私は退散いたしますわ。」


言ってルキスはどこかへ消えた。 



焼きもちやき?



ゾワリと私の左側に気配がしたので見てみると、腕に絡み付くように、黒く漂う気の様なモノを纏った精霊がいた。


「やっと分かる様になったか、アシュリー。」


全身黒く、異様な雰囲気が漂っている。


「我は闇の精霊テネブレ。いつでも我を頼ると良い。お前の為なら力になろう。」



テネブレは私の周りをまとわりつくように回りながら、ニヤリと笑って、いくつもの小さな黒い光になって、それが分散するように消えて行った。



呆然としていると


「アッシュ!アッシュはアシュレイじゃないのか?!」


と、レクスが詰め寄る。


少し驚いて


「え?あ、あぁ……私の本当の名前はアシュリーって言うんだ。しかし、それを知っているなんて……」


「そっか……アシュリーだったのか……でも、どっちでもアッシュだ!」


私はレクスを見て


「そうだ。私はアッシュだ。」


言って微笑んだ。


「なら大丈夫だな!」


「そうだな。」


レクスと私は顔を見合せて笑い合う。





精霊の加護。





今までも私の近くにいたのか……?



私は、私が思うより、1人ではなかったのかもしれない。



青い石の効果



それは、第六感が身に付くと言う事だった。



光と闇



溢れ出る魔力。



これは関係しているんだろうな……





「ところでさ、アッシュ。」


「ん?なんだ?」


「次はどこにいくのさ?」


「そうだな、今一番近そうなのは、紫の石の場所なんだ。でも、近いって言っても、かなり遠いと思う。すごく目を凝らしても、あまり光が見えないんだ。南の方にありそうだから、とりあえずは南に向かうとするか……」


「そうか。じゃあ、南に行こう!2人で!」


「そうか、二人旅だな。」


「二人旅だ!」



私とレクスは足取りも軽く、南へ行くことにした。



レクスとの旅は、こうして始まった。






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