第47話 アンネローゼの事情7
暖かい陽射しの中で眠りに落ちた様な感覚だった。
そして、ゆっくりと目覚めていく。
そこはどこだか、さっぱり分からなかった。
周りにいる人達も、何がなんだが、分かっていない状態だった。
アンネローゼはマティアスに、
「ここは……どこ?」
と聞いたが、マティアスも、他の騎士も何も分からない。
近くにいた人に
「ここはどこですか?」
と聞くと
「イルナミの街です。」
と答えた。
「イルナミの街……インタラス国の?」
「ええ、そうです。」
「いつの間に来たのかしら……?」
アンネローゼも騎士達も、記憶にあるのは、インタラス国に向かって山を越えている時のものだった。
気づくとインタラス国のイルナミの街にいる。
不思議な事がおこっているが、思い出そうにも何も出てこない。
仕方なく、この街にいるであろう、諜報員に連絡を取ることにする。
しかし、その諜報員からも、何の情報も得られなかった。
よく分からないが、皇子探しを続行させるべく、行動する。
疲れていた筈の体は回復しており、今迄にないくらいに体が軽かった。
すぐに旅に出られる位に、皆体力には何の問題もなかった。
自分達の馬や荷物が見当たらない。
アンネローゼがどこにあるのか悩んでいると
「この街に来て行動を起こすのなら、まずは宿屋を探すでしょう。この街一番の宿屋に行ってみましょう。」
「そうね、そうしましょう。」
それからこの街一番の宿屋を聞き出し、「クラウンヒル」までやって来ると、宿屋の横にある小屋に、馬達がいた。
どうやらこの宿屋にいたのは間違いない。
宿屋の受付の娘に聞くが、娘も、他の者も、なにも分からない状態だった。
記帳している筈だからと見せて貰ったら、前日に宿泊している形跡があった。
部屋番号を確認し、鍵を貰い部屋へ行く。
最上階の一帯が騎士達の部屋になっていた。
部屋へ入ると、荷物類はそこにキチンとあった。
しかし、本当に不思議な事があるものだ。
自分達だけでなく、誰もこの数日間のことを覚えていないのだ。
誰に聞いても、皆が同じ反応しかしない。
この街ではなんの情報も得られないと思い、すぐに街を出る事にする。
この街から少し南に下るとすぐに村があるらしいので、ひとまずそこまで行って情報を得るべく、アンネローゼと騎士達は街を出て行ったのだった。
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