転生魔王の世界支配〜目が覚めたら魔王になってたので、世界を支配することにしました。〜

@tetra0x

Scarlet Online

『確定した未来なんて無い。今回のがいい例だな』



―――これは、とある一人の男の話である。




 俺、こと三雲翔一みくもしょういちはどこにでも居るような、ただのサラリーマンだ。

 ちなみに年齢は20。サラリーマン成りたてだ。

 一つ身体的特徴を挙げるなら、俺はこの歳の一般的な男性の平均身長より、10センチ以上も背が低い、ということだろうか。

 

 ちなみに最近の悩みは、この冬の時期にいつもなる乾燥肌。手がガッサガサなのだ。それが辛い……。



 仕事を終え、終電ギリギリでなんとか帰宅した頃にはもう深夜2時を回っていた。


 幸い、明日は土曜日で仕事は休みなので、俺はオールすることを決意し、パソコンを起動する。


 『Scarlet Online《スカーレット オンライン》』。王道MMORPGで、通称スカーレット。スカオンとも略されることがあるが、大半のプレイヤーが、何か気持ち悪いからと言って、スカーレットと呼んでいる。

 俺はそんなスカーレットのいちプレイヤーだ。


 とは言ってもこれからゲームを起動する、完全な初心者なのだが……。


 ゲームを起動し、スタート画面が出てくる。

 俺はそれをクリックし、サクサクとキャラクターメイクの画面へ行く。


 キャラクターメイク。ほとんどのゲームにおいて、最も重要なものであるこの時間は、このスカーレットには存在しない。


 と、言うのもこのゲーム、キャラメイクは完全ランダムになっており、ゲーム開始まで分からないのだ。その上、リセマラは出来ない。



 つまり、一回限りの大勝負なのだ。



 それゆえに日本中のプレイヤーが、時には嘆き、時には感涙の叫びをあげた。


 俺は今、その運命の瞬間を迎える。


 プレイヤー名を“ルミナス”にし、“キャラクター作成”のボタンをクリックする。



(頼む……! かっこいいキャラであってくれ!)



 しかしその願いは虚しく、パソコンの画面は消えてしまった。



 それと同時に、俺の意識は途絶えたのだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



(んぅ……、床が……硬い……)



 俺はまだ半分、夢の中に居た。



(なんで硬い……んだ? うーん……)


 

 しかし段々と目が覚めてくる。



(あれ……俺どうしたんだっけ……。たしかスカーレットをやろうとして、それで……あっ、そうだ。思い出したぞ! たしかキャラメイクの時にパソコンが落ちて……あれ? ここまでは覚えてるんだけど、こっから先の記憶が無いぞ?)



 俺は意識が完全に戻り、先程までの自分の行動を思い出していた。



(てか、ここ何処だ?)



 俺は寝ていた体を起こし、ゆっくりと立ち上がる。

 辺りを見回すと、明らかにおかしい点がいくつもあった。



 まず、ここは家では無い……。



(いやいやいやいや、待て待て。もし意識を失ったとしても、さすがにこんなとこに居るのはおかしいだろ!?)



 そう、ここは洞窟だったのだ。



(マジかよ……。ってか、この洞窟。どこか見覚えがあるような……。って、無駄なこと考えてる場合じゃないな……まずは状況整理だ)



 まず、俺は今の姿を一度確認してみることにした。



 脚はすらっとしていて、細長い。


 身長も割と高めだろうか。


 そして肌も透き通るように白い。


 全身には黒い衣服が。



 さて、ここまで聞いて何か気づかないだろうか。


 そう、これは明らかに俺の体では無いのだ!



 じゃあ一体誰の体なのだろうか。


 

 しかし、この問題はどれだけ考えても解決しなかったので、俺はとりあえず別のことを考えることにした。



(とりあえず、外に出たいよな……)



 暗くて、ジメジメした洞窟内はもう嫌だ。

 そろそろ外に出ないと。



(とりあえず進むか……)



 とりあえず、前進することにした。


 歩いて数十分だろうか。

 事件は突然起こった。



「ピギィ!」

「えっ!」



 スライムだ。スライムが現れた。

 そう、RPGによく出てくるあのスライムだ。


 そのスライムが今、目の前に居る。


「ピギ!」



 スライムが突進してくる。

 俺はそれを避け、一目散に逃げ出した。


 しばらく走って、辺りを見渡す。

 安全を確認して、ホッと一息つく。


「それにしても……こんなの、まるでゲームの世界じゃないか」


 まだスライムと遭遇しただけだが、それだけでも分かる。これは現実世界じゃない。


 となると何処なのだろう。

 可能性として、一番考えられるものは……。


 そこまで考えて、俺は一つの考えが頭に浮かんだ。


「まさかここ、スカーレットの中なのか……?」


 そう。俺がここに来る前にやろうとしていたオンラインゲーム。


 もし仮にそうだとするなら、この姿なのも納得はいく。

 

 ……まあ俺が何故この世界に居るのかは謎だけどな。

 いわゆる異世界転生みたいな物なのだろうか。


 話を戻そう。もしここがスカーレットの中なら、たしかステータスが確認できるはずだ。

 しかしどうすれば……。


「ステータスオープン。……まあこんなのじゃさすがに……」


 と、そこまで言ったところで目の前にステータス画面らしきものが現れた。


「マジか……」


 意外とすんなりいったな。


 さて……今の俺のステータスは、っと。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


【ルミナス】(三雲翔一)


性別:男


種族:半神ミディム


職業ジョブ:魔王


職業固有スキル:『支配ルール


初期獲得スキル:『召喚・使役』


持ち物:無し

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