第5話 少年レクス2

「腰まである銀髪の30才後半位の女?多分見たことはないと思う。銀髪はこの辺じゃ珍しいから、見かけたら忘れないと思うし。顔は兄ちゃんに似てキレイなのか?」


「顔は似ていると言われた事がある。」


「だったら見たらすぐ分かるよ。分からないって事は、見たことがないって事さ。」


「そうか。」


「力になれなくてゴメンな。」


「それは構わない。それだけが理由でこの街に来た訳ではないしね。」


「他になにかあるのか?」


「まぁ、な。」



あまりハッキリ言わず、視線を反らす。


レクスは然程気にせずに、エールを飲み干して


「おばちゃん、エールおかわり!」


とジョッキを掲げた。


「レクスと言ったか。君は何歳なんだ?」


「俺は12歳だぞ。酒くらいもっとガキから飲んでたさ。よく冒険者の兄ちゃんやおっちゃん相手に、鎧やら盾やらの装備をキレイに磨いて小遣いを貰うんだ。結構上手なんだぜ?そしたらさ、たまに飯を食わせてくれるんだよ。気に入ったってね。大人ってさ、酒を飲む子供が面白いらしくって、ドンドン飲ませて笑うんだよ。俺は小遣い貰えて飯食えるならそれでいいし、酒は旨いしさ。あ、兄ちゃんの肩当てとかも磨いてやろうか?」


「いや、私はいい。」


「遠慮すんなよ!安くしとくしさ!ピカピカにしてやるよ!」


そう言って左肩に手を伸ばしてきた。



私はそれを右手で弾いた。



「……悪い。あまり触られるのは好きではないんだ。」



ビックリした顔でレクスは



「あ、イヤ、俺もちょっと調子にのったかな。

ゴメンよ。」


「いや、気にしないで欲しい。」


「あ、うん。分かった。」


「はい、エールだよ!」



と言って、おかみがおかわりを持ってきた。


ナイスタイミングだ。


レクスはそれをグビグビ飲んだ。


本当に子供にしては、良い飲みっぷりだ。



「あ、でさ、この街の事を知りたいって言ってたよな?かぁちゃんの事以外で何が知りたいんだ?」 



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